JR貨物EF500形電気機関車
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EF500形電気機関車(いーえふ500がたでんききかんしゃ)とは、1990年に登場した日本貨物鉄道(JR貨物)の交直流両用電気機関車である。
三菱電機・川崎重工業で試作機(901号)が1両製作されたのみで量産には至らなかった。2002年廃車。
同時期に試作された東海道本線-山陽本線系統用のEF200形に対して、東北本線-津軽海峡線系統用に、従来東京-黒磯間をEF65形、黒磯-青森間をED75形重連、青森-五稜郭間をED79形重連で牽引していたコンテナ列車を単機で牽引することが目論まれ、直流1,500V・交流20kV(50Hz/60Hz)の3電源に対応している。
性能的には、平坦地では1,000~1,200t(20~22両)のコンテナ列車を最高時速120km/hで牽引できることとされ、東北本線では26‰の勾配で1,000tを牽引して55km/h以上で運転可能である。
そのため、主電動機に定格出力1,000kWのかご形三相誘導電動機を採用し、1時間定格出力は6,000kW。電圧式パルス幅変調(PWM)方式インバータ装置により6個の電動機を個別に制御する(VVVFインバータ制御)。
落成後は新鶴見機関区に配置され各種の試験に供されたが、EF200形同様、フルパワーを発揮すると架線電圧の電圧降下を招き、周辺の電車に影響を与えることや、インバーターが発する高調波が周辺の電気機器に影響を与えるという欠点が判明したことから、結局量産されることはなかった(詳細はEF200形の項を参照のこと)。
1994年以降は使用されることなく、最終的に2002年に廃車(除籍)となった。現在は、JR貨物広島車両所にて保管され、イベントの目玉として活用されている。
なお、東京-北海道間単機運用の構想は、EH500形に受け継がれ結実している。
[編集] 主要諸元
- 全長:20,000mm
- 全幅:2,904.6mm
- 全高:4,280mm
- 軸配置:Bo-Bo-Bo
- 1時間定格出力:6,000kW
- 1時間定格引張力:26,600kgf
- 1時間定格速度:81.2km/h
- 最高運転速度:120km/h
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