銃夢
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『銃夢』(ガンム、GUNNM)は、木城ゆきとのSF漫画作品である。集英社の雑誌「ビジネスジャンプ」で1990年から1995年にかけて連載され、単行本は全9巻が発売された。
また、1998年からB5判の愛蔵版(全6巻)が発刊されている。愛蔵版には作品完結後に発表された外伝3本が収録されている。そして、後述する続編『銃夢 LastOrder』への流れに合わせて、結末部分が差し替えられている。
サイドストーリーとしてモーターボール編の外伝的作品『灰者』もある。また、小説版として、川村泰久の『銃夢』 (JUNP J BOOKS) が刊行されている。
他メディア展開としては、OVAが2本発売され、本編完結後にはプレイステーション用ゲームソフトとして『銃夢~火星の記憶~』が発表された。また、現在アメリカのジェームズ・キャメロン監督が「Battle・Angel」というタイトルで実写映画化するプロジェクトを進めている。
海外にもいくつかの言語に翻訳されているが、英語版は『Battle Angel Alita』として輸出されている。主人公ガリィの名前は、良くない意味の言葉にあたるため、アリタに変更されている。
目次 |
[編集] 概要
本作の内容は、サイボーグの戦闘少女ガリィが「機甲術」(パンツァークンスト)と呼ばれるサイバネティクス格闘技術を駆使してさまざまな強敵と戦うという、サイバーパンク格闘アクションとでも言うべきストーリーである。一方で、軌道エレベータやナノマシンなどの最先端技術や、ハチソン効果、サイコメトリー、ニコラ・テスラのスカラー波兵器などといった怪しげなガジェットも豊富に詰め込まれている。
本作の続編として、『銃夢 LastOrder』 (LO) が2000年より「ウルトラジャンプ」に連載されている。これは旧作『銃夢』が作者にとって不本意な形で終了を余儀なくされ、ひとまずつけた結末にも満足できなかったので、作者自身が結末のある時点より先を「なかったこと」にし、ストーリーを分岐させて新展開を始めたものである。旧版の単行本9巻の155ページから直接LOの冒頭とリンクしており、愛蔵版の結末はこのつながりを考慮して、旧版の終幕部分を削除している。なお、旧作の結末の方は、ファンの間では作者が読者に対して仕掛けた対自核夢(ウロボロス)であるという説も提唱されている。
[編集] ストーリー
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
舞台は、はるか天上にある空中都市ザレムの真下を囲むようにして広がるクズ鉄町から始まる。軌道エレベータの末端にぶらさがって存在するザレムの真下には、ザレムから排出されるゴミやスクラップが堆積して山をなしていた。クズ鉄町は、その名のとおりザレムの屑に群がるようにして、スクラップを再生し、独特の工業文化を支えていた。この世界には、極めて高度なサイバネティクス技術が栄え、人体をサイボーグとして改造することが一般化していた。
ある日、クズ鉄町でサイボーグ専門医を開業しているイド・ダイスケは、スクラップの山から奇跡的に脳髄を良好な状態で保存している少女型サイボーグのかけらを発見した。彼女は頭部と胸部ぐらいしか残っておらず、イドの医療によって意識を取り戻しはしたものの、過去の記憶をすっかり失っていた。自分の名前もわからない状態なので、とりあえずイドは前に飼っていた猫の名前を拝借して彼女に「ガリィ」と名づける。
イドはサイボーグ技術者としての顔とは別に、賞金首狩りとしての裏の顔も有していた。極めて治安の悪いクズ鉄町においては、ハンターウォリアーと呼ばれる賞金稼ぎのシステムがザレム直轄の治安維持機能の一環として設営されていた。その姿を見て、ガリィもハンターを志し、イドの反対を押し切ってハンターの一人として登録する。そんなガリィのもとは数々のトラブルが舞い込む。闘いになるたび、ガリィの脳裡にはなぜか隠された記憶の断片が甦り、彼女は実は火星に発祥した伝説の格闘技術「機甲術」--パンツァークンストの使い手であることもわかってきた。
はたしてガリィの過去とは……そしてこの世界の成り立ちは……?
[編集] キャラクター
- ガリィ
- 本編の主人公。火星に発祥した伝説の格闘技術「機甲術」(パンツァークンスト)の使い手。元の名前は陽子(ヨーコ)。数百年前に大気圏外から地上へ落下するが、奇跡的に一命をとりとめ仮死状態でクズ鉄町のスクラップの山で眠っていた。イド・ダイスケに発見されてガリィと名づけられる。ちなみにガリィはイドが以前飼っていたペットの名前である。
- クズ鉄町のハンターウォリアーとして凄腕の賞金首稼ぎになるが、あるいきさつからモーターボールと呼ばれる格闘球技の選手に転じ、「殺戮の天使」(キリング・エンジェル)なるスター選手にのしあがる。ここでダマスカスブレード(ダマスカス鋼でできた名刀)を得、ダマスカスブレードはその後も引き続きガリィの主要な武器となる。モーターボール引退後はバー「カンザス」の仲間らとの日常を謳歌していたが、ザレム当局によって TUNED の工作員にされる。後に「ザレムの死の天使」と呼ばれる。
- イド・ダイスケ
- クズ鉄町のサイバネティクス医師。かなり高度な技術を持ち、住民から信頼を得ている。ガリィが自分の手を離れて戦闘に身を転じることになった時、秘蔵のボディを改造してガリィの戦闘用躯体を作り上げた。ザレム市民に共通する額のマークを持つことから判るように、イドはかつてザレムの一員である。
- ユーゴ
- クズ鉄町で修理工・便利屋として生計を立てている少年。裏では、サイボーグを襲って脊椎強盗まで犯しながら1000万チップを目標に大金を稼いでいる。それはあこがれのザレムへと行くためであったが……ガリィの初恋の相手。
- コヨミ
- クズ鉄町のバー「カンザス」オーナーの一人娘の赤ん坊。実の娘ではなく捨て子だが、成長したコヨミは後に意外なところでガリィと再会する。イドやザパンはカンザスの常連である。
- 魔角(マカク)
- 札付きの凶悪な賞金首。本体は巨大な頭部とナメクジのような首だけで、様々なサイボーグの体を次から次へと乗っ取っていく。知能レベルはボディによって左右されるらしい。ノヴァに改造された、ある意味被害者である。エンドルフィン依存症で、エンドルフィンあふれる脳味噌が大好物。
- ザパン
- クズ鉄町のハンターの一人。ガリィとは因縁がある。のちにノヴァに改造されてクズ鉄町を大恐慌に陥れた。
- ディスティ・ノヴァ
- あまりに危険なためザレムから追放された天才マッドサイエンティスト。人間の業(カルマ)の克服を宿願とし、独自の業子力学を組み上げた。ナノマシン技術の第一人者で、天上世界でも一目置かれている。焼きプリンが大好物。
- デッキマン
- ザレムが下界のクズ鉄町やファクトリーなどの事務処理端末として各地に置いているサイボーグの一種。筒型のボディをしている。
- ジャシュガン
- モーターボール第一リーグのチャンピオン。「帝王」の異名をとる。歯車のようなギミックを仕込んだ腕による「機関拳」(マシン・クラッツ)で無敵のチャンピオンとして君臨する。
- ビゴット・アイゼンバーグ
- ザレム「地上監察局」局長で「TUNED」運用の中心人物。
- ガリィら“地上人(ちじょうびと)”を見下している。
- フォギア・フォア
- 血気盛んな若者で、ガリィの第2の恋人。珍しく生身の人間である。都会の空気に憧れてクズ鉄町に上京するも、肌に合わず帰郷する。
- ファクトリー貨物列車の警護中、「バージャック」の襲撃を受ける。生身ながら対サイバネ骨法の使い手で、掌打による「徹し」は機甲術の「周波衝拳」(ヘルツ・エア・ハオエン)と同じ効果を生む。
- 電
- ザレムへの反逆集団「バージャック」(馬借)の首領。極めて巨大な体であり、その強大さから「荒野の魔王」の異名をとる。
- ケイオス
- ノヴァの息子。電とは因縁浅からぬ関係である。サイコメトラー。
- ルゥ・コリンズ
- ザレム「地上監察局」のオペレーター。
- 「TUNED」の工作員であるガリィにとって、ザレム人の数少ない理解者。
- ヴィルマ
- ガリィとそっくりでありとあらゆる武術を使う。現代世界(18世紀?)から生きている唯一の生き証人の吸血鬼。機械都市の前戦争で長く氷に鎖さていた世界を復興させ現在の世界にした男から、世界を滅ぼすか生かすか決めるラストオーダーを託される。もう一人の主人公。
[編集] アニメ版
[編集] キャスト
[編集] スタッフ
- 監督:福富博
- 監修:りんたろう
- 脚本:遠藤明範
- キャラクターデザイン、総作画監督:結城信輝
- 作画監督:藤川太
- 美術監督:金子英俊
- 音楽:和田薫
- アニメーション制作:アニメイトフィルム
- 制作協力:マッドハウス
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- Gunnm-Zone (Fan Site)
- ゆきとぴあ
- YUKITOPIA