ジャミング
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ジャミング(Jamming、電波妨害とも)とは、混信もしくは電波障害を引き起こす電波、すなわち正規の電波通信に対してそれとは異なる同じ周波数または周波数帯の電波を発信して正規の通信を妨害する電波のこと、または自国民に視聴させたくない国際放送に妨害をかけることを指す。ラジオ放送が中心だが、テレビジョン放送でもあり得る。
軍事の分野においては、レーダーなどの無線通信設備が授受する電波を攪乱させ、正常な通信ができないようにすることを指す。この目的に適合するように作られた航空機を電子戦機と呼ぶ。
主な電波妨害として以下のものが挙げられる。
古くは、第二次世界大戦(太平洋戦争)中、アメリカが日本(大日本帝国)向けアメリカの声放送をアメリカ本土からの短波放送を実施していたが、これに対して日本当局は、これにジャミングをかけた。しかしサイパン島を占領すると、中波放送を実施した。これは、当時、短波受信機(ラジオ)を所持すること自体が違法だったが、中波放送なら、通常のラジオ受信機でも受信出来たためである。
短波9690kHzには、日本向けRAE(アルゼンチン国営放送)が出ていたが、台湾(中華民国)が同一周波数で大陸(中華人民共和国)向け中央広播電台を出し、大陸がこれにジャミングをかけていたため、RAEの受信は大変困難だった。
北朝鮮は、韓国向け朝鮮中央テレビ(教育文化テレビ)を韓国の第8チャンネルで実施しているが、韓国はこれにジャミングをかけている。
韓国のKBS第1ラジオソウル局(711kHzと短波6090kHz)には北朝鮮がジャミングをかけている。
NHKの国際放送であるラジオ日本の朝鮮語放送にも、北朝鮮がジャミングをかけることがあった。
現在でも中国政府が、BBC、VOA、RFA、RTI等の中国語放送に、中央人民広播電台や京劇音楽などを使ってジャミングを行っている。
また2006年5月5日から北朝鮮拉致被害者向けの短波放送しおかぜ(5890kHz)の放送に北朝鮮がジャミングを行い始めた。(これに対して、周波数の変更、放送時間の変更などで対処している。)