メジロドーベル
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1999年11月21日 東京競馬場 |
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性別 | 牝 |
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毛色 | 鹿毛 |
品種 | サラブレッド |
生誕 | 1994年5月6日 |
死没 | (現役繁殖牝馬) |
父 | メジロライアン |
母 | メジロビューティー |
生産 | メジロ牧場 |
生国 | 日本(北海道伊達市) |
馬主 | (有)メジロ牧場 |
調教師 | 大久保洋吉 (美浦) |
競走成績 | 21戦10勝 |
獲得賞金 | 7億3342万2000円 |
メジロドーベルは、日本の競走馬。メジロライアンの初年度産駒で、母はメジロビューティー(母の父パーソロン)である。1994年5月6日にメジロ牧場で生まれた。
- (馬齢表記は全て現行方式に統一する)
目次 |
[編集] 戦績
2歳時(1996年)はデビュー戦の新馬戦を勝った後、2戦目の新潟3歳ステークスこそ5着に敗れたもの、その後3連勝で阪神3歳牝馬ステークスを制し、最優秀3歳牝馬(当時)となった。破った相手の中には、後に海外GIを制するシーキングザパールも含まれていた。
3歳の牝馬三冠競走第1戦桜花賞は、不良馬場とキョウエイマーチのスピードにかなわず2着。しかし優駿牝馬・秋華賞と快勝し、この年の最優秀4歳牝馬(当時)、最優秀父内国産馬となった。なお、秋緒戦で3歳牝馬としては異例といえるオールカマーに出走し、勝利を収めている。
4歳の春は中・長距離路線で牡馬と対戦したが精彩を欠いた。しかし、秋緒戦の府中牝馬ステークスで復活、エリザベス女王杯ではエアグルーヴを倒して勝利し、4つめのGIタイトルを獲得した。また、最優秀5歳以上牝馬(当時)を受賞した。
5歳の春は中山牝馬ステークスに出走するも、ハンデ58.5kg(牡馬で60.5kgに相当)の酷量のためか2着に敗れ、レース後に故障のため休養を余儀なくされた。秋に復帰するが毎日王冠でも6着の惨敗。「ピークを過ぎた」「終わった」ともいわれて臨んだエリザベス女王杯だったが、これに見事勝利し、史上初の連覇を達成した(2005年までに、エリザベス女王杯を連覇したのはメジロドーベルとアドマイヤグルーヴの2頭がいる。)。さらには史上初の4年連続のJRA賞受賞となる最優秀5歳以上牝馬(当時)に輝いて、これを置き土産に現役を引退した。
牝馬限定戦では8勝 2着2回 3着1回 着外なし、という無類の強さを誇りながら、牡馬の一線級にはまったく歯が立たなかった(一応、牡馬混合レースは3歳時にオールカマーを勝っているが、下級オープン馬が多いレースだった)。G1レース5勝(JRA牝馬限定なら最多勝利数)、4年連続GI優勝(4年連続GI優勝は他にはメジロマックイーン、アグネスデジタル、アドマイヤドン、ユートピアのみ)という輝かしい実績を残しながら顕彰馬に未だ選出されていないのも、勝鞍のほとんどが牝馬限定戦で牡馬相手に活躍できなかったことが理由の一端であると思われる。
[編集] 引退後
引退後は繁殖牝馬となったが、産駒の成績は不調が続いている。1世代目のメジロヒラリー(父エルコンドルパサー)、2世代目(父サンデーサイレンス)の両牝馬はそれぞれ未出走のまま引退。2005年7月17日、新潟競馬場の2歳新馬にて3世代目であるメジロアレグレット(牝馬、父アグネスタキオン)がデビューしたが3着に終わり、その後も勝ちきれずにいた。しかし2006年10月8日東京競馬第3競走において、競走中に故障を発生、予後不良と診断された。
[編集] 母メジロビューティーの特殊な血液型
メジロドーベルの1歳上の兄には父サンデーサイレンスの産駒がいたが、生まれてすぐに黄疸が出てしまった。そして、そのサンデーサイレンス産駒は度重なる輸血の結果、感染症を併発して命を落とすことになり、母メジロビューティーの血液は検査に出されることになった。 検査の結果、メジロビューティーの血液型は特殊であり、その血液型と適合するのは日本の種牡馬の約22%だけであることが判明した。しかし、その結果が出た時点で、メジロビューティーはメジロライアンの仔を宿していた。メジロライアンは「22%」の中には含まれていなかった。その仔がメジロドーベルであった。 母と父の血液型が不適合であったため、メジロドーベルは実の母から乳をもらうことが出来なかった。(不適合の母から乳をもらうと死に至る 場合もある)しかし、馬は初乳を飲むことによって初めて免疫力をつけることが出来るため、メジロドーベルは同じ時期に出産を控えていた片目の見えないメジロローラントから乳をもらうことになった。
[編集] エピソード
- 当歳時、放牧中に手術が必要なほどの重度な骨折をしてしまい、約1ヶ月馬房からでられない生活を余儀なくされる。遊びたい盛りの時期に馬房から出られなかったという辛い経験が、競走生活での勝負根性を養ったといわれてる。
- 2歳時の担当厩務員が、翌年2月に急死してしまう。
[編集] 競走成績
1996年(5戦4勝) - JRA賞最優秀3歳牝馬
- 阪神3歳牝馬ステークス、
1997年(6戦3勝) - JRA賞最優秀4歳牝馬、最優秀父内国産馬
- 優駿牝馬(オークス)、秋華賞、オールカマー
- 2着 - 桜花賞
- 3着 - チューリップ賞
1998年(7戦2勝) - JRA賞最優秀5歳以上牝馬
- エリザベス女王杯、府中牝馬ステークス
- 2着 - 大阪杯
1999年(3戦1勝) - JRA賞最優秀5歳以上牝馬
- エリザベス女王杯
- 2着 - 中山牝馬ステークス
[編集] 親子三代GI制覇
メジロドーベルは親子三代GI(級)制覇を達成したが、2006年現在、本馬を含め下記の6組が達成している。(グレード制制定前については八大競走をGI級とした。)
- メジロアサマ(天皇賞(秋)) - メジロティターン(天皇賞(秋)) - メジロマックイーン(天皇賞(春)他)
- サクラユタカオー(天皇賞(秋)) - サクラバクシンオー(スプリンターズステークス)- ショウナンカンプ(高松宮記念)
- シンボリルドルフ(クラシック三冠他) - トウカイテイオー(ジャパンカップ他) - トウカイポイント(マイルチャンピオンシップ)・ストロングブラッド(かしわ記念)・ヤマニンシュクル(阪神JF)
- アンバーシャダイ(有馬記念他) - メジロライアン(宝塚記念) - メジロドーベル(本馬)・メジロブライト(天皇賞(春))
- ダイナカール(優駿牝馬) - エアグルーヴ(優駿牝馬・天皇賞(秋))- アドマイヤグルーヴ(エリザベス女王杯2回)
- アグネスレディー(優駿牝馬) - アグネスフローラ(桜花賞) - アグネスフライト(東京優駿)・アグネスタキオン(皐月賞)
[編集] 血統表
メジロドーベルの血統 (Northern Taste系/アウトブリード) | |||
父
メジロライアン 1987 鹿毛 |
アンバーシャダイ 1977 鹿毛 |
* ノーザンテースト Northern Taste |
Northern Dancer |
Lady Victoria | |||
* クリアアンバー Clear Amber |
Ambiopoise | ||
One Clear Call | |||
メジロチェイサー 1977 鹿毛 |
メジロサンマン | Charlottesville | |
* Paradisea | |||
* Cheryl シェリル |
* Snob | ||
Chanel | |||
母
メジロビューティー 1982 鹿毛 |
* パーソロン Partholon 1960 鹿毛 |
Milesian | My Babu |
Oatflake | |||
Paleo | Pharis | ||
Calonice | |||
メジロナガサキ 1971 栗毛 |
* ネヴァービート Never Beat |
Never Say Die | |
Bride Elect | |||
メジロボサツ | * Montaval | ||
メジロクイン F-No.10-d |
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