華佗

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華佗（かだ、？－208年）は、中国の後漢から三国時代の薬学・鍼灸に非凡な才能を持つ伝説的な名医。本籍は沛国譙県（現在の安徽省亳州市）で、字は元化（元方）。華陀とも書く。

養性の術に通暁しており、当時の人々は彼の年がもう百歳になるはずだとしたが、見たところは若々しかった。麻沸散と呼ばれる麻酔薬(ちなみに麻酔を最初に発明したのは華佗とされている。)を使って腹部切開手術を行ったとされ、民衆から「神医」と呼ばれた。また、屠蘇・体操健康法の発明者とも言われている。

『三國志』の彼の伝記には、数々の治療や適切な診断の実例が記録されている。たとえば、陳登を診察したときには、胃の中に寄生虫がいると診断した。煎じ薬を2升作り、半分ずつ飲ませ、寄生虫を吐き出させた。華佗は3年後に再発すると言い、果たしてその通りになったが、その時華佗やそれに代わる医者がおらず、陳登は死んでしまった。また、李通の妻が重病にかかると、流産した胎児が残っているためと診断した。李通は胎児はもう降りたと言ったが、華佗は胎児は双子で、一人が残っているのが病因と診断し、果たしてその通りだった。
治療できなかった事例もある。県の役人の尹正が、手足が熱っぽく、口の中が乾いて、人の声を聞くと苛立ち、小便が通じない症状に悩まされていた。華佗は熱いものを食べ、汗が出れば平癒するが、出なければ3日で泣きながら絶命すると診断した。尹正は熱いものを食べたが汗は出ず、果たして診断通りの死に方だった。

その評判を聴いた曹操の典医となり、持病であった頭痛の治療に当たっていた。華佗は自分が士大夫として待遇されず、医者としてしか見られないことを残念に思っていた。これは医者（に限らず、政治・儒学・文学以外のほぼ全分野）の社会的地位が低かったためである。そこで、帰郷の念が募って医書を取りにゆくといって故郷に戻り、二度と曹操のもとに戻ってこようとはしなかった。そのため、曹操はこれに怒って華佗を投獄し、荀彧の命乞いを聴かず、拷問の末殺害してしまった。曹操は名医であり、頭痛を治せる唯一の人物であった華佗を殺してしまったこと、またそれにより、庶子ながらその才気煥発な面を愛していた曹沖を夭折させてしまうことになったのを後々まで後悔したと言われている。
かつて、軍の役人の李成が咳に苦しんで、時に血膿を吐いた。診察した華佗は肺ではなく、腸炎と診断し、さらに18年後にちょっとした再発があるからとその分も合わせて粉薬を出した。その5，6年後、李成の親類に同じ症状になった者がいて、後で華佗からもらってくるからと予備の薬を融通してもらった。親類が治癒すると、約束通り華佗のいる譙に向かったが、ちょうど華佗が曹操に捕縛され、薬は手に入らなかった。薬のない李成は、18年後に再発して死んでしまった。

三国志演義では呉の周泰の重傷を治療し、荊州の関羽の元へ自ら出向いて骨を削って治療を施した（正史では医者が治療したとしか書かれておらず華佗の名は無い）。220年の曹操が死ぬ寸前に現れ、曹操の頭脳を手術しようとしたために怒った曹操に捕らえられて投獄され、処刑されたとされている。ちなみに、この時荀彧はすでに死んでいるため、命乞いした人物は賈詡に変えられている。医書『青嚢書』を残し獄吏に渡すが、獄吏の妻が夫が危なくなるとして焼いてしまった。