ヘッドアップディスプレイ
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ヘッドアップディスプレイ (Head-Up Display;HUD) は人間の視野に直接情報を映し出す手段である。この技術は軍事航空分野において開発され、実験的にではあるがさまざまな分野に応用されている。
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[編集] ヘッドアップディスプレイ
ヘッドアップディスプレイには以下の特徴がある。
- このディスプレイは、大きく透明で、情報はヘッドアップディスプレイ利用者の通常の視界と重なって表示される。
- 情報は無限遠の点に結像する。これはヘッドアップディスプレイ利用者が外界から映像に視点を切り替える時、焦点を合わせなおす (通常コンマ数秒かかる) 必要がなくなるからである。
また人間の視野に情報が映し出され、人間の視線、あるいは頭の方向に追随するものもあるがこれは一般的にヘッドマウントディスプレイに分類されるため、ここでは記述しない。
現在のヘッドアップディスプレイを実現する最も一般的な手段は、透明な光学ガラス素子に画像を投影することである。もともとは、画像が投影する装置はブラウン管 (Cathode Ray Tube ;CRT) であった。ただ最近は投影装置として小型ディスプレイの技術が導入されている。小型ディスプレイは液晶ディスプレイ (LCD)、反射型液晶パネル (LCOS) で実現されている。
当初、ヘッドアップディスプレイは戦闘機で導入され、後に低空飛行する軍用ヘリコプターなどにも導入されるようになった。パイロットには自機の速度や進行方向などの重要な情報が重なって見えるようになっており、飛行中に計器に視界を切り替えることにより発生する致命的なミスを防げるようになっている。近年では大型の輸送機などでも使用されるようになり、戦闘機ではヘルメットに直接映し出すヘッドマウントディスプレイに切り替わってきているが、ヘルメットの重量増加による首への負担増加が懸念されている。また、銃器のダットサイトの中には、ヘッドアップディスプレイと同じ構造の物(Bushnell社のホロサイト等)も登場している。
[編集] 応用
ヘッドアップディスプレイの応用として以下のようなものが提案されている。
- 自動車のフロントガラスに運転者向けの基本的な情報の(無限遠の点に結像するような)画像を提供する。これは既に発売している自動車メーカーもある[1]。ただ、(通常は速度計が表示されるが)テレビの映像などを運転中に表示すると違法になる。日本ではトヨタ・クラウンマジェスタが全車標準装備し速度表示やカーナビゲーションガイド、ナイトビューで使用されているほか、ホンダ・レジェンドがインテリジェント・ナイトビジョンシステムに使用している。かつては日産・シルビアにも採用されていた。
- ジェームズ・ボンドの007 消されたライセンスの中に登場するボンドの車、 SAAB900 ターボ にはヘッドアップディスプレイが装着されていた。
- 医者にX線やCTスキャンの映像を患者と重ね合わせて表示する。これにより、通常は見ることができない体の構造を見ることができるようになる。
多くのコンピューターゲームやテレビゲームは通常のゲーム画面にいろいろな情報 (弾薬残量、地図、点数など) が重なって表示される。ヘッドアップディスプレイはそのような目的でも利用されている。 (ただ、通常のコンピューターディスプレイにヘッドアップディスプレイを用いてもあまり意味がない)
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
このヘッドアップディスプレイは、英語版ウィキペディアのen:Head-Up Display (2005年5月4日版; 著者:en:User:Tapo en:User:165.121.137.44 en:User:Finlay McWalter en:User:Polyphilo en:User:Samwほか)を基に訳出したものを、更に新たな文献を参考に記述しようとするものである。 |
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