郵政国会
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郵政国会(ゆうせいこっかい)とは郵政民営化法案が審議採決された第162回通常国会と第163回特別国会のこと。
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[編集] 第162回通常国会
2005年1月21日、小泉純一郎内閣総理大臣は施政方針演説で通常国会で郵政民営化法案を提出することを宣言。
5月20日、衆議院本会議おいて、「郵政民営化に関する特別委員会」が設置された。その後、5月26日、衆議院本会議において、内閣提出の郵政6法案(「郵政民営化法案」・「日本郵政株式会社法案」・「郵便事業株式会社法案」・「郵便局株式会社法案」・「独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法案」・「郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」)の趣旨説明が竹中平蔵国務大臣によって行われた。
6月28日、自由民主党総務会において修正案が全会一致の慣例を直前に変更して、初の多数決採決により賛成7票・反対5票で可決された。自民党は党則において総務会決議は多数決採決が明記されているが、禍根を残さないために事前の根回しを経て全会一致の可決が慣例であった。
衆議院郵政民営化に関する特別委員会において、反対派の委員を賛成派の委員に差し替えた後で、7月4日も委員会採決を行い可決された。その際、郵政民営化法案は自民党および公明党の修正された。7月5日、本会議で採決が行われ、賛成233票・反対228票という僅差で可決された。
小泉純一郎総理は、票差が5票だったことをうけて「際どい勝負だったね」と記者団に語っている。
「小泉自由民主党体制・郵政民営化」反対派は、「王道会」という勉強会を作った。会長には綿貫民輔が就任した。この会は、郵政民営化反対派によって構成されている。7月14日の勉強会では衆議院議員49名、参議院議員10名が出席した。
2005年7月13日、参議院で郵政民営化法案の審議が開始された。小泉首相は郵政民営化法案が否決された場合には、衆議院を解散することを示唆し始める。
また、同日、自民党の衆議院議員13名によって、「党内融和」を目的とする会合が開かれた。この会合では、「かつて自由民主党が野党になった時の惨たんたる経験を繰り返してはならない」という方針のもと、参議院で郵政民営化法案が否決された場合、衆議院解散・総選挙を回避する様に求めた。
その際、参議院では反対派の荒井広幸を中心に、自民党執行部に賛成の説得を受けないようにした反対派への「ステルス作戦」を行うようになる。
翌7月20日には、小泉純一郎総理は「今のところ確実に反対するのが10人前後、反対の可能性のある人は20人前後ではないか」という、票読みをした。
7月20日には青木幹雄参議院議員会長(執行部・郵政民営化賛成派)と綿貫民輔(郵政民営化反対派)らが東京都内で会食を行っている。
また、参議院での採決が近づくにつれ、「(民営化法案が廃案になった際の)衆議院解散」の方に議員の関心が傾いていった。同時に、自民党内からは、「解散反対」の意見が噴出した。
8月1日、自民党の永岡洋治衆議院議員が自宅にて自殺をしていたのが発見された。
8月5日、参議院郵政民営化特別委員会に於いて採決され、自民党および公明党の賛成多数で可決された。その際、郵便局のネットワーク維持や日本郵政公社の分割民営化後も一体経営を確保するための配慮を政府に求める計18の付帯決議を採択した。これは、郵政民営化反対派に対しての配慮として注目された。なお、同日、自由民主党の中曽根弘文参議院議員(中曽根康弘元首相の長男)は、「法案に反対する」と宣言した。自民党執行部は、「中曽根弘文参院議員は法案賛成にまわり、反対派を牽制してくれる」と考えていたため、この「反対」の意志を示したことは、執行部にとって想定外であった。
自民党内では解散したら党内に遺恨を残し、選挙で自民党が負けて下野する予想があったため、法案修正案や継続審議案などによる解散回避論が高まっており、首相出身派閥の会長である森喜朗前首相が小泉首相に解散回避への直談判をするも、小泉首相は今国会での法案成立への決意を変えることはなく説得は失敗に終わった。その際、森は小泉首相が自分に対してビールとチーズしか出されなかった対応をマスコミに公開し、首相が本気だということをアピールした。
8月8日、参議院本会議で郵政法案に対する投票が行われ、賛成108票・反対125票で否決された。内閣提出の法案が参議院において委員会で可決され本会議で否決されたのは2例目であった。
小泉首相は郵政民営化法案否決を受け衆議院解散を決意し、衆議院議員総選挙となった。
その後の経緯は郵政解散・第44回衆議院議員総選挙を参照。
[編集] 郵政法案に反対・棄権した自民党議員
派閥 | 衆議院 | 参議院 | ||
---|---|---|---|---|
反対 | 棄権・欠席 | 反対 | 棄権・欠席 | |
橋本派 | 野呂田芳成 津島恭一 小泉龍司 保坂武 八代英太 綿貫民輔 村井仁 藤井孝男 小西理 滝実 森岡正宏 今村雅弘 保利耕輔 古川禎久 森山裕 松下忠洋 |
小渕優子 斉藤斗志二 佐藤信二 |
田村公平 河合常則 吉村剛太郎 岩永浩美 長谷川憲正 |
北岡秀二 野村哲郎 |
森派 | 城内実 | 中村正三郎 | - | - |
亀井派 | 山下貴史 小林興起 松宮勲 古屋圭司 青山丘 川上義博 平沼赳夫 亀井静香 能勢和子 武田良太 衛藤晟一 江藤拓 |
柳本卓治 | 狩野安 倉田寛之 大野つや子 柏村武昭 後藤博子 桜井新 魚住汎英 中川義雄 中曽根弘文 亀井郁夫 秋元司 荒井広幸 |
- |
旧堀内派 | 堀内光雄 田中英夫 左藤章 |
北村直人 近藤基彦 望月義夫 福井照 古賀誠 |
真鍋賢二 田浦直 田中直紀 |
荒井正吾 松山政司 大仁田厚 水落敏栄 |
山崎派 | 自見庄三郎 | 渡辺具能 野田毅 |
- | 山内俊夫 |
高村派 | - | 高村正彦 | - | - |
河野グループ | 亀井久興 | - | - | 浅野勝人 |
無派閥 | 野田聖子 熊代昭彦 山口俊一 |
梶山弘志 | 鴻池祥肇 二之湯智 |
- |
[編集] 自民党総務会での採決
- 賛成7名
- 反対5名
- 藤井孝男、野田毅、高村正彦、村井仁、永岡洋治
- 欠席・棄権19名
- 亀井静香など
[編集] 第163特別国会
第44回衆議院議員総選挙では、自民党は296議席を獲得する大勝をおさめ、公明党の31議席とあわせて与党で衆議院議員定数の3分の2にあたる327議席を獲得した。これにより、仮に衆議院で法案が可決され、参議院で法案が否決された場合でも、衆議院で3分の2以上の賛成で再可決させることができるようになった。またこの結果を受けて、参議院で郵政民営化法案に反対票を投じた議員も「この結果が国民の民意である」として賛成に回ることを表明する議員が現れ、郵政民営化法案を通す土壌は完全に整った。
9月17日未明の持ち回り閣議で、第163特別国会の日程が9月21日に召集されることが決まった(会期は11月1日までの42日間)。首班指名選挙の後、政府は郵政民営化法案を再提出した。
民主党も郵政改革法案を提出し対案を示したが、衆議院本会議で否決され廃案となった。政府提出の郵政民営化法案は衆議院本会議で10月11日に賛成338票・反対138票で可決、参議院本会議で10月14日に賛成134票・反対100票で可決され、法案は成立した。この採決では前回反対した自民党の造反議員の多くが賛成に回った。
10月21日、自民党は新党参加組の処分を下した。10月28日、自民党は新党組以外の造反議員に対する処分を下した。
[編集] 2回目の投票で反対・棄権した前回の造反議員
党派 | 衆議院 | 参議院 | ||
---|---|---|---|---|
反対 | 棄権 | 反対 | 棄権 | |
国民新党 | 綿貫民輔 亀井静香 亀井久興 |
- | 長谷川憲正 | - |
新党日本 | 滝実 | - | 荒井広幸 | - |
旧橋本派 | - | 野呂田芳成 | - | - |
亀井派 | 平沼赳夫 | - | - | 亀井郁夫 |
- ※…自民党の公認が得られなかったために無所属となった衆議院議員に関しては、衆議院解散前の所属派閥とした。
[編集] 郵政民営化法案に反対した自民党議員の処分
党派 | 衆議院 | 参議院 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
除名 | 離党勧告 | 戒告 | 除名 | 離党勧告 | 党員資格 停止1年※1 |
党役職 停止1年※1 |
戒告 | |
国民新党 | 綿貫民輔 亀井静香 亀井久興 津島恭一 |
- | - | 長谷川憲正 | - | - | - | - |
新党日本 | 滝実 青山丘 小林興起 |
- | - | 荒井広幸 | - | - | - | - |
旧橋本派 (橋本派) |
野呂田芳成 | 保利耕輔 今村雅弘 保坂武 古川禎久 森山裕 藤井孝男 松下忠洋 小泉龍司 森岡正宏 小西理 八代英太 |
村井仁 熊代昭彦 小渕優子 斉藤斗志二 |
- | - | - | 岩永浩美 河合常則 田村公平 吉村剛太郎 |
北岡秀二 野村哲郎 |
伊吹派 (亀井派) |
- | 平沼赳夫 古屋圭司 江藤拓 武田良太 衛藤晟一 松宮勲 山下貴史 川上義博 |
能勢和子 柳本卓治 |
- | 亀井郁夫※2 | 中川義雄 中曽根弘文 |
秋元司 魚住汎英 大野つや子 狩野安 柏村武昭 倉田寛之 後藤博子 桜井新 |
- |
旧堀内派 | - | 堀内光雄 左藤章 田中英夫 |
北村直人 近藤基彦 望月義夫 福井照 古賀誠 |
- | - | 田中直紀 | 田浦直 真鍋賢二 |
荒井正吾 松山政司 大仁田厚 水落敏栄 |
山崎派 | - | 自見庄三郎 | 渡辺具能 野田毅 |
- | - | - | - | 山内俊夫 |
森派 | - | 城内実 | - | - | - | - | - | - |
河野グループ | - | - | - | - | - | - | - | 浅野勝人 |
高村派 | - | - | 高村正彦 | - | - | - | - | - |
無派閥 | - | 山口俊一 野田聖子 |
梶山弘志 | - | - | - | 鴻池祥肇 二之湯智 |
- |
- ※…自民党の公認が得られなかったために無所属となった衆議院議員に関しては、衆議院解散前の所属派閥とした。
- ※1…執行猶予2年の処分(2006年12月で執行猶予1年となり、2006年10月に遡って猶予期間終了)
- ※2…離党勧告に従わなかったため、除名処分