テイエムオペラオー
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テイエムオペラオー (左、2001年4月29日、京都競馬場) |
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性別 | 牡 |
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毛色 | 栗毛 |
品種 | サラブレッド |
生誕 | 1996年3月13日 |
死没 | (現役種牡馬) |
父 | オペラハウス |
母 | ワンスウエド |
生産 | 杵臼牧場 |
生国 | 日本(北海道浦河町) |
馬主 | 竹園正繼 |
調教師 | 岩元市三(栗東) |
競走成績 | 26戦14勝 |
獲得賞金 | 18億3518万9000円 |
テイエムオペラオー(1996年 - )は日本の競走馬・種牡馬。2006年現在、獲得賞金世界記録保持馬。1999年最優秀4歳牡馬。2000年年度代表馬、最優秀5歳以上牡馬。顕彰馬。
テイエムオペラオーはデビューから引退まで26戦全てのレースにおいて、自厩舎所属の和田竜二が手綱を取った。 1998年8月15日に京都競馬場で行われた3歳新馬戦でデビューしたが2着に敗れ、その後骨折を発症し休養に入った。初勝利は通算3走目となる1999年2月6日の市場取引馬・抽せん馬限定の4歳未勝利戦であった。その後、500万下条件のゆきやなぎ賞、GIIIの毎日杯を連勝したが、クラシックの第一次登録がなかったため、追加登録料200万円(岩元が「登録料を自分が半分持つから」と竹園を説得したと言われる)を支払って皐月賞に出走、直線一気の競馬で勝利を収め、初めて追加登録料を支払ってクラシックに出走し勝利を収めた馬となった。次走の日本ダービーはアドマイヤベガの3着に敗れた。
夏場を休養にあてて臨んだ秋初戦は菊花賞トライアルではなく古馬が相手となるGIIの京都大賞典でツルマルツヨシの3着。続く菊花賞では2番人気に推され直線で後方から差してきたがナリタトップロードの2着、ステイヤーズステークスでは1kgの斤量差があったとはいえ、同じ4歳馬のペインテドブラックの2着に敗れる。勝ちきれないレースが続く中で有馬記念に出走した。この年の有馬記念には古馬中長距離路線の2強といわれていたグラスワンダーとスペシャルウィークが出走しており、テイエムオペラオー自身はステイヤーズステークスから中2週での出走という厳しい状況だった。しかし、グラスワンダー・スペシャルウィークのハナ差のマッチレースから離されることなく、勝ったグラスワンダーと同タイムの3着で入線。この時の走りから和田騎手は「来年以降も活躍できる」と感じていた。3強と並び称されたアドマイヤベガ、ナリタトップロードとクラシック3冠を分けあう形になったが、JRA賞最優秀4歳牡馬はテイエムオペラオーが受賞している。
翌2000年は緒戦の京都記念を勝つと、それを皮切りに阪神大賞典、天皇賞(春)、宝塚記念、京都大賞典、天皇賞(秋)、ジャパンカップ、有馬記念と重賞8連勝を達成した。特に有馬記念では、他馬の執拗なマークにより進路を塞がれ、直線に入ってもなお後方に置かれていたが、そこから馬群を割りながら驚異的な末脚を繰り出してゴール前でメイショウドトウを捉え、勝利を収めた。天皇賞に以前の優勝馬が出走できる制度(勝ち抜け制度の廃止)になって以降、古馬中長距離路線のGI競走5戦(天皇賞(春)、宝塚記念、天皇賞(秋)、ジャパンカップ、有馬記念)をステップレースも含め年間無敗で完全制覇したのはテイエムオペラオーのみである。この年からスタートした秋季GI3競走(天皇賞(秋)、ジャパンカップ、有馬記念)を同一年で完全制覇した馬への特別報奨金1億円(当時。現在は内国産馬2億円、外国産馬1億円)も獲得し、JRA賞ではテンポイント、シンボリルドルフ以来3頭目となる満票で年度代表馬及び最優秀4歳以上牡馬に選ばれた。
翌2001年は大阪杯から始動し、単勝1.3倍の1番人気に支持されたが、トーホウドリームの4着に敗れ昨年からの連勝がストップする。しかし、次走の天皇賞(春)を勝ち、メジロマックイーン以来となる春の天皇賞連覇を達成した。勝ち抜け制度撤廃後、天皇賞を春→秋→春と3連勝したのはテイエムオペラオーのみである(メジロマックイーンは天皇賞を同じく春→秋→春で1着入線するも天皇賞・秋で18着降着になった)。次走の宝塚記念では、直線での不利が響いてメイショウドトウに敗れ、GIでの連勝も6でストップする。
秋シーズン緒戦の京都大賞典ではステイゴールドが最後の直線走路で外から内に斜行し、ナリタトップロードの進路を妨害して同馬を落馬・競走中止に追い込んだ上、さらに内側にいたテイエムオペラオーにも馬体を激しくぶつけた。ステイゴールドは1位入線したが失格になったため、テイエムオペラオーが繰り上がり1着となった。続く天皇賞(秋)はアグネスデジタルに直線で大外から差し切られ、ジャパンカップではジャングルポケットに差されてそれぞれ敗れ2着、そして引退レースとなった有馬記念ではマンハッタンカフェの5着となり、有終の美を飾ることはできなかった。
2002年1月13日に、京都競馬場でライバル・メイショウドトウと合同の引退式を行なわれた。その後、2004年4月26日、JRA顕彰馬に選出され、殿堂入りが決まった。
目次 |
[編集] 競走成績
年/月/日 | 競馬場 | レース名 | 格 | 距離 | 騎手 | 重量 | 着 順 |
人気/ 頭数 |
タイム | 馬 場 |
1着馬(2着馬) | タイム 差 |
1998/8/15 | 京都 | 新馬 | 芝1600 | 和田 | 52 | 2 | 1/12 | 1:36.7 | 良 | クラシックステージ | 1.0 | |
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1999/1/16 | 京都 | 未勝利 | ダ1400 | 和田 | 54 | 4 | 2/16 | 1:28.0 | 良 | ゼンノホーインボー | 0.8 | |
2/6 | 京都 | 未勝利 | ダ1800 | 和田 | 54 | 1 | 1/10 | 1:55.6 | 良 | (ヒミノコマンダー) | -0.9 | |
2/27 | 阪神 | ゆきやなぎ賞 | 芝2000 | 和田 | 55 | 1 | 2/14 | 2:05.3 | 稍 | (アンクルスルー) | -0.1 | |
3/28 | 阪神 | 毎日杯 | GIII | 芝2000 | 和田 | 55 | 1 | 3/14 | 2:04.1 | 良 | (タガノブライアン) | -0.7 |
4/18 | 中山 | 皐月賞 | GI | 芝2000 | 和田 | 57 | 1 | 5/17 | 2:00.7 | 良 | (オースミブライト) | -0.0 |
6/6 | 東京 | 東京優駿 | GI | 芝2400 | 和田 | 57 | 3 | 3/18 | 2:25.6 | 良 | アドマイヤベガ | 0.3 |
10/10 | 京都 | 京都大賞典 | GII | 芝2400 | 和田 | 57 | 3 | 3/10 | 2:24.4 | 良 | ツルマルツヨシ | 0.1 |
11/7 | 京都 | 菊花賞 | GI | 芝3000 | 和田 | 57 | 2 | 1/15 | 3:07.7 | 良 | ナリタトップロード | 0.1 |
12/4 | 中山 | ステイヤーズS | GII | 芝3600 | 和田 | 57 | 2 | 3/14 | 3:46.2 | 良 | ペインテドブラック | 0.0 |
12/26 | 中山 | 有馬記念 | GI | 芝2500 | 和田 | 55 | 3 | 5/14 | 2:37.2 | 良 | グラスワンダー | 0.0 |
2000/2/20 | 京都 | 京都記念 | GII | 芝2200 | 和田 | 57 | 1 | 1/11 | 2.13.8 | 良 | (ナリタトップロード) | -0.0 |
3/19 | 阪神 | 阪神大賞典 | GII | 芝3000 | 和田 | 58 | 1 | 1/9 | 3.09.4 | 稍 | (ラスカルスズカ) | -0.4 |
4/30 | 京都 | 天皇賞(春) | GI | 芝3200 | 和田 | 58 | 1 | 1/12 | 3.17.6 | 良 | (ラスカルスズカ) | -0.1 |
6/25 | 阪神 | 宝塚記念 | GI | 芝2200 | 和田 | 58 | 1 | 1/11 | 2.13.8 | 良 | (メイショウドトウ) | -0.0 |
10/8 | 京都 | 京都大賞典 | GII | 芝2400 | 和田 | 59 | 1 | 1/12 | 2.26.0 | 良 | (ナリタトップロード) | -0.0 |
10/29 | 東京 | 天皇賞(秋) | GI | 芝2000 | 和田 | 58 | 1 | 1/16 | 1.59.9 | 重 | (メイショウドトウ) | -0.4 |
11/26 | 東京 | ジャパンC | GI | 芝2400 | 和田 | 58 | 1 | 1/16 | 2.26.1 | 良 | (メイショウドトウ) | -0.0 |
12/24 | 中山 | 有馬記念 | GI | 芝2500 | 和田 | 57 | 1 | 1/16 | 2.34.1 | 良 | (メイショウドトウ) | -0.0 |
2001/4/1 | 阪神 | 大阪杯 | GII | 芝2000 | 和田 | 59 | 4 | 1/14 | 1.58.7 | 良 | トーホウドリーム | 0.3 |
4/29 | 京都 | 天皇賞(春) | GI | 芝3200 | 和田 | 58 | 1 | 1/12 | 3.16.2 | 良 | (メイショウドトウ) | -0.0 |
6/24 | 阪神 | 宝塚記念 | GI | 芝2200 | 和田 | 58 | 2 | 1/12 | 2.11.9 | 良 | メイショウドトウ | 0.2 |
10/7 | 京都 | 京都大賞典 | GII | 芝2400 | 和田 | 59 | 1 | 1/7 | 2.25.0 | 良 | (スエヒロコマンダー) | -0.8 |
10/28 | 東京 | 天皇賞(秋) | GI | 芝2000 | 和田 | 58 | 2 | 1/13 | 2.02.2 | 重 | アグネスデジタル | 0.2 |
11/25 | 東京 | ジャパンC | GI | 芝2400 | 和田 | 57 | 2 | 1/15 | 2.23.8 | 良 | ジャングルポケット | 0.0 |
12/23 | 中山 | 有馬記念 | GI | 芝2500 | 和田 | 57 | 5 | 1/13 | 2.33.3 | 良 | マンハッタンカフェ | 0.2 |
[編集] 記録
- 歴代最高賞金獲得: 18億3518万9000円(世界最高収得賞金額)
- GI最多勝利: 7勝(タイ記録)
- GI最多連勝: 6連勝
- GI最多連続連対: 9連続連対
- GI年間最多勝利: 5勝
- 重賞最多連勝: 8連勝(タイ記録)
- 天皇賞最多勝: 3勝
[編集] エピソード
- 北海道市場の1997年の10月市場で1000万円で売買された。
- 中央4場(東京競馬場・中山競馬場・京都競馬場・阪神競馬場)全てでのGI勝利(グレード制施行後では史上唯一、施行以前の宝塚記念をGIとして考えても他に達成したのはシンザンのみ。ディープインパクトは2006年の宝塚記念に優勝したが、これは京都競馬場での代替開催である)。
- 2000年天皇賞(秋)での勝利によって、1988年のオグリキャップ以来続いていた同レースでの1番人気の連敗記録を12で止めた。同年のジャパンカップでも1986年のサクラユタカオー以来の1番人気連敗記録を14でストップ。
- ジャパンカップで2年連続連対したのは、テイエムオペラオーとエアグルーヴのみである(エアグルーヴは2着2回)。
- 2000年の宝塚記念から2001年の宝塚記念まで、芝中長距離路線のGIレースでテイエムオペラオーとメイショウドトウのワンツーが6度連続で続いた。この中では、2001年の宝塚記念のみメイショウドトウが先着している。また、テイエムオペラオーと同世代(99年クラシック世代)の馬たちで2000年と2001年の天皇賞(春)で2年連続ワンツースリーを決めた。
- 掲示板を外したことが一度もなく、GIレースで複勝圏を外したのは2001年の有馬記念のみであり、古馬になってから(2000年~2001年)のGIレースで連対を外したのも2001年の有馬記念のみで、長期間に渡り安定した成績を収めた。
- JRAの研究施設である競走馬総合研究所ではテイエムオペラオーを対象とした研究結果が発表された[1]。この研究で、テイエムオペラオーを平均的なサラブレッドや3歳GIホースと比較した結果、非常に心拍数が低く、大きく強い心臓を持っていたことが分かった。
- 引退後、種牡馬としてシンジケート形態での所有は行なわれず、竹園オーナーが個人所有する形で種牡馬入りした。種付け初年度の産駒が2005年にデビューしているが、まだ活躍馬は出ていない。これから注目されるであろう産駒としては、2006年に現役時代は同馬主だったテイエムオーシャンとの間の牝馬が挙げられる。
[編集] 血統表
テイエムオペラオーの血統 (サドラーズウェルズ系(ノーザンダンサー系)/Nasrullah4×5=9.38%、Nearco5×5=6.25%) | |||
父
*オペラハウス Opera House 1988 鹿毛 イギリス |
Sadler's Wells 1981 鹿毛 アメリカ |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
Fairy Bridge | Bold Reason | ||
Special | |||
Colorspin 1983 鹿毛 イギリス |
High Top | Derring-Do | |
Camenae | |||
Reprocolor | Jimmy Reppin | ||
Blue Queen | |||
母
*ワンスウェド Once Wed 1984 栗毛 アメリカ |
Blushing Groom 1974 栗毛 フランス |
Red God | Nasrullah |
Spring Run | |||
Runaway Bride | Wild Risk | ||
Aimee | |||
Noura 1978 黒鹿毛 |
Key to the Kingdom | Bold Ruler | |
Key Bridge | |||
River Guide | Drone | ||
Blue Canoe F-No.4-m |
日本中央競馬会・顕彰馬 |
---|
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