レギオン (架空の怪獣)
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レギオンは、新約聖書のマルコによる福音書5章9節(主は、「あなたの名は何か」と尋ねはじめられた。すると彼は、「私の名はレギオンです。わたしたちは大勢いるからです。」と言った。)に現れる言葉。ローマ軍団のレギオンから転じているが、ここでは男に取り付いた悪霊が自らのことを指して呼んでいる。日本の映画『ガメラ』に登場するレギオンはここから採られた。
レギオンは日本映画『ガメラ2 レギオン襲来』に登場する怪獣。隕石と共に飛来した宇宙生物。
高さ100メートルに及ぶ「草体」と名付けられた巨大な樹木/花のようなもの「レギオンプラント」と、カブトガニやクモに似た「マザーレギオン」が共生関係を結んでいる。
ガメラを襲ったソルジャーレギオンの群れをみた自衛隊員により、聖書に登場する「大勢」を意味する言葉をもとに「レギオン」と名づけられた。
その生態について、『ゴジラvsデストロイア』のデストロイアと若干の類似点がある。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 生態
レギオンは電磁波を知覚し、個体同士の交信に用いる。特定の波長の電磁波に対しては、群れの会話を阻害するものとして敵意をむきだしにする。またマザーレギオンは、口部から収束マイクロ波を放射して敵を攻撃したり、敵の攻撃(ガメラのプラズマ火球など)から身を守ることもできる。
甲殻は未知の絶縁体で、各種の電磁波を反射する。
マザーレギオンは昆虫類もしくは甲殻類に似た体長1~2メートルのソルジャーレギオンを生む。
草体のエネルギー源は不明だが、マザーおよびソルジャーレギオンは土からシリコンを摂取する。またソルジャーレギオンの体内には筋肉と呼べるものは存在せず、血液の代わりに高圧酸素が詰まっており、その圧力で関節を動かしているものと思われる。
電磁波に関する知識を持ち合わせていると、よりレギオンの脅威について理解できる。
レギオンは電磁波を知覚するが、光とは電磁波であり電波や放射線もすべて電磁波である。そのため、レギオンは人間の無線通信を敵と認識する。また、レギオンは電磁波を甲殻から放射するが、パルス状に出力されるマイクロ波の反射で敵の位置を探る装置がレーダーであるからレギオンはレーダーを装備しているといえる。よって、人間の無線通信と同じ周波数帯域において、高出力の電波を送信すればそれはジャミングとなる。戦争にもっとも必要な事は通信であり、それの維持を目的とし敵の通信の破壊を目的としていると捉える事もできる。
更に、攻撃用のマイクロ波レーザーだが、マイクロ波以上に短波長の電磁波は赤外線となり、それ以上に短くなると可視光線となるため少々無理があるがマイクロ波レーザーが光る理由も説明できる。また、マイクロ波は電波でもあるから指向性が持たせる事ができ、マイクロ波レーザーが直進する事も説明可能である。また、レギオンがもしいかなる波長の電磁波を出力する事ができるなら、放射線による攻撃も可能な筈である。
余談ではあるが、ガメラ2の劇中でソルジャーレギオンが地下鉄を襲撃するシーンについて地下鉄サリン事件の影響を受けているとされる。また、旧日本軍は強力なマイクロ波を放射し、敵航空機の電気系統にダメージを与える兵器「勢号」を開発していた。
[編集] 繁殖サイクル
宇宙空間を漂流している草体の「種」は、地球のような惑星に落下すると根を張り、周囲の酸素濃度を高めていく。これは内部に有したマザーレギオンを孵化させるための簡易的なテラフォーミングと思われる。孵化したマザーレギオンは、無数のソルジャーレギオンを生み、短時間で大繁殖する。群れとして増殖の極限に達したマザーレギオンは新たなマザーレギオンの「卵」を草体に植え付け、高まった酸素を爆発させることで草体の「種」と新たなマザーの「卵」を宇宙に打ち上げる。
最初の「種」は北海道札幌市近郊に落下し、ソルジャーレギオンによって地下を運ばれ、すすきの駅付近で発芽した。草体はデパートを突き破って巨大な花状構造を展開し、地下鉄の乗客やそれを救助に向かった機動隊員らがソルジャーレギオンの犠牲となった。ソルジャーレギオンと自衛隊とが一進一退の攻防を続けるなか、ガメラが飛来。盲目的ともいえる強行攻撃をもって草体レギオンを撃破するが、無数のソルジャーレギオンにまとわりつかれたガメラは行動不能に陥り、その間にマザーレギオンは空へ逃れた。
一方、宮城県沖に落下した「種」も仙台市の仙台駅付近で発芽し、急速に成長した。ガメラは霞目飛行場でマザーレギオンと戦った後、仙台駅前の草体を破壊に向かうが、時既に遅かった。「種」の打ち上げは阻止したものの、その際に発生した大爆発に巻き込まれて仙台市は壊滅。ガメラ自身も全身が炭化し、死亡したかに見えた。
危機は去ったかと思われたのだが、マザーレギオンは東京を最後の繁殖地と定め、地底を南下し始めた……。
[編集] データ
[編集] マザーレギオン
- 全高:140メートル(最大成長時)
- 全長:160メートル
- 体重:600トン(最大成長時)
- 飛行速度:マッハ1(亜生体時)
- 地中進行速度:時速50キロメートル
- 出身地:不明(外宇宙のどこか)
- 好物:珪素(シリコン)
- 主要器官
- 目:あらゆる波長の電磁波を視覚として認識できる。
- 口:マイクロ波を集束させて打ち出す。
- エッグチャンバー(卵巣):一時間で百匹単位の群体レギオンを生み出す。
- 大槌腕:殴る、突くなど自在に動く。地中潜行時には掘削機の役割も兼ねる。
- 甲羅:硬質シリコン樹脂によく似た絶縁物質でコートされあらゆる攻撃を弾き返す。
- 干渉波クロー:パラボラ状に配置されており、各種の電磁波を放射することができる。折れやすく脆いのが欠点。ガメラのプラズマ火球であっても中和して無効化することができる。さらにミサイルなどの誘導にジャミングをかけて弱らせることも可能である。
[編集] ソルジャーレギオン
マザーレギオンによって生み出される兵隊。体組織は半導体の電子顕微鏡写真に酷似している。また、関節の動作には筋肉ではなくガスを使う。大きさ2メートルほど。
目は一つ目。マザーレギオン同様、あらゆる電磁波を視覚として認識可能。ミツバチの蜂球に酷似した戦術を取り、相手を蒸し殺すこともある。足利における戦闘では、飛行形態を取り、相対したガメラに向かったが、NTT北海道の帯津の機転でおびき寄せられ、自衛隊のミサイル攻撃で撃滅された。
草体活動時には活動しない特徴があり、その死骸が発見された場所にはほぼ確実に草体が繁殖している。
[編集] 草体
レギオンが繁殖に使う。大爆発を起こすことにより宇宙へと種子を打ち上げる。発射直前には周囲に高濃度の酸素を散布する。厳密にはレギオンと共生関係にある別生物である。
札幌(すすきの)と仙台に出現。札幌ではあらわれたガメラにより未然に発射は阻止されたが、仙台では霞目飛行場におけるマザーレギオンの妨害により、爆発前の阻止に失敗。ガメラが種子を受け止めることで宇宙への発射はなんとか防がれたものの、仙台市街は跡形もなく消滅した。暖かい場所では成長が早くなる傾向があるようで、札幌のケースと仙台のケースでは、仙台の方が短時間で発射まで変化している。活性化すると、夜間であれば花の上に緑色のオーロラが確認される。
なお、帯津の計算では、札幌のケースの場合、札幌市中心部6キロ四方の範囲は間違いなく壊滅するというデータが得られている。