ウソ電
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ウソ電(うそでん)とは、鉄道ファンなどが、自己の撮影した鉄道写真画像をパソコンの画像編集ソフトウェアで加工し、実際には存在しないデザインの、架空の鉄道車両の写真画像を作り出すこと、また作り出した車両である。「ウソの電車」の省略形と考えられる。「うそ電」「嘘電」と表記されることもある。
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[編集] 鉄道趣味における位置付け
鉄道ファンの車両の知識は、形状、色彩、用途、使用線区が一組となっているため、その組み合わせを打ち壊すところに面白みを見いだしたものである。新幹線塗装の山手線電車のようなありえない組み合わせ、反対に転属や譲渡があればある(あった)かもしれないもの、どちらも同好者の内部での、いわゆる「よた話」を可視化したものとして理解できる。また、鉄道模型には実在しない車輌を製作する「フリーランス」というジャンルがあるが、それを実物写真の画像修正で実現する、2Dフリーランスの位置づけでも捉えられる。さらには、統一したコンセプトのもとでウソ電が系統だって作られれば、実在しない鉄道を創造する架空鉄道の一部と捉えることもできる。
[編集] 手法
フォトモンタージュの技法を使う。主要な対象としては、車両の色の変更、あるいは先頭、側面などの形状の変更、移植などがある。いずれも、全く実在したことのないデザインを使うのではなく、他の車両で採用された特徴あるものを使うことにより、面白さが増す。
[編集] 加工の例
- 同時代に存在した類似系列の塗装に変更する。
- 先行する類似用途の車両の塗装にする。旧型の装いをまとわせる。
- 他の系列に採用された広告塗装にする。
- 別の事業者の類似用途あるいは同系列車両と同じ色にする。
- 普通鋼製やアルミ製車両の塗装されている外板をステンレスの無塗装にする、またはその逆。
- ステンレス車体を採用していない阪急の車両をステンレスにする
- 先頭部分にある貫通路を埋めて、その車両を非貫通型にする、またはその逆。
- 国鉄113系電車の先頭貫通路を埋める。
- 車両の形状にはあまり手を加えないが、その車両が走行したことがない風景の中に車両を貼り付ける。
- 地下鉄の車両を山岳線に走らせる。
- 車両の形状の一部を別の車両に移植する。
- 車体長を延長または短縮する。
- 全長25mの新幹線車両を12.5mにして編成両数を倍増させる。
- ドアを増やすあるいは減らす
[編集] 日本での消長
鉄道写真画像を加工し、実際には存在しない鉄道車両の写真画像を作る行為自体は、1995年頃からのパソコンと画像編集ソフトの普及により個人レベルで画像の加工・改変が容易に可能になったことを受けて行う者が現れた。ウソ電という言葉の由来は、1999年に一個人の鉄道ファンがインターネット上に「ウソ電」というウェブサイトを作成・公開し、同サイト上で上記のように加工した鉄道写真を大量に掲載したことによるものである。
この「ウソ電」はインターネット上で人気を呼び、画像編集ソフトの流通と相まって、同じように写真を加工し、自己のウェブサイトや、鉄道趣味の画像を専門に扱う掲示板で公開する者が続出した。そしてその加工画像も「ウソ電」と呼ばれ、定着していった。
また、2000年から鉄道模型雑誌である『RM MODELS』に「今月のウソ電」というコーナーが連載されるようになった。ウソ電写真をもとにその車輌をフリーランスの模型として同誌に投稿、掲載される例もあった。
「ウソ電」のアイディアが登場した直後は、高度な合成がなされた実写写真と見まごうほどの出来のものも多く、だまし絵の一種として受け止められた。その後明らかに加工の跡がわかるようなものが増えるにしたがいブームは下降線をたどった。
[編集] 世界のウソ電
ウソ電は、着想が鉄道ファンの共通のものであるため、日本以外でも作成されている。例えば、両運転台にした新幹線車両をアメリカの貨物列車の先頭に立たせるなどがネットに発表されている。ただし電車でなく機関車を題材にしたものも多い。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- ウソ電
- おんぷちゃんねる
- 国鉄(インチキ)車両図鑑
- Berlinerwerke 英語話者によるウソ電サイト
カテゴリ: 鉄道関連のスタブ項目 | 鉄道と文化