紛争
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紛争(ふんそう)とは、対立する者同士がさまざまに争う状態を指す。特に政治学などでの定義として戦争や内戦のように、武力の衝突を主体とした武力紛争を指す事が多いが、経済紛争などいくつかの主体が激しく対立している状態をも指す。
[編集] 紛争の原因
紛争を引き起こしている原因には心的物的なあらゆる要因が複雑に起因するため、特定の事実、環境、人物などに限定することは不可能である。力関係の不均衡、利害関係による圧力、歴史の経緯、構造的暴力による虐待、時代の風潮、イデオロギーの偏見、被害者意識の中の復讐心などは紛争の誘因となりやすいが、これらもその他の国際関係、宗教、経済事情、文化、民族性、バイアス、無自覚な集団心理などと関係する。例えば民族紛争は双方が持つアイデンティティーや歴史、文化、利害関係、構造的暴力などの要因がしばしば関係している。民族による差異について自覚的になればなるほど、この紛争が発生する可能性は高まる。ほとんどの国や地域において民族、宗教(宗派)、職業、人種、思想、性別などには無意識的、または意識的な順列が存在しており、時にはそれが紛争の原点と設定される。
- 戦争は最も大規模な紛争といえる。軍事力という強制力をもって双方が政治目的を達しようとする行為、またその状態は主に国際関係上の対立、利害関係から発生するが、時には国内の世論や復讐心などが大きな誘因となる場合もある。
- テロは、近年急速に一般化しつつある紛争の形態と考えられる。その手法や思想傾向はさまざまだが、その根本にあるものは強烈な復讐心や使命感であると考えられる。なぜならコストパフォーマンスや利害関係を考慮した上でのテロという手段の効率は特別な事情が無い限り非常に悪く、政治目標を達成するというよりもその主張の影響力に主眼が置かれている傾向があるからだ。彼らは社会秩序に対する攻撃を加えることにより自らへの注目度を爆発的に高め、世論の変化や共感者の支持を集めることによる政治的目的の間接的な達成を目指す場合が多い。このような紛争は再生産が行われやすく、また影響力も大きいことから他の要因をも巻き込んで複雑化し、時には無自覚であった紛争の火種を明確化することもある。そのため総合的で根本的な解決策を示すことは絶望的であり、当然軍事力などの強制力のみに頼った解決を図ろうとすれば、その勢いをますます強めることになりかねない。