プロジェクトX~挑戦者たち~
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プロジェクトX ~挑戦者たち~(プロジェクトエックス ~ちょうせんしゃたち~)は、NHK総合テレビのドキュメンタリー番組である。2000年3月28日から2005年12月28日まで放映されていた。通称「プロジェクトX」。全放送作品は191本(正式な放送回数としてカウントされた作品187本+特別編4本 アンコール=「特選プロジェクトX」を含む=は除く)。
番組内容は、戦後のさまざまな開発プロジェクトなどが直面した難問を、どのように克服し成功に至ったかを感動的に紹介するドキュメントである。無名の日本人リーダーと、それに従い支えた多くの人々による挑戦と努力(技術開発に限らない)、そしてその成果の紹介がテーマであるが、本田宗一郎や毛利衛が登場する回もあった。
よくこの番組のタイトルの名前がマンガなどのパロディとして使われることが多く、プロジェクト○などといった例が存在する。また、番組を演出するナレーター・田口トモロヲの朴訥な語りが特徴的であったため、しばしばその語り口調もパロディとして使われる事が多い。(NHK、民放問わず)テレビ番組でのパロディではテーマ曲「地上の星」を流すのがお約束である。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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目次 |
[編集] 人気
放送後しばらくして“高度経済成長期の成功物語”だけを取り上げ続けるマンネリ化の兆しも見られたが、そのマンネリさを乗り越えるというより逆にマンネリに居直る番組戦略が功を奏し、NHKとしては日曜日昼の「NHKのど自慢」的な長寿番組になりつつあった。「水戸黄門」を好む中高年の嗜好パターンと同様に、安心感をもたらして人気が続いていたともいえる。取り上げられた話の一つが映画(VHS開発物語を扱った『陽はまた昇る』)にまでなった。番組後半では海外で活躍した日本人の話や、現在進行中のプロジェクトを取り上げる等、マンネリを避ける試みも見られた。
しかし、回を重ねていく内にネタ切れに苦しみ、番組のテーマソングを歌っていた中島みゆきが紅白歌合戦に出場した2002年を境に人気に陰りが見られるようになり、2004年8月に裏番組の「ズバリ言うわよ!」(TBS)が始まってからは主力だった中高年の視聴者を奪われて視聴率1桁台の回を出すようになった。さらに追い討ちをかけるかのように2005年5月に不祥事が発覚し(「大幅な誇張」を参照)、それ以降は信用を失ったかのように1桁台を連発するようになった。過去の人気作の再放送を頻発して延命を図るもののさらに視聴率が下がって逆効果となったため、2006年3月終了予定としたが早めてしまい、2005年12月28日で打ち切りとなった。最終回には番組のテーマソングを歌っていた中島みゆきが出演し、エンディングテーマを歌った。しかし、「一番子供に見せたい番組アンケート」では四年連続一位だった。なお、「プロジェクトX」は教科書でも多く取り上げられている。
[編集] 演出パターン
高度経済成長期の成功物語がよく取り上げられ、それも重厚長大産業や自動車、家電産業が多い。 大半はハッピーエンドで終わるが、日本初の生体肝移植プロジェクトを取り上げた「裕弥ちゃん1歳·輝け命~日本初·親から子への肝臓移植~」では、移植手術は成功するものの、その後の生体拒否反応で裕弥ちゃんが死亡すると言う結末で、ハッピーエンドでは終わらなかった。
[編集] PTAの評価
「日本PTA全国協議会」の「子供に見せたい番組」に、2001年から4年連続1位に掲載された。しかし、子供が見るには難解な表現が多いのに加え、やらせ疑惑(「大幅な誇張」を参照)などの不祥事が多かったため、「不祥事続きのNHKを象徴する番組」「美談ばかり」「嘘つき」「やらせ番組」といった批判も多く、否定的な視聴者や評論家から「プロジェクト×(バッテン、バツ、ペケ、ダメ)」「ドキュメンタリーの皮を被ったバラエティー番組」などと揶揄されることもあった。その影響もあって、2005年のアンケートでは4位に急落した。しかも1位に輝いたのは、結果的に止めを刺すことになった裏番組『1リットルの涙』(フジテレビ)である。また、日本人男性に焦点を当てた内容がほとんどで、それも家庭を顧みずにプロジョクトに打ち込む姿を美化する表現が多かった事から、PTAの中でも母親や女性教師の一部には評判がよくなく、特にフェミニズムの影響を受けたPTAからは早い時期から批判があったと言われている。
[編集] 大幅な誇張
番組開始当初は「商品名」「製品名」のナレーションを避ける傾向(公共放送の性質上、報道番組を除けば特定の企業名・商品名などは基本的に放送で触れないことになっている)があったが、2年目に入る頃には一部の「商品名」「製品名」が読まれるようになった。後に問題となる「協賛金」の噂とともにやらせ疑惑が浮上する様になった。
プロジェクトに関わった人達への綿密な取材から意外なエピソードが出て来る事が多く、取材途中で方針を変えることも少なくないと言う。しかし2年目以降は程度の差こそあるものの、些細な事でも大袈裟に表現する事が多く見られた。
また、現場の人間にスポットを当て美化する演出と、周囲の無理解に追い詰められるものの大逆転する展開が定型化する余り、イメージ的に良いことを現在も自主的に現場の人間が行っているかのような事実を誤認させる演出や、取材対象の周囲も最初から又はかなり早い段階から肯定的・協力的で取材でもそれは明らかだったのに、ありもしない抵抗や騒動をあったとしたり「周囲は否定的な意見ばかりであった」などと事実を捏造する演出が特に2年目以降多々あり、取材に協力した企業や団体から放送後に抗議されることも常態化していた(番組側はこの抗議や放送前の修正依頼の殆どに対し「編集が間に合わない」「演出上の問題」「今後改善する」と言いながら全く措置を行わないなど無碍に扱っている)。これら一連の不祥事の黒幕はあの海老沢勝二会長(当時)とも噂されており、番組の終了または不定期放送への移行を望む声が局内でもあったにもかかわらず、海老沢の圧力で不祥事をもみ消してレギュラー放送としての続行を命じた、とも言われている。しかし遂には2005年5月にやらせが大問題となり、その後は以前に放送した分のやらせについて外部にリークする者も現れるようになったため、本番組のやらせについて大きく取り扱われるようになった。
過去にテレビ朝日で放送していた『驚きももの木20世紀』内で紹介していた内容に、そっくりのエピソード がいくつもある事から、盗作した疑いもある。
結果的にこれらが発端となり、ネタ切れで体力の低下していた本番組に終焉をもたらし、教養・ドキュメンタリー番組の質と信用の低下を招き、衰退させることになった。
- 例(他にも多々あり)
- 2000年11月28日放送の「よみがえれ日本海」では、神戸から来た災害ボランティアが、地元の青年会議所を指導して三国重油災害ボランティアセンターを作ったことになっているが、実際は当初、それぞれが受け入れ窓口を作り、話し合いで一本化したとの批判もある。また、番組に出てきた青年会議所の役員は、最後の数週間引き継いだ人物で、初代の責任者は現職の県議会議員であるために、政治的配慮から1カットだけしか登場しなかったと言われている。
- 2001年7月10日放送の「白神山地 マタギの森の総力戦」では、青森・秋田で別々に発生し、のちに合同した反対運動が、秋田側の呼びかけで始まったかの様に描写をされており、関係者の抗議を受けこの回のビデオソフト化は見送られている。
- 2005年5月10日放送の「ファイト!町工場に捧げる日本一の歌」で、取り上げられた側の大阪府立淀川工業高等学校が事実とは異なる点があるとして、訂正と謝罪を申し入れた。放送では「淀川工業高校は荒れていて音楽など全く縁がなかったが、新任した先生が他の職員の反対を押し切り合唱部を設立。合唱を通じて生徒を更生させ、合唱コンクールに出場する。しかしコンクール会場にはパトカーが来ているなど、淀川工業高校の参加に対し主催者側が大きな警戒感を露にした」となっていたが、当時から淀川工業高校は荒れていない平均的な高校であり、前々から吹奏楽部があって全国大会で上位のレベルであった。合唱部設立の際も校長自ら早期に賛成している。合唱コンクール参加時も主催側は数ある参加校のひとつとしてしか考えておらず、警戒などする理由もなくパトカーも来ていなかったなど、放送内容の殆どが捏造だった。NHK側もこの回については行き過ぎた点があったとし、同年5月28日放送の番組「土曜スタジオパーク」でこれまでの経緯を説明し、担当部長が生出演して謝罪した。また、同年5月31日の番組終了後にも国井雅比古キャスターが謝罪のコメントを行った。ホームページからはこの回の紹介ページが削除され、放送された事実だけが残されている。その後視聴率が悪化して番組の瓦解につながるとともに、NHKが大幅な番組改編を余儀なくされるきっかけとなった有名な事例である。
[編集] 番組の打ち切り
NHKは経営改革をアピールするため、2006年春に大規模な番組改編を予定し、その一環として2005年度末にあたる2006年3月に番組を終了する方針を固めていた。後続番組に関しては、2006年度より『NHKニュース10』が廃止され、『NHKニュース9』が1時間番組に拡張される予定であった。しかし、裏番組の『ズバリ言うわよ!』に敗れるほか、その後も視聴率の下落が止まらず改善の見込みもないと判断されたために本来の予定がさらに早まり、2005年12月28日放送分で打ち切られ、最終回は総集編を放送する事になった。
後続の番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』が2006年1月10日より放送されている。プロジェクトXに似る内容で、第一線で活躍するプロの仕事振りを取り上げるドキュメンタリー番組。プロジェクトXが「チームの活躍」を紹介してきたのに対し、優れた「個人の仕事」にスポットを当てている。
また、プロジェクトXで取り上げるのが男性に偏りがちだったために一部の女性から批判が高まっていた点を慮り、『プロフェッショナル 仕事の流儀』では女性を多く取り上げる方針を採っているようである。
[編集] データ
[編集] 放映時間
日本時間の毎週火曜日21時15分から21時58分まで。再放送は水曜日深夜(木曜未明)1時10分から1時53分まで。BS2でも月曜日夕方(不定期)17時15分~17時58分に放送。
NHKワールドTV、NHKワールド・プレミアムでも放送(NHKワールドTVは副音声英語による2ヶ国語放送)。
なお、最終回(2005年12月28日)は、通常の火曜日ではなく水曜日に移し19:30~22:00(途中20:45~21:15はニュースによる中断を挟む)での2部構成で放送。
[編集] アンコール
2001年後期以後、過去に放映され再放送の要望が多かった作品が、3、4週おきにアンコールとして放送される。その際、オープニングの司会挨拶部分等新たに収録や取材した物を交えた再構成ヴァージョンとして放映される。番組後期にはこのアンコールが1ヶ月以上(時には2ヶ月)続いた事も珍しくなく、ネタが尽きたと言われる理由の一つである。2000年度は予告で「○○のドラマを再びお届けします」と、アンコール放送であることがわかる表現をしていたが、後期にはそのようなことは一切なくなる。
2004年度には、毎週日曜日にBS1で「特選 プロジェクトX ~挑戦者たち~」と題して過去の放送の中から選りすぐりのものを放送していた。
また、2005年10月4日からは原則毎週火曜日16:05~16:50にアンコールアワーとして過去に放映された物から好評を得たテーマを再構成して放送していた。
[編集] オープニング
毎回異なるテーマを放送する番組である為、「プロジェクトX」のタイトルのCG(インフェルノで作られている)の後、各回のキーワードとなる映像が主題歌に合わせて流れる。映像と曲に合わせて文字(書体は写研の石井横太明朝体)が流れる独特なオープニングはあまりにも有名である。主題歌は、放映当初より変わらず中島みゆきの「地上の星」(第1回~11回、12回~45回、46回~で、それぞれ微妙にメロディーが異なる)。中高年男性の支持を背景に、記録的なロングヒットとなった。
[編集] エンディング
エンディングテーマは、主題歌と同じく中島みゆきの「ヘッドライト·テールライト」。プロジェクトに係わった人々のその後を追いつつ、最後はスタッフロールとなる。
[編集] 次回予告
通常は30秒。ひと月分のラインナップの紹介を含めて60秒の場合もある。「日本初のマイカー てんとう虫町を行く」と、最終回スペシャルの次回予告は単独の60秒物であった。
[編集] 司会者
- 2000年4月~2001年9月:国井雅比古・久保純子
- 2001年10月~2005年12月:国井雅比古・膳場貴子(久保が育児休暇を取るために番組を降板し、代って膳場が担当。膳場はこの番組で名を上げたといえる、現在は久保・膳場ともにフリー)
[編集] 番組スタッフ
- 制作統括:今井彰(プロデューサー)
- 十数名のディレクターがおり、各回原則一人が担当して、3~4ヶ月で取材·構成·編集等を行う。他にも多くのスタッフが製作に関わっている。
- 語り:田口トモロヲ
[編集] NHK以外での放送
2005年4月からは、CS放送のSKY PerfecTV!のチャンネルの1つであるヒストリーチャンネルでも、放送済みのタイトルの中からセレクトされて放送されている。
[編集] 外国での放送
放送は世界30ヶ国で行われている。 いままでに英語、ロシア語、アラビア語、スペイン語に翻訳された。
- イラクでは地元の復興を願う地元のテレビ局がアラビア語版を2005年12月28日までに6本放送している。
- ベトナムでは映画館でも放送された。
[編集] 関連書籍・ビデオ
- 書籍
- 他にジュニア版(汐文社)、コミック版(宙出版)等が出版されている。
- ビデオとDVD(第I期~第IX期) NHKソフトウェアから発売
- ケータイパスワード方式DVD(ヴィジョネア株式会社)や、レンタルもされている。収録されていない回もあり、完全版ではない。
[編集] 関連項目
- プロジェクトX全放送作品リスト
- ムーブ!(淀川工業高校の放送内容について執拗に追及した番組)
[編集] 外部リンク
[編集] 前後番組の変遷
NHK総合 火曜日21時台 | ||
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