横浜市立大学
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横浜市立大学(よこはましりつだいがく、Yokohama City University)は、神奈川県横浜市にある公立大学。
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概要
経営科学系は横浜市立横浜商業学校(Y校)専修科を母体として設立された横浜市立横浜商業専門学校(Y専)、国際教養学系・理学系は戦後の文化人の私塾(鎌倉アカデミア)、医学部は新八医科大学と同時期に昇格した医学専門学校を前身とする。
大学設立時の申請名称だった「横浜大学」が他の申請者(現在の横浜国立大学と神奈川大学)と重複したことにより、協議の末、校名に「市立」を入れることとなって現在の校名になった。
2005年4月に大幅な改組を実施。商学部・国際文化学部・理学部の3学部を統合し、新たに国際総合科学部を設置。横浜市立大学看護短期大学部を医学部と統合した。また運営も公立大学法人に移行した。
沿革
- 1882年 - 旧商学部の起源となる横浜商法学校(後の横浜商業学校)設立。
- 1928年 - 横浜市立横浜商業学校(Y校)専修科を母体として横浜市立横浜商業専門学校(Y専)設立。
- 1949年 - 学制改革により横浜市立大学となる。
- 1952年 - 横浜市立医学専門学校を前身とする市立横浜医科大学と統合し、医学部・文理学部を設置。
- 1987年 - 福浦キャンパス設置。
- 1995年 - 文理学部を改組し、国際文化学部・理学部を設置。看護短期大学部を設置。
- 1997年 - 医学部附属高等看護学校廃止。
- 2005年 - 商学部・国際文化学部・理学部の3学部を統合し国際総合科学部、看護短期大学を医学部に統合し医学部看護学科を設置。公立大学法人に移行。
キャンパス
- 福浦キャンパス(横浜市金沢区福浦)
- 医学部
- 鶴見キャンパス(横浜市鶴見区)
- 大学院国際総合科学研究科 生体超分子科学専攻
- 舞岡キャンパス(横浜市戸塚区舞岡町)
- 木原生物学研究所
学部
- 国際総合科学部国際総合科学科
- 国際教養学系
- 人間科学コース
- 国際文化創造コース
- 理学系
- 基盤科学コース
- 環境生命コース
- 経営科学系
- 政策経営コース
- 国際経営コース
- 融合領域
- ヨコハマ起業戦略コース
- 国際教養学系
- 医学部
- 医学科
- 看護学科
大学院
- 国際総合科学研究科
- 医学研究科
学生生活
学生の規律ある自治共同の生活を通して、その人間形成と厚生の充実を目的として、男子寮(夕照寮)と女子寮(萌生寮)を設置している。それぞれ、男子寮が約70名、女子寮が約30名生活している。
横浜とは思えない環境にあるが、落ち着いた校風に加え、遊べる環境の少なさからほとんどの学生が勉学や部活動に熱心に取り組んでいる。部活動は私立と異なり指導者や監督がいない場合が多く、学生の自助努力で行われている。また勉学に関しても旧学部における少人数制は、学生と教員の交流や指導を容易にし、学生の質を高めていたと言われる。このことは外部の講師から学生や教員にも度々伝えられた。
しかし、現在では教員の流失に伴い、ゼミが消える、指導教員を失うなどの問題が発生し、学生生活のメインである勉学に勤しむ環境が悪化しているとも言われる。
大学を取り巻く現状
医学部やその附属病院を始めとし商学部以外の全学部が大幅な負債となり市の財政を圧迫している現状から、その存続自体を含む今後のあり方が「市立大学の今後のあり方懇談会」(座長・橋爪大三郎東京工業大学教授)などで議論された。
その結果2005年4月に商学部・国際文化学部・理学部の3学部を統合し国際総合科学部を、医学部・看護短期大学を統合し医学部を設置。横浜市立大学は大幅な改組を行った。
国際総合科学部は国際総合科学科という学科一つのみで構成され、その中に国際教養学系・理学系・経営科学系の三学系を設置し各学科には二つのコースが設けられる。プラクティカルなリベラルアーツ(実践教養)を理念としている。
医学部は医学科と看護学科が設置される。看護短大は廃止となり四年制となる。
国際的にも通用する人材を育てるため英語教育が重視される。3年次に進級するにはTOEFL PBT500点程度以上の成績が無ければならない。英語教育は週三日必修となっている。
しかし、この動きには改革を推進する役員側と再編前の組織を支持する教職員組合との間で対立が続いており、大学運営の混乱の一原因となっている。先日行われた学長選挙では現職のブルース・ストロナクが再選したが、その際、役員以外の教職員には投票させなかった。また、教職員組合側の主張する、「急激な大学再編による混乱に対してのカリキュラム見直し」について、ストロナクは声明で「改革を継続する。」と一蹴、両者の対立はますます深まっている。
この当該大学の上記路線(東京都における東京都立大学→首都大学東京も軌を同じくする)については近年の国・地方自治体の行政改革路線に沿っていると評価する意見があると同時に、大学教育においては都市としての格・伝統・誇りを重視する大阪市の「大学は都市とともにあり、都市は大学とともにある」(大阪市立大学)という思想があり、どちらが優れているかという神学論争を執行部・組合共に避け、市民にとって実りのある大学を築く必要を問われている。
主なOB
経済人
- 太田孝 - 近畿日本ツーリスト社長
- 木内政雄 - 西友CEO
- 畔柳昇 - 名古屋証券取引所社長
- 幡掛大輔 - クボタ社長
- 馬場彰 - オンワード樫山会長
- 末安堅二 - 中京銀行頭取
- 浦野光人 - ニチレイ社長
- 秋谷浄恵 - 日清オイリオグループ会長
- 伊藤雅俊 - イトーヨーカドー設立者、横浜市立商業専門学校卒
- 野並豊 - 崎陽軒会長
- 遠藤淳一 - 日産自動車常務執行役員
- 奥田楯彦 - 西日本高速道路社長
- 大久保千行 - 横浜銀行代表取締役
- 志賀浦伴昭 - 浜銀総合研究所主席コンサルタント
- 足立誠一郎 - 前トヨタフランス社長
著名人
- 米田建三 - 自由民主党元衆議院議員
- 秋田建三 - NHKアナウンサー
- 野瀬正夫 - NHKアナウンサー
- 松井みどり - フジテレビ元アナウンサー
- 米本和広 - ジャーナリスト
- 馳星周 - 小説家
- 平井堅 - 歌手
- オオゼキタク - 歌手
- 今岡信治 - 映画監督
- 関野吉晴 - 医師・探検家、グレートジャーニー
- 荻野目悠樹 - 小説家
その他
- 矢部丈太郎 - 元公正取引委員会事務総長、元大阪大学大学院法学研究科教授
- 白川光徳 - 駐ボリビア特命全権大使
- 石田仁宏 - 駐ペルー特命全権大使
- 坂場三男 - 外務省外務報道官
- 足立純子 - HEC経営大学院(フランス)日本代表
- 森博幸 - 鹿児島市長
市大卒研究者
- 丁宗鉄 - 医学者、東京大学大学院医学系研究科助教授
- 松井啓之 - 経済学者、京都大学大学院経済学研究科助教授
- 鴨池治 - 経済学者、東北大学大学院経済学研究科教授
- 岡嶋孝治 - 物理学者、北海道大学電子科学研究所助教授
- 西條美紀 - 言語学者、東京工業大学留学生センター教授
- 佐藤公彦 - 歴史学者、東京外国語大学外国語学部教授
- 毛利勝彦 - 国際政治経済学者、国際基督教大学準教授
- 毛利聡子 - 国際関係学者、明星大学助教授
- 内田賢 - 経営学者、東京学芸大学教授
- 小木曽洋司 - 経営学者、中京大学助教授
- 加藤幸治 - 人文地理学者、国士舘大学助教授
- 吉沅洪 - 臨床心理学者、広島市立大学助教授
- 和田喜彦 - 経済学者、同志社大学助教授
- 末近浩太 - 中東政治学者、立命館大学助教授
- 吉田俊純 - 日本史学者、筑波学院大学教授
- 鈴木修一 - 哲学者、神奈川大学教授
- 吉野樹紀 - 日本文学者、沖縄国際大学教授
- 北山研二 - フランス文学者、成城大学教授
- 大上正直 - フィリピノ言語学者、大阪外国語大学教授
- 鈴木健之 - 中国文学者、東京学芸大学教授
- 竹本洋 - 経済学者、日本学士院賞、関西学院大学教授、商学部卒
- 平坂文男 - 言語学者、関東学院大学教授
教員OB
- 三枝博音 - 哲学者、科学史家
- 毛里和子 - 国際政治学者
- 浅島誠 - 発生生物学者、東京大学大学院総合文化研究科教授
- 森泰吉郎 - 森ビル創業者
- 野本三吉 - ノンフィクション作家、沖縄大学教授
- セルゲイ・ブラギンスキー -国際経済学者、ニューヨーク州立大学バッファロー校
- 唐亮 - 国際政治学者、法政大学教授
- 毛利勝彦 - 国際政治経済学者、国際基督教大学準教授
- 黒川修司 - 国際政治学者、東京女子大学教授
名誉教授
- 遠山茂樹 - 日本近代政治史、元文理学部教授
- 西郷信綱 - 日本古代文学、元文理学部教授
- 佐藤経明 - ソ連・中国経済研究、元商学部教授
- 矢吹晋 - 中国研究、元商学部教授
- 佐々木一郎 - 政治学、元国際文化学部教授
- 布施勉 - 国際法、元国際文化学部教授
- 大西文行 - 教育学、元国際文化学部教授