ヤンキー・スタジアム
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ヤンキー・スタジアム | |
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The House that Ruth Built | |
施設統計 | |
所在地 | 161st Street and River Avenue Bronx, New York 10451 |
起工 | 1922年5月5日 |
開場 | 1923年4月18日 |
所有者 | ニューヨーク市 |
グラウンド | 天然芝 (Merion Bluegrass) |
建設費 | 250万ドル |
設計者 | オズボーン・エンジニアリング |
建設者 | White Construction Company |
使用チーム、大会 | |
ニューヨーク・ヤンキース(開場 ~ 1973年 、1976年 ~ 現在)、 ニューヨーク・ジャイアンツ (1956年 ~ 1973年) |
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収容能力 | |
58,000人(開場時) 、62,000人(1926年) 、 82,000人(1927年) 、67,113人(1928年) 、 62,000人(1929年) 、71,699人(1937年) 、 70,000人(1942年) 、67,000人(1948年) 、 67,205人(1958年) 、67,337人(1961年) 、 67,000人(1965年) 、65,010人(1971年) 、 54,028人(1976年) 、57,145人(1977年) 、 57,545人(1980年) |
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規模 | |
左翼 - 318 ft (約96.9 m) 左中間 - 399 ft (約121.6 m) 中堅 - 408 ft (約124.4 m) 右中間 - 385 ft (約117.3 m) 右翼 - 314 ft (約95.7 m) バックネット - 84 ft (約25.6 m) |
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フェンスの高さ | |
8 ft (約2.4 m) ~ 10 ft (約3.0 m) |
ヤンキー・スタジアム(Yankee Stadium)は、アメリカのニューヨーク州ニューヨークブロンクス地区にある野球場。MLBニューヨーク・ヤンキースの本拠地である。野球場の名称に初めて「スタジアム」を使った球場として有名。
目次 |
[編集] 球場の歴史
ヤンキースは1913年からポロ・グラウンズをニューヨーク・ジャイアンツ(現サンフランシスコ・ジャイアンツ)と共用していた。しかし1920年、ベーブ・ルースがレッドソックスからヤンキースに移籍、54本塁打をマークする大活躍で一気にスター選手になり、「ルース効果」でヤンキースもメジャーリーグ史上初めて年間観客動員が100万人を突破した。これに腹をたてたジャイアンツのジョン・マグロー監督は「1921年以降はポロ・グラウンズを使うな」とヤンキースに通告した。するとヤンキースはブロンクス地区に巨大な球場を建設した。これがヤンキー・スタジアムである。
このことからヤンキー・スタジアムは「ルースが建てた家(The house that Ruth built)」との異名をもつ。しかし、開場時は左中間が異常に深かった(「デス・バレー」=「死の谷」と呼ばれた)ため左打者に有利だったことから「(左打者の)ルースのために建てられた家」だという声も存在する。
1923年4月18日に初開場し、のち三年にわたる改修を経て1976年4月15日に再開場した。ヤンキー・スタジアムでの最初のナイトゲームは1946年5月28日に行われた。開場時の収容人数は58,000人。1927年に8万人を超えるまで観客席を増設したのち、再び6万人台に収容人数を戻し、1976年の改修以降は5万人台の収容人数を保っている。
野球場として使用されるほか、1956年から1973年にかけてはNFLニューヨーク・ジャイアンツの本拠地として使用された。またプロボクシングの試合やサッカーの試合にも使われている。
1980年代のヤンキース低迷期には球場周辺の治安は最悪の状態となり、球場そばのハンバーガーショップは「天国に一番近いファーストフード店」と揶揄されるほどだった。当時ほどではないが現在でもブロンクス地区は治安の悪い地域である。
2009年には新しいヤンキー・スタジアムが完成する予定となっており、それにともない現在のヤンキー・スタジアムは2008年のシーズン終了後に取り壊される予定である。
[編集] フィールドの特徴
- 開場時ほどではないが、今でも左中間は深い。そのため右打者は不利である。
- 右中間の深さも385 ft (約117.3 m)ほどあり、浅いというわけではない。
- 内野の芝が長めで打球の勢いが死にやすいので、内野手には強肩が要求される。
- ファウルグラウンドがかなり狭く、基本的に打者有利である。
[編集] 外野の広さの変遷
年度 | 左翼 | 左中間 | 中堅 | 右中間 | 右翼 |
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1923 | 280.58 | 500 | 487 | 429 | 294.75 |
1924 | 280.58 | 490 | 487 | 429 | 294.75 |
1928 | 301 | 490 | 487 | 429 | 294.75 |
1930 | 301 | 490 | 487 | 429 | 295 |
1937 | 301 | 457 | 461 | 407 | 295 |
1939 | 301 | 457 | 461 | 407 | 296 |
1967 | 301 | 457 | 463 | 407 | 296 |
1976 | 312 | 436 | 417 | 385 | 310 |
1985 | 312 | 436 | 410 | 385 | 310 |
1988 | 318 | 399 | 408 | 385 | 314 |
※単位はフィート、1フィート≒30.48センチ
[編集] 設備、アトラクション、演出
- モニュメント・パーク:左中間フェンス後方に設置されている。1920年代にヤンキースの第1期黄金時代を築いたミラー・ハギンス元監督、球団史に残る大スターベーブ・ルース、ルー・ゲーリッグ、ジョー・ディマジオ、ミッキー・マントルの計5人の記念碑があるほか、往年の名選手のレリーフ像などが飾られている。試合中に入場することはできない。ロジャー・クレメンスが在籍時には、ベーブ・ルースのレリーフを触ってから登板した。
- ショー:5回終了時にはグラウンドキーパーが登場し、ヴィレッジ・ピープルの『Y.M.C.A.』に合わせて踊る。
- 試合終了後:「ニューヨーク・ニューヨーク」が場内に流される。ヤンキースが勝ったときはフランク・シナトラが歌ったものが、負けたときはライザ・ミネリが歌ったものが流れる。
[編集] 主要な出来事
- 1923年4月18日、レッドソックス戦で開場(ヤンキース 4 - 1 レッドソックス)。
- 1927年9月30日、ベーブ・ルースが大リーグ史上初のシーズン60本塁打を達成した。
- 1939年7月11日、オールスターゲーム開催(ア 3 - 1 ナ)。
- 1960年7月13日、オールスターゲーム(第2戦)開催(ナ 6 - 0 ア)。
- 1961年10月1日、ロジャー・マリスがシーズン61本塁打の新記録をうち立てた(しかし、ベーブ・ルースがそれまでの記録だった60本塁打を達成した1927年が154試合制だったのに対し、マリスが61本目の本塁打を打ったのが161試合目だったことから、マリスの記録には参考記録であることを示す*マークがつけられた)。
- 1967年5月14日、ミッキー・マントルが通算500本塁打を達成した。
- 1977年7月19日、オールスターゲーム開催(ナ 7 - 5 ア)。
- 1983年7月24日、ヤンキース - ロイヤルズ戦で「松ヤニバット事件」。
- ヤンキースが4 - 3でリードした9回表、ロイヤルズのジョージ・ブレットが逆転2ラン。しかしヤンキースのビリー・マーチン監督が「バットに松ヤニを塗ってもいいのはルールでは端から18インチではないか。ブレットのバットは松ヤニが付きすぎていてルール違反だ」と抗議。これが主審に認められ本塁打は取り消し、試合はヤンキースが制した。
- しかしロイヤルズがアメリカン・リーグに提訴すると、リーグ会長は「ブレットの本塁打は有効」と声明を発表。8月18日に、ブレットが本塁打を放った直後の場面から試合が再開され、ロイヤルズが勝利を収めた。
- 1998年5月17日、デービッド・ウェルズがツインズ戦で完全試合を達成した(ヤンキース 4 - 0 ツインズ)。大リーグ史上15人目。
- 1999年7月18日、デービッド・コーンがエクスポズ戦で完全試合を達成した(ヤンキース 6 - 0 エクスポズ)。大リーグ史上16人目。
- 2003年6月13日、ロジャー・クレメンスが通算300勝と通算4000奪三振を達成した。
- ワールドシリーズ開催:1923年、1926年、1927年、1928年、1932年、1936年、1937年、1938年、1939年、1941年、1942年、1943年、1947年、1949年、1950年、1951年、1952年、1953年、1955年、1956年、1957年、1958年、1960年、1961年、1962年、1963年、1964年、1976年、1977年、1978年、1981年、1996年、1998年、1999年、2000年、2001年、2003年
[編集] 外部リンク
前本拠地: ポロ・グラウンズ 1913 ~ 1922 |
ニューヨーク・ヤンキースの本拠地 1923 ~ 現在 |
次本拠地: n/a ~ |
前本拠地: ポロ・グラウンズ 1925 ~ 1955 |
ニューヨーク・ジャイアンツの本拠地 1956 ~ 1973 |
次本拠地: イェール・ボウル 1973 ~ 1974 |
MLBの本拠地球場 MLB Ballparks | ||
ナショナルリーグ(National League) | アメリカンリーグ(American League) | |
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