Keisuke Kuwata
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Keisuke Kuwata | ||
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桑田佳祐 の アルバム | ||
リリース | 1988年7月9日 1992年6月27日(再発) 2001年6月25日(再発) |
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録音 | 1987年7月~1988年5月 VICTOR AOYAMA STUDIO |
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ジャンル | ロック | |
時間 | 48分20秒 | |
レーベル | ビクタータイシタ | |
プロデュース | 桑田佳祐 小林武史 藤井丈司 |
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レビュー | ||
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チャート順位 | ||
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ゴールド等認定 | ||
売上枚数 | ||
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桑田佳祐 年表 | ||
Keisuke Kuwata (1988年) |
フロム イエスタデイ (1992年) |
Keisuke Kuwata(ケイスケ クワタ)はサザンオールスターズのボーカル、桑田佳祐の1stソロアルバム。1988年7月9日発売。発売元はビクターTAISHITAレーベル。
目次 |
[編集] 解説
KUWATA BANDやサザンの復活を経てリリースされた最初の桑田佳祐名義のソロアルバムである。桑田はこれ以前にも嘉門雄三名義でソロアルバムを発売済みであるが、現時点でもCD化はされていない。先にシングル発売していた「悲しい気持ち (JUST A MAN IN LOVE)」(1987年)、「いつか何処かで (I FEEL THE ECHO)」を収録しているが、c/w曲は企画アルバム『フロム イエスタデイ』発売までアルバム未収録となっていた。なお、本作はベストアルバム『TOP OF THE POPS』に収録された楽曲が最も多いアルバムでもある。シングル2枚のc/wが共に収録されていない理由として、2曲とも編曲が3人によるものでなく、ニューヨークでレコーディングされたテイクであることが大きい。このことから、シングルc/wはもともとアルバム用に製作した曲ではないことが窺える。
KUWATA BANDではレコーディングはスタジオセッションで比較的短時間で仕上げ、ライブやテレビ出演も精力的に行ったものの、それらの活動が終わった後、KUWATA BANDでの活動に疑問を感じ、もうしばらくソロとしての時間が欲しい、今度はスタジオにじっくり篭って曲作りに専念したいという桑田の意向で制作は始まった。1987年夏から一年掛かりでレコーディングは続けられ、サザンのデビュー10周年の時期に重なる事となり、サザン復活の直後にソロアルバムリリースという、サザンとソロとの棲み分けが非常に不明瞭な状態となってしまう。
当時あまりメジャーではなかった小林武史が全面プロデュースを務めており、この時から桑田と小林のレコーディング体型が始まったといえる。小林が評価を高めたのはこのアルバムと後に桑田と組むことにもなるMr.Childrenのプロデュースからであり、今日でも数々のヒット作を手掛けている。この頃からサザンオールスターズ本体の編曲にも関わるようになり、1993年辺りまで参加していた。
このアルバムの制作時に桑田・小林・藤井の3人がお互い主張を譲らないため、一時はアルバムの完成すらも危ぶまれたという逸話がある。
ジャケットは桑田の肖像画が使用され、歌詞カード内部や裏面にはレコーディングスタジオの風景が写されている。写真には桑田のほかプロデューサー兼サポートメンバーの藤井丈司と小林武史も共に写っている。サザンや桑田関連の作品で、名義となるメンバー以外のサポートメンバーが写真に写っているのはこれが唯一である(ちなみに『フロム イエスタデイ』も桑田ともに素人の女性が写っている)。ただ、サザンの『バラッド '77~'82』は手違いによってかサポートメンバーも写っている。そのため、正規の写真として扱われたものでは唯一と言える。全曲に藤井と小林が参加しており、桑田のセルフプロデュースでなく3人で手を掛けたプロデュース作品であることを強調しているとも言える。現在は禁煙に成功した桑田だが、本作では当時愛煙していたハイライトを吸う姿が写されており、机の上にもハイライトの箱が置いてある事が確認できる。なお、クレジットから確認できる通り桑田は本作ではギターを演奏していない。
本作収録曲の特徴として、サザンでも顕著に見られた桑田独特の口語表現や言葉遊びが大いに使われており、歌詞カードで確認しないと聞き取れないような歌い方や、難解な表現をしているものが多い点である。サザン名義ではあまり発表されていなかったストレートなロックや、早口で強烈な歌い癖をする楽曲もあり、ソロでやる意義や新たな境地を開拓したと言って申し分ない仕上がりとも言え、力の入った作品であることは特筆すべき点である。キャッチコピーは『くちずさんでいるのは、彼です。』である。
本作はこれまでオリコンチャートでの1位には運悪く無縁だった桑田が、ソロ名義で初めてオリコンウィークリーチャート1位になった作品である。スマッシュヒットとなった先行シングル2枚も最高位は2位であった。更にシングルでは当時サザン名義でも意外にも未達成であった(最高位2位が4作)。サザンとしては翌1989年の「さよならベイビー」でデビュー11年目にして達成する。ちなみにグループではサザンオールスターズとして1981年のアルバム「タイニイ・バブルス」で、KUWATA BANDでも1986年に「スキップ・ビート (SKIPPED BEAT)」で達成している。意外にも1位に無縁と言われていた桑田だが、アルバムでは何れも早々と達成しているため、実際アルバムでは大いに人気と売り上げを見せつけていたアーティストである。
1992年6月27日には企画アルバム『フロム イエスタデイ』の発売に合わせて再発、2001年6月25日には7年ぶりのソロシングル「波乗りジョニー」リリースに合わせてリマスタリング盤が発売された。再販盤の初回出荷分には専用のスリーブケース付き。
[編集] 収録曲
- 哀しみのプリズナー
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐、藤井丈司、小林武史)
サザンでは見せないタイプの楽曲であり、ファンから非常に人気の高い楽曲。コーラスでアン・ルイスが参加。 - 今でも君を愛してる
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐、藤井丈司、小林武史)
下記の「いつか何処かで~」とも通じる叙情的な歌詞とメロディーが印象的な曲である。 - 路傍の家にて
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐、藤井丈司、小林武史)
本作では特にストレートなロック調な楽曲。フジテレビ系音楽番組『夜のヒットスタジオ』での演奏時には、あまりに歌詞が難解で聞き取りにくいため、それまで使われていなかった歌詞テロップを表示させている。同じような例として「勝手にシンドバッド」でTBSの『ザ・ベストテン』出演時に、番組史上初めて歌詞テロップが出たという話は有名である。 - Dear Boys
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐、藤井丈司、小林武史)
本作で初めて緩やかなテンポの楽曲となる。コーラスでは妻でありサザンのキーボード、原由子が参加している。 - ハートに無礼美人 (Get out of my Chevvy)
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐、藤井丈司、小林武史) - いつか何処かで (I FEEL THE ECHO)
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐、小林武史、藤井丈司)
ソロ2ndシングル。イントロは小林武史のアレンジによって出来たものであると桑田が語っている。 - Big Blonde Boy
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐、藤井丈司、小林武史) - Blue ~こんな夜には踊れない
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐、藤井丈司、小林武史)
歌い方、歌詞の世界観など本作で最もアングラ感の強い楽曲といえる。 - 遠い街角 (The wanderin' street)
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐、藤井丈司、小林武史)
コーラスで竹内まりやが参加。桑田と原は山下達郎と共に夫婦ぐるみで交友が深い。山下達郎の「蒼氓」には、達郎含めた4人がコーラスで参加したこともある。フジフイルムCMソングになった。 - 悲しい気持ち (JUST A MAN IN LOVE)
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐、藤井丈司、小林武史)
ソロデビューシングル。アルバムの中では比較的ポップな仕上がりである。 - 愛撫と殺意の交差点
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐、藤井丈司、小林武史)
タイトルは過激であるが、歌詞の内容は恋愛ではなく政界や財界への風刺である。また、最後に桑田の息子がコーラス(担当パートはShoutとして掲載)で参加している。 - 誰かの風の跡
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐、藤井丈司、小林武史)
ラストを飾るにあたってアルバム全体で落ち着いたテンポの楽曲。
本作で唯一他のサポートメンバーを用いず、桑田ら3人で製作した楽曲となる。
[編集] 参加ミュージシャン
- 桑田佳祐:Vocals, Chorus(#1~11)
- 小林武史:Keyboards, Synthesizer(#1~11), Synth Bass、Chorus(#4)
- 藤井丈司:Drums & Synthesizer Programming, Sequencing, Computer Programming(#1~11)
- 哀しみのプリズナー
- 長田進:Guitars
- 原田末秋:Acoustic guitars
- 笛吹利明:Acoustic guitar
- Annie Lewis:Chorus
- 今でも君を愛してる
- 山木秀夫:Rolling Snare
- 路傍の家にて
- 原田末秋:Electric & Acoustic guitar
- Dear Boys
- ハートに無礼美人 (Get out of my Chevvy)
- いつか何処かで (I FEEL THE ECHO)
- Big Blonde Boy
- 原田末秋:Guitars
- 下山淳:Guitar solo
- 樋沢達彦:Additional bass
- 桑名晴子:Chorus
- Blue ~こんな夜には踊れない
- 原田末秋:Guitars
- 下山淳:Guitar solo
- 遠い街角 (The wanderin' street)
- 悲しい気持ち (JUST A MAN IN LOVE)
- 琢磨仁:Bass
- 杉真理:Chorus
- 原田末秋:Guitars
- 愛撫と殺意の交差点
- 門倉聡:Co-arrangement, Synthesizers, Synth-bass
- 原田末秋:Guitar
- 竹内まりや:Chorus
前作 | 桑田佳祐のオリジナルアルバム | 次作 |
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- | 孤独の太陽 |
オリコン週間アルバムチャート第1位 1988年7月18日付~1988年7月25日付 (2週連続) |
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前作: 岡村孝子 『SOLEIL』 |
桑田佳祐 『Keisuke Kuwata』 |
次作: 工藤静香 『静香』 |