トヨタ・ハイエース
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ハイエース(HIACE)はトヨタ自動車で生産されているキャブオーバー形状の車体を持つ自動車。ワゴン、ライトバン、マイクロバス(コミューター)がある。初代モデルは1967年に登場した。
かつては標準ボディやトラックもラインナップされていたが、現在は消滅している。日産・キャラバンが最大のライバル。 他にも、タクシーや救急車、寝台車などとしても利用されている。 個人ユーザーでは趣味の道具:競技用オートバイ(ロードレーサー・モトクロッサー)やラジコン飛行機などを輸送するトランスポーター(通称:トランポ)としてよく使われているほか、バニングやキャンピングカーのベース車としても重宝されている。
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[編集] 概要
[編集] ボディ
先代モデルは1989年に登場したが、何度もマイナーチェンジを繰り返した。ボディはワゴン標準、ワゴンロング、ワゴンロングミドルルーフ、グランドキャビンと呼ばれるワゴンスーパーロングハイルーフ、バン標準、バンロング、バンロングハイルーフ、バンスーパーロングハイルーフ、15人乗りのマイクロバスであるコミューターと多岐に渡る。同社で販売されているトヨタ・エスティマが斬新的なイメージで登場したが、こちらは設計自体が古く、フロアシフトだった為、ウォークスルーもできなかった。
[編集] エンジン
エンジンは発売当初はワゴンにガソリン2000の1RZ-Eと2400の2RZ-E、ディーゼル2400の2L 2400ターボの2L-TE、2800の3Lがあり、バンにはガソリン2000とディーゼル2400であった。その後、ワゴンは2400ccターボディーゼルが3000ターボディーゼルの1KZ-TEに、バンの2400ディーゼルは2800を経て3000の5Lとなった。その後、バンには2400ガソリンが追加されている。先代モデルのバン最終型のガソリン2000はエンジンが1TR-FE型VVT-i付きとなった。
[編集] 駆動方式
駆動方式はFRを基本に初期はパートタイム4WD、中期(3000ターボディーゼル設定以降)はフルタイム4WD。グレードはワゴンはDX カスタム スーパーカスタム スーパーカスタムリミテッドを基本としバンはCD DX GL スーパーGLとなるが特別仕様車や年度によって相違がある。また、カタログに掲載されないグレードもあり注意が必要。また、バンは商用車として最も人気の高い車種であり、姉妹車としてレジアスエース(REGIUS ACE)の車名でも販売されているが、ハイエースとの相違点は取り扱い販売店系列の違いとワゴンの設定の有無だけにとどまっている。
エンジンはハイエース史上初の全車4気筒DOHC化で、ガソリン2000ccの1TR-FE、2700ccの2TR-FE。ディーゼルは2500ccコモンレール式DOHCインタークーラーターボの2KD-FTVとなっている。ワゴンのディーゼルは規制の為ドロップしているがバンは規制をクリアしている。駆動方式は先代最終型と同じFRとフルタイム4WDである。
グレードはワゴンDX グランドキャビン バンDX スーパーGL コミューターDX コミューターGLが基本であるが特別架装車もすでに存在する。また、バンシリーズには両側スライドドアを採用したモデルがあり、ワゴン&コミューターは従来の助手席側のみのスライドドアである。また、タイにはワゴンの豪華仕様のヴェンチュリーが存在する。グランドキャビンをベースにアルミホイール、メッキ装備、革張りシートを装備する。2-2-3-4の11人乗りである。そのため10人乗りのグランドキャビンは3ナンバー登録だが、ヴェンチュリーは日本の規格では2ナンバー(乗合自動車、大型免許が必要)となってしまう。
[編集] 歴史
[編集] 初代(1967年-1977年)
- 1967年初代モデル発売。15人乗りのコミューターは初代から設定があった。救急車仕様はトヨタ救急車として発売された。
[編集] 2代目(1977年-1982年)
- 1977年2代目にフルモデルチェンジ。丸型4灯ライトから丸型2灯ライトに変更された。
[編集] 3代目 L50/60/70系 (1982-1989年)
- 1982年12月 フルモデルチェンジ。(発売は83年1月。トラックはマイナーチェンジで従来型を継続生産)新開発のレーザー3Y型ガソリンと従来型から引き継がれたL型ディーゼルを搭載。ワゴンの最上級グレードは「スーパーカスタム・サン&ムーンルーフ」であった。
- 1984年 ワゴンのディーゼルエンジンをレーザー2L型に変更した。少し遅れてバンにもレーザー2L型ディーゼルが搭載される。
- 1985年 マイナーチェンジ。フェイスリフトを施し、ワゴンの最上級グレード「スーパーカスタムリミテッド」を追加。また、スーパーカスタム・サン&ムーンルーフ以上にレーザー2L-T型ターボディーゼル車を設定した。バンはヘッドランプを丸型から角型へ変更した。
- トラックのフルモデルチェンジ。トヨエースと車体を共用しているが形式はL80系と独立している。南アフリカ共和国では現在も販売されている。
- 1987年 ワゴン系のマイナーチェンジ。異形ヘッドランプの採用により、後のH100系に通ずるデザインとなった。また、ワゴンスーパーカスタム及びバンのほぼ全グレードに4WDを設定した。4WDのエンジンはワゴンがレーザー3Y型、バンがレーザー2L型ディーゼルであった。バンに中期型ワゴンと同じ顔を持った最上級グレード「スーパーGL」を追加。
[編集] 4代目 H100系(1989-2004年)
- 1989年4代目へフルモデルチェンジ。ガソリン挿入口が従来の右から左に変わった。また、全車フロアシフトとなり、ステッキ式パーキングブレーキからハンドブレーキに変更された。
- 1992年ハイエースベースの高規格救急車トヨタ・ハイメディック発売。エンジンはハイエースに本来設定の無い初代セルシオ用V型8気筒エンジンが搭載される。
- 1993年マイナーチェンジ。(ワゴンに3000ccディーゼルターボエンジン設定・ディーゼル車を平成4年規制に適合)
- 1995年一部改良。(ワゴンのディーゼル車を平成6年規制に適合)
- 1996年ワゴンマイナーチェンジ。(運転席・助手席エアバッグ、ABSを標準装備)
- 1999年マイナーチェンジ。バンに姉妹車レジアスエース追加。GLはグレードではなくDX・GLパッケージとなる。ワゴンではハイエースのエンブレムが6年ぶりに復活した他、MT車が廃止となった。
- 2001年スーパーGLのステアリングがワゴン用になり、スーパーGLより若干装備の質が落とされたスーパーGL-E追加。
- 2003年バンのガソリンのエンジンを新開発の1TR-FEに変更され、同時に良-低排出ガス認定(☆)を受ける。
- 欧州ではモデル途中からグランビアの廉価仕様をハイエースとして発売している。
[編集] 5代目 H200系(2004年-)
- 2004年8月に現行モデルへ15年ぶりにフルモデルチェンジした。ボディはワゴンワイドロング、グランドキャビンはワイドスーパーロングハイルーフ、バンロング、バンロングハイルーフ、バンワイドスーパーロングハイルーフ、コミューターと整理された。スーパーロング車はワイドボディとなりワゴンやコミューターでは居住性が向上。シフトは先代はフロアに付いていた為、ウォークスルーが出来なかったが、現行型は全車インパネに付いておりウォークスルーがしやすくなっている。5MTと4ATが選べる。また、15年ぶりにステッキ式パーキングブレーキを復活させた。
ディーゼル車は、各種ディーゼル規制をクリアしている。
- ワゴンにはトヨタモデリスタインターナショナルの手でドレスアップされたエアロツアラーも設定された。ベースはワゴンDXだが、カラードバンパー、エアロパーツやオプションのパワーウインドウやワイヤレスドアロックなどの快適装備も装備され、安っぽさを感じないものとなっている。ちなみに持ち込み登録である。
- 2005年 一時受注停止
- 2005年11月、一部改良。全車にヘッドライトマニュアルレべリング機構を採用し、ハイマウントストップランプを装備した。スーパーGLはカラードバンパーから樹脂バンパーに変更された。
- 2006年4月27日、200系ハイエースロングをベースにした新型のハイメディック登場。エンジンはロング同様2700cc直列4気筒2TR-FEが搭載された。尚トヨタの高規格救急車でハイエースのエンジンが搭載されたのは今回が初めてである。
- 通常ハイルーフでキャンピング特装車両は以前からラインナップされていたが、天井に頭が届かないハイメディック専用の嵩上げルーフに仕様変更が検討されている。
[編集] 製造
[編集] 派生車種
(いずれも絶版)