フリードリヒ・ハイエク
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フリードリヒ・アウグスト・フォン・ハイエク(Friedrich August von Hayek 1899年5月8日 - 1992年3月23日)は、オーストリア生まれの経済学者。ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインは母方の従兄弟にあたる。 1974年ノーベル経済学賞受賞。
オーストリア学派の代表的学者の一人であり、経済学、政治哲学、法思想、さらに心理学にまで渡る多岐な業績を残した。1944年に発表した「隷属への道」(The road to serfdom)では社会主義、共産主義、ナチズムが同根の集産主義であると批判し当時のベストセラーとなる。 1947年にはリバタリアニズムに立脚する学者が集結した組織「モンペルラン・ソサイエティー」を組織し、その初代会長を務めた。その思想は、後の英国のマーガレット・サッチャーや米国のロナルド・レーガンによる新保守主義・新自由主義の精神的支柱となった。 1991年には、アメリカの民間人へ与えられる最高の栄誉賞である大統領自由勲章を受賞。 20世紀を代表するリバタリアニズム思想家である。
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[編集] 略歴
ウィーン大学で当初は法学を学び、法学と社会科学の博士号を取得した。同時に経済学や心理学などへの関心を深め、オーストリア学派のルードヴィヒ・フォン・ミーゼスの私的ゼミへ参加した。1923年に渡米し、ニューヨーク大学で研究助手として働く。その後、ロンドン大学(LSE)やシカゴ大学、フライブルグ大学などの教授を歴任した。1938年には英国の市民権を取得している。
[編集] 古典的自由主義
ハイエクは現在はリバタリアニズムの思想家の一人とみなされているが、 本人は古典的自由主義者(classical liberal)を自称し、エドマンド・バークに倣いOld whigと呼ばれることを好んでいた。
[編集] 邦訳著作
[編集] 単著
- 『貨幣と景気変動』(高陽書院, 1934年)
- 『資本の純粋理論』(実業之日本社, 1934年)
- 『価格と生産』(高陽書院, 1939年)
- 『景気と貨幣――貨幣理論と景気理論』(森山書店, 1941年)
- 『隷従への道――全体主義と自由』(東京創元社, 1954年/改版, 1992年/春秋社, 1992年)
- 『新自由主義とは何か――あすを語る』(東京新聞出版局, 1976年)
- 『科学による反革命――理性の濫用』(木鐸社, 1979年)
- 『市場・知識・自由――自由主義の経済思想』(ミネルヴァ書房, 1986年)
- 『貨幣発行自由化論』(東洋経済新報社, 1988年)
- 『ハイエク、ハイエクを語る』(名古屋大学出版会, 2000年)
[編集] 共著
[編集] 編著
- 『集産主義計画経済の理論――社会主義の可能性に関する批判的研究』(実業之日本社, 1950年)
[編集] 全集
- 『ハイエク全集』(春秋社, 1986年-1990年)
- 1巻「貨幣理論と景気循環、価格と生産」
- 2巻「利潤、利子および投資」
- 3巻「個人主義と経済秩序」
- 4巻「感覚秩序」
- 5巻「自由の条件(1)自由の価値」
- 6巻「自由の条件(2)自由と法」
- 7巻「自由の条件(3)福祉国家における自由」
- 8巻「法と立法と自由(1)ルールと秩序」
- 9巻「法と立法と自由(2)社会主義の幻想」
- 10巻「法と立法と自由(3)自由人の政治的秩序」
カテゴリ: オーストリアの経済学者 | ノーベル経済学賞受賞者 | 政治思想家 | 1899年生 | 1992年没