カール・シュミット
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カール・シュミット(Carl Schmitt, 1888年7月11日 - 1985年4月7日)は、ドイツの法学者・政治学者。
1888年、ドイツ・ヴェストファーレン地方のプレッテンベルクで生まれた。ベルリン大学、ミュンヘン大学などで学び、1916年、Der Wert des Staates und die Bedeutung des Einzelnen(『国家の価値と個人の意義』)で教授資格取得。ボン大学、ベルリン商科大学、ケルン大学で教授を歴任した後、ナチス政権が成立した1933年から45年まで、ベルリン大学教授。
独自の法学思想(後述)に依拠して、第一次大戦後のワイマール政権下、議会制民主主義を批判した。ハンス・ケルゼンとも論争を繰り広げた。これらはナチスの法学理論を支えることとなり、実際に、一時期ナチスに協力した。第二次大戦後に逮捕されニュルンベルク裁判で尋問を受けたが、不起訴となる。その後、故郷に隠棲し、著述活動をつづけた。
優柔不断な政治的ロマン主義者が最終的に、権威に屈従していく過程を観つつ、思想的状況に「決断」を下す独裁者を要請した。また、『政治的なものの概念』等で展開された「友-敵理論」(政治の本質を敵と味方の峻別と規定)や例外状態理論は夙に名高く、現代思想の重要な参照項である。
エルンスト・ユンガーとは、一生涯交流をつづけた。
[編集] 日本語訳著書
- 『政治的ロマン主義』(みすず書房, 1970年)
- 『政治的なものの概念』(未來社, 1970年)
- 『政治神学』(未来社, 1971年)
- 『陸と海と―世界史的一考察』(福村出版, 1971年)
- 『現代議会主義の精神史的地位』(みすず書房, 1972年)
- 『現代帝国主義論』(福村出版, 1972年)
- 『パルチザンの理論―政治的なるものの概念についての中間所見』(福村出版, 1972年/筑摩書房[ちくま学芸文庫], 1995年)
- 『リヴァイアサン―近代国家の生成と挫折』(福村出版, 1972年)
- 『大統領の独裁』(未来社, 1974年)
- 『憲法論』(みすず書房, 1974年)
- 『政治思想論集』(社会思想社, 1974年)
- 『大地のノモス―ヨーロッパ公法という国際法における(上・下)』(福村出版, 1976年)
- 『政治神学再論』(福村出版, 1980年)
- 『ハムレットもしくはヘカベ』(みすず書房, 1998年)
- 『攻撃戦争論』(信山社, 2000年)
- 『カール・シュミット時事論文集―ヴァイマール・ナチズム期の憲法・政治論議』(風行社, 2000年)
- 『ユンガー=シュミット往復書簡』(ヘルムート・キーゼル編。法政大学出版局, 2005年)