パックス・アメリカーナ
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パックス・アメリカーナ(Pax Americana)とは、現代の唯一の超大国であるアメリカ合衆国がもたらす平和のこと (なお、パックス "Pax" とは、ラテン語で「平和」の意)。
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[編集] 定義
その開始時期については、主に次の2つのものが一般的である。
後者は、純粋に合衆国のみによる「平和」であるが、前者の中の冷戦期においても、合衆国とソ連の覇権の下、「平和」な状況が継続したものであり、これをパックス・ルッソ=アメリカーナ(Pax Russo-Americana)と称することもある。また、この時期の「平和」の本質は、核の抑止力にあったため「核の平和」(パックス・ヌクレア:Pax Nuclea)とも称すべきとの論者もいる。
[編集] パックス・アメリカーナの実情
[編集] 平和とは対照的な世界情勢
ソ連解体後、ヨーロッパにおける旧共産圏の諸国を含める形で「アメリカによる平和」は広がったが、その後もなお世界各地(主にアジア全域、アフリカ全域、ヨーロッパ旧共産圏、ラテンアメリカ)において地域紛争やテロリズムは絶えてはいない。例えば、アフリカにおいては、ルワンダ大虐殺やダルフール虐殺など、人類史上稀に見る大惨事が立て続けに発生しているし、当のアメリカ自体もアメリカ同時多発テロ事件から垣間見えるように歴史上初めて「外敵」によって国家が脅かされる状況にある。
[編集] アメリカによる平和の特徴
パックス・アメリカーナがその他の「超大国による平和」と異なる点が幾つか存在し、例えば
などが挙げられる。
実際、テロリズムや反グローバリズムなどの抵抗を受けながらも、これらの諸概念はアメリカの推進する「グローバル・スタンダード」によって地球全体に浸透しつつあり、これらのアメリカの理想が達成された最終成果として、極めて持続的で安定した世界情勢(平和)が誕生する可能性も言われる。但し、アメリカは、この理念を軍事力によって推進しようとする傾向があると諸外国から指摘され、この実態に警鐘を鳴らすノーム・チョムスキーのような「超大国主導型の世界的安全保障(=パックス・アメリカーナ)」を否定する論者も存在する。