リン・ミンメイ
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リン・ミンメイ(鈴明美)は、SFアニメ作品『超時空要塞マクロス』に登場する架空の人物。本作の主要登場人物のひとり。(声:飯島真理)
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 超時空要塞マクロス
横浜中華街で明謝楼(ミンシャロウ)を経営する両親の一人娘。元子役スターの叔母の影響で、幼少時より芸能界に憧れる。15歳のときレコード会社の歌手オーディション予選に合格するが、宇宙戦艦マクロスの進宙式を観ようと遊びに訪れていた南アタリア島で、異星人との交戦に巻き込まれる。救助してくれた一条輝とともにマクロスに乗艦し、艦内に収容された市街地に住むことになる。
性格は明るく屈託がなく、艦内で叔父の中華料理店を再開しようとするなど、環境に順応する積極性を持っている。しかし、自己中心的で他人の感情にうとい部分があり、結果的に一条輝の恋愛感情を弄ぶことになる。
しばらくは店の看板娘という以外は平凡な高校生であったが、艦内放送開局イベント、ミス・マクロスコンテストでの思わぬ優勝をきっかけに芸能界入り。瞬く間に人気アイドルとなり、レコード、コンサート、ラジオDJから、カンフー映画「小白竜(シャオ・パイ・ロン)」の主演まで華々しく活躍する。この映画で共演した従兄のリン・カイフンから求婚され、のちに婚約者となる。宇宙戦争という現実にも霞むことのない天性の魅力は、流浪のマクロス市民を励ますだけでなく、異星人ゼントラーディ軍の兵士までも魅了し、やがて戦争終結に大きな役割を果たすこととなった。
終戦後は地球各地を回り復興に尽力したが、アイドル人気凋落の悲哀を味わう。歌への迷いからカイフンとも離別。2012年、心機一転、第1次超長距離移民船団への乗船を決め、同年夏のさよならサマーコンサートで復活を果たす。2016年、銀河系中心部のブラックホールから聞こえる謎の歌声を追って、マクロス級2番艦メガロード-01とともに消息を絶つ。(一般には公表されず)。
[編集] その他の作品
[編集] 超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか
劇場版では歌手になるために勘当覚悟で家出し、マクロス進宙式典のコンテストでチャンスをつかんだ「努力家」へと描き直されている。辣腕マネージャーの実兄リン・カイフンとともに高いプロ意識をもつが、しばし人気に疲れ、ファンである一条輝との幸せに憧れる。しかし最後には天職を選んで、大スターへの道を歩みだす。
本作品は公開当初はテレビシリーズとの違いはパラレルワールドという解釈であったが、後に第一次星間大戦の戦勝20周年を記念して(マクロス世界における)2031年に作られた映画という設定となった。戦局を勝利に導いたリン・ミンメイの功績をフィーチャーした事から、クレジットでは本作の「主演」と記されている。映画の大ヒットにより、彼女の名は「伝説の歌姫」として後世に残ることになる。
[編集] 超時空要塞マクロス Flash Back 2012
2012年のさよならサマーコンサートのステージと、メガロード-01に乗っての旅立ちが描かれる。劇場版中の身の上話で語られた家出シーンがある他、10年後のイメージ(喪服姿)など様々な未来像が登場する。
[編集] マクロス7
本人は登場しないが、マクロス7船団の居住区(シティ7)において伝記ドラマ「リン・ミンメイ物語」が製作される。ミンメイ役はミレーヌ・ジーナス、一条輝役は熱気バサラ。また、外伝的漫画『マクロス7 TRASH』では、新人歌手オーディション「ミンメイ・ヴォイス」が催されている。
[編集] 解説
テレビシリーズ序盤はヒロイン的演出がなされたが、実際は恋愛ドラマにおける「主人公が憧れるマドンナ」であり、物語の本筋に絡まないまま終わるはずのキャラクターであった(ヒロインは当初から早瀬未沙)。しかし、番組後半で「歌(文化)」というキーワードが浮上したことから、それに関わる重要な役柄が与えられていった。この過程において、人類の存亡をかけた宇宙大戦への無邪気すぎる態度が、当初視聴者の反感を買っていた面もある。しかし「戦時下でもたくましく生きる一般市民の日常が戦争を終わらす力となる」というのが製作者サイドが訴えたかった事であり、それを象徴するのがミンメイであったといえる。
なお、モデルとなったのは、当時キャラクターデザイナー美樹本晴彦が熱中していた松田聖子・中森明菜であり、芸能アイドル路線も美樹本のアイデアが基となっている。
なお「架空のアイドルキャラクター」としては日本アニメ史上において初めて現実の市場に曲をリリースした前例としても知られている。この当時、アニメ主題歌や挿入歌をまとめたアルバムレコードがファン向けに発売される事があったが、これがポップソングとして認められた事は前代未聞といえる。この結果、テレビシリーズ版としてはシングル盤を出した訳では無いが、音楽としてオリコンチャート入りを果たし、ミンメイを演じた声優の飯島真理が当時の人気歌番組であるザ・ベストテンにも出演している(もっとも、『歌手としての』飯島真理として出演した印象が強いが)。この方向性は、後にアニメ作品中に架空の歌手を登場させるという傾向を生んだ。この方向性は、後にバーチャルアイドルのような動きにも絡んでくる先駆的な存在となったともいえよう。詳細は飯島真理を参照。
[編集] データ
- 西暦1993年10月10日生まれ(小説『超時空要塞マクロス TV版・第1巻』では西暦1993年11月28日生まれと表記)。第1話時点で15歳(劇場版では17歳)。横浜出身。身長158cm体重47kg。血液型O型。
- 父は鈴宝雄(リン・パオチュン)、母は鈴しげよ。父の弟、鈴少江(リン・シャオチン)と鈴慧中(リン・フェイチュン)夫妻の息子が従兄の鈴海皇(リン・カイフン)。
- 名前の漢字表記は「鈴明美」。中国語圏におけるテレビ放送では姓を林(リン)とした「林明美」表記が見られる。
- 企画初期の名前は「斉明美(サイ・ミンメイ)」であった。
- アルファベット表記は「Linn Minmei」(ピン音表記では「Ling Mingmei」)。ポスター・アルバム等に多く見られる「Lynn Minmay」は芸名登録と思われる。
- 弱小ビッグスター・レコードに所属するが、艦内市民を癒すアイドルを育てるため、軍部が影で強力に支援したと噂されている。
- アメリカのADVフィルム社が2006年より発売しているDVD「超時空要塞マクロス 英語吹替え版」では、飯島真理が22年ぶりに英語の台詞でミンメイ役を務めている(日本国内では未発売)。
[編集] 歌唱曲
[編集] 作品中の歌唱曲
- シンデレラ
- 私の彼はパイロット
- 小白竜(シャオ・パイ・ロン)
- 0-G Love (ゼロ・ジー・ラブ)
- SUNSET BEACH
- シルバームーン・レッドムーン
- ビューティフル・プレイス(TV版のみ)
- 愛は流れる(TV版のみ)
- やさしさSAYONARA(TV版のみ)
- 愛・おぼえていますか(劇場版のみ)
- 天使の絵の具(劇場版のみ)
[編集] その他の歌唱曲
- Friends~時空を超えて (ミレーヌ・ジーナス(桜井智)とのデュエット曲。ちなみに作詞・作曲は飯島真理が担当。)
- Why? (アルバム『Mari Iijima sings Lynn Minmay』収録)
[編集] 関連作品
- (小説) シナリオ・スタッフ共著 『夢見るプレリュード MY Fair Minmay 』 1983年 徳間アニメージュ文庫
- ミス・マクロスコンテスト優勝から歌手デビューにかけての裏話的なサイドストーリー。
- (ドラマレコード) 『超時空要塞マクロスIII Miss D.J』 1983年 ビクター
- ミンメイがパーソナリティーを務める深夜ラジオ番組「星のささやき」を収録。ゲスト一条輝とのデュエットも聴ける。