音声学
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[編集] 概要
音声言語は文字言語に先行し、より基本的なものであることは、文字を持たない多くの言語との比較を行えば否定できない事実であろう。音韻論が言語音の意味や構造(仕組み)などの規則を研究するのに対し、物理的実在である言語音の音声そのものを研究する言語学である。
音韻論で抽出した音素はスラッシュ( / ~ / )に入れて音韻表記し、有限なのに対して、物理的なものである音声はIPAを始めとした音声記号をブラケット( [ ~ ] )で囲んで表記する.
IPAは、言語音の区別の研究が進んだり、新たな言語音が発見されたり、またより精度の高い表記を目指すに伴って、たびたび更新されている。IPAによる表記は音韻表記に近い単純な簡易表記から、精度の高い精密表記まである。
- 例:
- 表記:<white>
- 音韻:/hwayt/ または /hwīt/
- 音声;[hwait]
音声記号は、IPAの他にも様々な記号が考案されてきた。また、その国や言語固有の音声記号や音韻表記がある。(日本の/F/(フの子音)など。ほかにカナダ式IPA、スウェーデン式IPA、英語固有の発音記号、ウラル語学・印欧語学固有の記号など)
音声学は発音・空気振動による伝播・聴き取りという面から見て、調音音声学・音響音声学・聴覚音声学の三部門に分け研究されている。調音音声学は人類史の中で非常に長い歴史を持ち、音韻的研究・文字の発展にも大きな影響を与えてきた。