N-1
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
N-1(露語:Н-1)は、月にソ連人の宇宙飛行士を送るように造られたソビエト連邦のロケットである。全長、約100メートル。アメリカのサターンVロケットに匹敵する大きなロケットで、低軌道に95トンものペイロードを投入できるよう設計された。
N-1の開発は月・火星への有人宇宙飛行、宇宙ステーション、大型軍事衛星の打上げのために1956年から始まった。米国が1961年に有人月面着陸の目的を発表したときに、N-1はこの目的に転換した。しかし、予算が十分に供給されなかったため、計画は成功に至らなかった。
他のソ連製宇宙ロケット同様、小型のロケットエンジンを多数束ねる事で大きな推力を得るクラスター・ロケット方式を採っているが、N-1の第一段ではその数は30基以上にも及び、それらを同期制御する事が技術上の最大の課題であった(現在の技術をもってしても、それだけの数のロケットエンジンの同期制御は極めて困難である)。
テストのための資金不足と技術的困難のため、四回行われたテスト飛行のうち、N-1が成功したことは一度もなかった。テスト飛行は全て第一段の分離の前で失敗した。最も長い飛行は107秒で、第一段の分離直前で爆発した。2回目のテスト飛行は1962年、3回目は1971年で、最後の飛行は1972年に行われた。
更なるテスト飛行準備に備えて用意していた2機のN-1も廃棄され、残骸は避難所及び貯蔵小屋として使用された。N-1エンジンも、2005年に民間のロケット開発で使用されることになるまで、再利用されることはなかった。しかし2006年現在、その民間プロジェクトも資金不足のため凍結されている。
[編集] 関連項目
カテゴリ: 宇宙開発関連のスタブ項目 | ロケット