マシュー・リッジウェイ

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マシュー・バンカー・リッジウェイ将軍

マシュー・バンカー・リッジウェイ(Matthew Bunker Ridgway, 1895年 3月3日 - 1993年 7月26日)は、アメリカ陸軍の将軍。ダグラス・マッカーサーの後任として1950年 6月より1952年 4月まで連合国軍最高司令官総司令部 (GHQ) の第2代総司令官として日本の占領統治に当たった。また、彼はいくつかの有名な作戦を指揮したが、特に朝鮮戦争に於いて国連軍を救い出したことで有名である。

[編集] 生い立ちと初期の経歴

彼はバージニア州フォート・モンローで生まれる。1917年にウェストポイントを卒業し、アメリカ陸軍少尉に任官した。彼は卒業後、スペイン語教官としてウェストポイントに戻ることとなる。その後彼はジョージア州フォート・ベニングの歩兵学校で士官養成課程を修了し、第15歩兵連隊の指揮官となる。続いてニカラグアへ配属され、ここで彼は1927年の自由選挙の監督を支援した。

1930年に彼はフィリピン総督の軍事技術顧問となる。その数年後、カンザス州フォート・レヴェンワースの参謀学校に入校し、同時期（1930年代中頃）に第6軍団の副参謀長となる。その後、第2軍の副幕僚長、第4軍の副参謀局長を歴任した。ジョージ・マーシャル将軍はその功績を認め、第二次世界大戦が勃発すると彼はリッジウェイを戦争計画局に配属した。

[編集] 第二次世界大戦

1942年8月にリッジウェイは准将に昇任し、オマル・ブラッドリーが第28歩兵師団長へ転任したのをうけ、後任の第82空挺師団長となる。同師団は軍の二つの空挺師団構想の内の一つとして選ばれたが、この師団が選ばれたのはリッジウェイの教官としての能力と、同僚たちのあいだで際立っていた思考の柔軟性によるところが大きい。当時空挺師団構想はアメリカ陸軍にとって実験的試みであった。

リッジウェイは1943年のハスキー作戦を支援した。1944年にはオーバーロード作戦での空挺降下計画を支援した。ノルマンディー上陸作戦時、彼は部下と共にパラシュート降下し、St-Sauveur-le-Vicomteへの進出を目指して33日間の戦闘を経験した。1944年9月には第18空挺軍団の指揮を任され、ドイツへの侵攻を指揮した。一年後彼は中将に昇進する。終戦時彼は、大尉時代にウェストポイントで仕えたダグラス・マッカーサー元帥のもとで新たな任務につくため、機上にあった。

彼は1945年の暫くの間ルソン島で指揮を行い、続いて地中海での連合軍副最高司令官に就任した。1940年代末にはカリブ海でのアメリカ軍の指揮を行い、後に陸軍参謀総長J・ロートン・コリンズの下で副参謀長に就任した。

[編集] 朝鮮戦争

リッジウェイの最も重要な転機は、朝鮮戦争中の1950年12月、中国参戦で国連軍が敗走する最中に第8軍司令官ウォルトン・ウォーカー中将が事故死したことで生じた。彼はウォーカーの後任として第8軍司令官に就任した。国連軍総司令官（アメリカ極東軍総司令官）ダグラス・マッカーサー元帥は、リッジウェイに、ウォーカーには与えなかった第10軍団の指揮権も与えた。リッジウェイは中国人民志願軍の攻勢を押し止め、1951年春から反撃に転じた。マッカーサー元帥が1951年4月にハリー・S・トルーマン大統領によって総司令官を解任されると、リッジウェイがその後任となり、大将に昇進して、朝鮮半島での国連軍の指揮と日本の占領統治を行った。

リッジウェイによって壊滅寸前であった国連軍は態勢を立て直して反撃に転ずる事ができた。軍事歴史家は圧倒的多数の中国軍が停止し、結局韓国から38度線の向こうに撃退することができたのはリッジウェイが第8軍を立て直すことができたからだとする。この期間に、リッジウェイ個人のリーダーシップの例は、基本的な軍事活動における原則についての彼の完全な知識と同様に、アメリカ陸軍史上でほとんど一致することができなかったリーダーシップの標準として定められることとなった。

リッジウェイに与えられたもう一つの重要な任務は、連合国の占領下にあった日本を独立させて西側陣営の一員に加える事であった。彼は吉田茂首相との協調によってこの課題を克服してサンフランシスコ講和条約が発効して日本の占領が解除された1952年4月までGHQを率いた。

日本占領が終了した直後の1952年5月、リッジウェイはドワイト・D・アイゼンハワーの後任としてNATO軍最高司令官に就任する。しかしながら周りのスタッフを自らの部下で固めようとしたため他ヨーロッパ諸国の軍指揮官の反発を受ける。彼はコリンズ将軍の後任として陸軍参謀総長に就任するためアメリカに帰国した。リッジウェイはその職にあった間に、ベトナム戦争へのアメリカの介入を遅らせたと歴史家に見なされる。アイゼンハワー大統領はアメリカ軍がフランス軍と合同で介入することに関して彼の評価を求めた。これを受けてリッジウェイは、必要な大規模介入の包括的概略を準備し、介入を行わないよう大統領を説得した。しかしながらその経験は、リッジウェイがアイゼンハワーと第二次世界大戦中に保った良好な関係を試すこととなった。また、彼は1955年に陸軍を退役し、その後任は以前第82空挺師団で副官であったマクスウェル・D・テイラーが就任した。多くの軍事歴史家の見解では、リッジウェイが陸軍参謀総長にあったことで、アメリカのベトナムへの介入は十年遅れたと考えられている。

[編集] 後年

リッジウェイは自分が考えていたよりも早期の退役を強いられた。しかしながら彼は自らの能力が及ぶ限り、国に奉仕したと確信していた。数年後彼は自叙伝『The Memoirs of Matthew B. Ridgway』を出版した。

リッジウェイは軍に於いて成功したが、個人的生活では成功しなかった。彼は3度結婚している。彼はペンシルバニア州ピッツバーグのメロン産業調査研究所の取締役会長を1960年まで務めた。彼の友人および同僚によると、1971年に息子が交通事故死した後以前とは違ってますます元気が無く不機嫌になったという。彼はピッツバーグ郊外のフォックス・チャペルの自宅で1993年7月、98歳で死去した。彼はアーリントン国立墓地に埋葬されている。

連合軍最高司令官（SCAP）

1950 - 1952