ランドスケープ
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ランドスケープ(Landscape)は、景観を構成する諸要素。ある土地における、資源、環境、歴史などの要素が構築する政治的、経済的、社会的シンボルや空間。または、そのシンボル群や空間が作る都市そのもの。 近代、ランドスケープは都市設計を研究する学問とし、多くの政治家、学者、建築家がランドスケープを定義し、取り扱う分野などについて言及している。 しばしば風景、景観、造園と訳されることが多い。
また、ランドスケープ・アーキテクチャー(Landscape Architecture)は、土地が持つ諸要素を基盤にして、ランドスケープを設計、構築することをいう。
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[編集] 歴史
古代より、東西を問わず、山や川など、人々の周りの風景や、自然の創造物を元にした人の生活が行われることはしばしば見受けられた。 また、高台に作られた神社、他の建築物よりも大きな寺、高い塔を持つ教会など、シンボルとなる、人工の構造物を街や都市の重要要素(ランドマーク)として位置づけ、これらを基盤とした都市設計も行われた。
逆に境内、広場、広い通路など、無形の空間を都市における政治、宗教、経済など、都市の重要な要素として、活動の拠点とされることもあった。古代ローマのフォロ・ロマーノは政治の中心として、建築物で囲まれた広さを持つ空間である。 日本では借景を使った建築手法が、ランドスケープとしてよく引用される。
近代に入ると、都市が持つ要素を科学的に分解し、各々の要素を分析、再構築することで、よりよい都市を作り出すことができると考えられた。これらをランドスケープという学問として位置づけ、積極的に研究された。 1873年、アメリカ合衆国のグロバー・クリーブランドの言葉を引用すると、「ランドスケープアーキテクチャは文明進歩の各種の要求に対して、最も便利に、最も経済的に、そして最も優美にするように土地を編成する技術」とした。
1970年代には、産業の活性化と共に、公害などによる、環境の破壊が世界的に懸念され、自然と一体化したアートが生み出されるようになった。芸術品と土地を関連づけた、これらはランドアートと呼ばれた。
日本では、ランドスケープは都市設計手法として政治、建築の1分野とされてきたが、ガーデニングなどの普及により、景観、造園の意味合いとしても、一般的に用いられるようになった。
[編集] ランドスケープの概念
言語定義に関しては、様々な解釈、意見があるが、「明治期、建築や造園に関する英語を日本語に翻訳する際に、architectureを造家学、landscape architectureやlandscape gardeningを造園学とした。」というのが一般的である。
しばし、「造園」から「ランドスケープ」に発展したという風な解釈をされることが多いが、実際には、「landscape architecture」という言葉を、日本に導入する際に出来た「造園」という言葉が、日本の文化的背景等により、本来の意味からかけ離れた為に、本来の意味にて使用する為に「ランドスケープ」という外来語のまま使われるようになったという流れが正しい。
ランドスケープにおける考え方は、人や時代によって変化するが、よく使われる言葉がある。
例えば、ランドマークは、歴史的建築物、高層建築物、広場、公園など、その都市における象徴的存在そのものを指す。具体的には、東京タワー(日本)、凱旋門(パリ)、ホワイトハウス(ワシントン)、天安門広場(北京)などである。いづれもその都市の代名詞と成り得るシンボルであり、都市にシンボルを設けることは、ランドスケープでよく使われる、わかりやすい手法のひとつである。
また、距離を利用し、風景の変化を作り出す手法もある。日本庭園では、近くから順にコケ、低木、高木を配し、塀で風景を切り取り、遠くの山、空を借景で演出する。
個々の造園計画により、都市全体に魅力を持たせる手法、都市内に作られる公園、川辺の親水空間、建築物周辺の植栽、街路樹などを計画、構築することは一般的なことである。
また、景観に配慮した都市計画では、街路周辺の建築物の高さ、色、形状を統一し、風景の一体感を持たせることで演出する。
[編集] 都市計画としてのランドスケープ
都市計画とランドスケープの繋がりは古くから存在する。
日本の神社はかつて、仏教伝来以前は、祭事を行う場所であるだけでなく、先祖の供養を行い、村の人間が議論する中心であった。
古代ギリシアの中央広場、フォールムは神殿、体育場、公共施設に囲まれた空間で、市民の集まる都市の中心である。帝政ローマのフォロ・ロマーノは、広大な領土の中心として、政治、軍事、宗教の中心的な場所であった。
都市計画で人が集まる中心的な場所の構築は、よく用いられた設計手法のひとつであった。
[編集] 関連項目
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