完全試合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
完全試合(かんぜんじあい)とは、野球、ソフトボールの試合における記録のこと。
目次 |
[編集] 概説
野球、ソフトボールの試合において、投手がヒット・得点はもちろんのことフォアボールやデッドボールや失策なども含め、ランナーを一人も許さずに完投勝利したことを意味する。パーフェクトゲーム、パーフェクトともいう。そのため、正確には投手個人の記録ではなく、チーム全体の記録でもある。
なお、ソフトボールと一部社会人野球の大会ではタイブレーク制度が採用されているため、タイブレーク突入までに完全試合を続けていた選手はランナーが自動的に出ることからその記録は途絶えることになる(ノーヒットノーランは継続される)。なお、コールドゲームや延長戦などの引き分けでありながらそれを継続していた場合、あるいは継投(複数の投手が登板しそれを達成する)によるものは公式な完全試合とは見なされず、参考記録の扱いとなる。
[編集] 高校野球全国大会
日本の高校野球全国大会ではこれまでに2人が達成している。
開催年 | 大会 | 投手 | 学校 | 試合 | 結果 | 相手校 |
---|---|---|---|---|---|---|
1978年 | 春・第50回 | 松本稔 | 前橋(群馬) | 一回戦 | 1-0 | 比叡山(滋賀) |
1994年 | 春・第66回 | 中野真博 | 金沢(石川) | 一回戦 | 3-0 | 江の川(島根) |
[編集] 東京六大学野球
東京六大学野球ではこれまでに2人達成している。
シーズン | 選手名 | 大学 | スコア | 相手校 |
---|---|---|---|---|
1964年春 | 渡辺泰輔 | 慶應義塾大学 | 1-0 | 立教大学 |
2000年秋 | 上重聡 | 立教大学 | 7-0 | 東京大学 |
[編集] 日本プロ野球
日本のプロ野球ではこれまで15人が達成している。
達成日 | 選手名(球団名) | スコア | 対戦相手 | 球場 |
---|---|---|---|---|
1950年6月28日 | 藤本英雄(巨人) | 4-0 | 西日本 | 青森 |
1955年6月19日 | 武智文雄(近鉄) | 1-0 | 大映 | 大阪 |
1956年9月19日 | 宮地惟友(国鉄) | 6-0 | 広島 | 金沢兼六園 |
1957年8月21日 | 金田正一(国鉄) | 1-0 | 中日 | 中日 |
1958年7月19日 | 西村貞朗(西鉄) | 1-0 | 東映 | 駒沢 |
1960年8月11日 | 島田源太郎(大洋) | 1-0 | 阪神 | 川崎 |
1961年6月20日 | 森滝義巳(国鉄) | 1-0 | 中日 | 後楽園 |
1966年5月1日 | 佐々木吉郎(大洋) | 1-0 | 広島 | 広島市民 |
1966年5月12日 | 田中勉(西鉄) | 2-0 | 南海 | 平和台 |
1968年9月14日 | 外木場義郎(広島) | 2-0 | 大洋 | 広島市民 |
1970年10月6日 | 佐々木宏一郎(近鉄) | 3-0 | 南海 | 大阪 |
1971年8月21日 | 高橋善正(東映) | 4-0 | 西鉄 | 後楽園 |
1973年10月10日 | 八木沢荘六(ロッテ) | 1-0 | 太平洋 | 仙台 |
1978年8月31日 | 今井雄太郎(阪急) | 5-0 | ロッテ | 仙台 |
1994年5月18日 | 槙原寛己(巨人) | 6-0 | 広島 | 福岡ドーム |
[編集] 備考
- ファウルフライ落球による失策を含む試合を完全試合とするかどうかについて、日本プロ野球のルール上では曖昧になっている。継投によるノーヒットノーラン・完全試合が認められていないことから、日本においてそれらはチームの記録ではなく投手の記録であること、また1981年のセ・パ記録部申し合わせ事項でファウルフライの失策があっても完全試合は成立することが確認されていることから、日本プロ野球ではファウルフライ落球の失策があっても、9回27人(9回以降は1回増えるごとに打者も3人増える)誰も出塁させなければ完全試合が成立すると見られている。アメリカメジャーリーグでは「チームの記録」との側面もあり、失策が記録されれば完全試合とは見なされなかったが、1991年以降は定義が緩和されて完全試合として認められている。
[編集] 参考
日付 | 選手名(球団名) | スコア | 対戦相手 | 球場 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
初回先頭打者に出塁を許し、その後を完全に抑えた例 | |||||
1956年6月6日 | 小山正明(阪神) | 2-0 | 大洋 | 甲子園 | 沖山光利に安打 |
1957年7月6日 | 稲尾和久(西鉄) | 2-1 | 阪急 | 平和台 | ロベルト・バルボンに本塁打 |
1981年4月11日 | 定岡正二(巨人) | 1-0 | 阪神 | 甲子園 | 北村照文に二塁打 |
9回2死から完全試合を逃した例 | |||||
1950年3月15日 | 田宮謙次郎(阪神) | 7-0 | 国鉄 | 倉敷市営 | 中村栄に初安打 |
1952年6月15日 | 別所毅彦(巨人) | 9-0 | 松竹 | 大阪 | 神崎安隆に初安打 |
1962年7月12日 | 村田元一(国鉄) | 1-0 | 阪神 | 後楽園 | 西山和良に初安打 |
9回終了まで抑え、延長で完全試合を逃した例 | |||||
2005年8月27日 | 西口文也(西武) | 1-0 | 楽天 | 西武ドーム | 10回無死から沖原佳典に初安打 |
無安打無四死球ながら失策で完全試合を逃した例 | |||||
1948年9月6日 | 真田重男(大陽) | 3-0 | 阪神 | 甲子園 | ノーヒットノーラン達成 |
2006年9月16日 | 山本昌(中日) | 3-0 | 阪神 | ナゴヤドーム | 〃 |
[編集] メジャーリーグ
メジャーリーグでは19世紀に2人、20世紀には14人が達成している。また、1956年のワールドシリーズでは、ニューヨーク・ヤンキースのドン・ラーセン投手がブルックリン・ドジャースを相手に完全試合を達成した。ワールドシリーズでは唯一の完全試合達成投手である。
2004年5月18日にアリゾナ・ダイヤモンドバックスのランディ・ジョンソン投手がアトランタ・ブレーブスを相手に21世紀では初、通算で17人目、史上最年長(40歳8ヶ月)の完全試合達成投手となった。
[編集] 19世紀
達成日 | 選手名(球団名) | スコア | 対戦相手 | 球場 |
---|---|---|---|---|
1880年6月12日 | ジョン・リー・リッチモンド (Worcester Worcesters) |
1-0 | Cleveland Blues | Worcester Agricultural Fairgrounds |
1880年6月16日 | モンテ・ウォード (Providence Grays) |
5-0 | Buffalo Bisons |