ゲンゴロウブナ

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ゲンゴロウブナ

界:	動物界　Animalia
門:	脊索動物門　Chordata
亜門:	脊椎動物亜門　Vertebrata
上綱:	魚上綱　Pisciformes
綱:	硬骨魚綱　Osteichthyes
目:	コイ目　Cypriniformes
科:	コイ科　Cyprinidae
亜科:	コイ亜科　Cyprininae
属:	フナ属　Carassius
種:	cuvieri

学名

Carassius cuvieri

和名

ゲンゴロウブナ

ゲンゴロウブナ（源五郎鮒、学名 Carassius cuvieri）は、コイ目コイ科コイ亜科フナ属の淡水魚である。別名はヘラブナ（箆鮒）、カワチブナ（河内鮒）、オウミブナ（近江鮒）など。釣り師の間では「ヘラブナ（へらぶな）」としておなじみの魚である（後述）。

[編集] 概要

現在でこそ放流によって全国の河川や池沼、湖に定着しているが、本来は琵琶湖の固有種である。ギンブナなど、他のフナ類と比較して体高が高く、真横から見ると菱形の体型をしている。また眼も若干下方についている。成長は早く、生後3年で体長が30cmほどになり、大きなものでは60cm以上に達する個体も見られる。寿命は長く、中には数十年生きるものも存在する。繁殖期は4月から6月で、この時期になると水草や岸辺の草の根などに卵を産み付ける。

[編集] ヘラブナ

ヘラブナ（篦鮒）はゲンゴロウブナを品種改良した飼育種。ゲンゴロウブナは雑食性だが、ヘラブナは基本的に植物性プランクトンしか食べない。大阪（河内）で盛んに養殖され（「カワチブナ」呼称の由来）、主に淀川水系へ放流された。現在も養殖されて、各地の「へらぶな会」などにより全国に放流されている。

[編集] 釣り

昔から釣りの難易度で「鮎とへらは最高峰」と言われるが、釣り堀や管理釣り場であれば初心者でも比較的容易に楽しむことができる。反対に、野池やダムなどの2世代以降（1世代目は放流魚）の「地べら」は警戒心が強く困難である。もともと放流魚の1世代目は「新べら」と言われ餌慣れしており一度だけは釣れ易く、釣られたことがないため「引き」も強い。一瞬の微妙な「あたり」に素早く対応するために、竿の先端（穂先）を水中に入れ、道糸をたるませないようにする。

ヘラブナは水中のプランクトンを食べるため、マッシュポテトや麩、グルテンなどの練り餌を使う。かつて関西ではうどんがよく用いられたが、現在ではあまり使われない。季節や釣り場に応じて使い分け、練り方にも工夫を加えることで釣果が左右される。

浮き

餌を口に入れたり出したりして水に溶けだした餌を吸い込んで食べるため、微妙な「あたり」を見逃さずに釣らなければならない。そのために、細長く非常に敏感なヘラブナ釣り専用の浮き（ヘラウキ）が用いられる。孔雀の羽などを材料に自作する釣り人もいる。

釣り竿

より魚との勝負を楽しむため、ヘラブナ釣り専用の「へら竿」が使われる。穂先の部分を「朱塗り」と呼ぶ地方もある（竿の先端が赤かったことに由来）。他の釣り竿同様、各メーカーから市販されているが、へら竿専門職人製の高級品（主に竹製）も存在する。万力などで支持固定された「竿掛け」に置き、常に竿を握って「あたり」に備える。

釣り針

リリース（釣り上げたヘラブナは持ち帰らず放流する）が前提の釣りなので、魚をなるべく傷つけないよう「返し」のない釣り針が使われる。「ヘラスレ」「ヤラズ」等の呼称がある。2本同時に用いるのが一般的。

釣期

一年を通して釣りは可能だが、季節によって別の魚とも思える行動をとるので、「へら師」（ヘラブナ釣り人の総称）は、釣り上げる以前に魚の行動研究を大事にしている。春先から5月頃にかけての産卵期は「乗っ込み」といい、大型狙いや数釣りの好機とされる。一方、水温の低下する冬季のヘラブナは「寒ベラ」と呼ばれ、摂餌行動が鈍化し釣れ難くなる。

[編集] 問題

近年、ヘラブナ釣りは、その隆盛にともない数々の問題（主に環境に対する影響）も指摘されるようになっている。ただしそれらの問題は、ヘラブナ釣りのみならず釣り一般に通じて言えることとする見解がある。また、法規制やバッシングを受けたバス釣り愛好者の一部が「バスだけが悪者なのか」と、いわば矛先逸らしにヘラブナを引き合いに出しているといった、穿った見方がされることもある。

練り餌による水質汚濁

「ヘラは寄せて釣れ」の言葉からもうかがえるが、ヘラブナ釣りは多量の練り餌を消費する。そのため、うち込まれた餌すなわち有機物の量がしばしば自然の分解能力を超過し、富栄養化の原因となる。釣りを終えて帰る際に余った餌を水中へ投棄するなどの行為も見られ、特に溜池など面積の狭い止水域では深刻と考えられる。

無秩序な放流

釣りなどを目的として各地で放流が繰り返された結果、生態系への影響を懸念する声がある。具体的には、在来種（キンブナやギンブナなど）との交雑による遺伝子汚染や、放流される無数のヘラブナにブラックバスやブルーギル、モツゴなどの種苗が混入し、それらが放流先で繁殖して在来魚を駆逐する可能性がある、等である。

釣り台の常設

野のヘラブナ釣りにおいては「釣り台（ヘラ台）」と呼ばれる、金属や木でできた台座を利用することが多い。釣り場で組み立て、釣り終えれば撤去するものであるが、これを恣に「常設」し、設置者がその一帯を自分の縄張りであるかのように振舞うことがある。そこが自己所有地であるかあるいは地権者から許諾を得ている場合を除き、不法行為と見なされる。

[編集] 食材

琵琶湖が原産で、最近では琵琶湖の固有種であるニゴロブナが、総合開発や外来種であるブラックバスやブルーギルの台頭などによる生態系の変化など環境の悪化により個体数が減少したため、ニゴロブナの代わりに鮒寿司の材料に使われる。しかしながら、ヘラブナ釣りは、日本にキャッチ・アンド・リリースの概念が入ってくる以前から、食べることを目的としない釣りであり、もっぱら食味も悪いと言われているためか、釣り上げたヘラブナを食べることはない。