涼宮ハルヒ
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涼宮ハルヒ(シリーズ) | |
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ジャンル | 学園小説、SF、セカイ系 |
小説 | |
著者 | 谷川流 |
イラスト | いとうのいぢ |
出版社 | 角川書店 |
掲載誌 | ザ・スニーカー |
レーベル | 角川スニーカー文庫 |
発表期間 | – 連載中 |
巻数 | 既刊8作 |
漫画: 涼宮ハルヒの憂鬱 |
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原作 | 谷川流 |
作画 | みずのまこと |
出版社 | 角川書店 |
掲載誌 | 少年エース |
連載期間 | 2004年5月 - 12月 |
巻数 | 1巻 |
漫画: 涼宮ハルヒの憂鬱 |
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原作 | 谷川流 |
作画 | ツガノガク |
出版社 | 角川書店 |
掲載誌 | 少年エース |
連載期間 | 2005年9月26日 - 連載中 |
巻数 | 既刊2巻 |
涼宮ハルヒ(すずみやハルヒ)は、谷川流・原作の小説(ライトノベル)の登場人物。また、『涼宮ハルヒの~』を表題に、角川スニーカー文庫から刊行されているライトノベルのシリーズ(『涼宮ハルヒ』シリーズ)。また、これを原作とする漫画、アニメなどの作品群。
第8回スニーカー大賞〈大賞〉を受賞した第一作『涼宮ハルヒの憂鬱』をはじめ、既刊8作(表題は既刊一覧の節を参照)。雑誌「スニーカー」の連載を初出とする作品と、書き下ろし作品を含む。イラストは、いとうのいぢ。
アニメについては、『涼宮ハルヒの憂鬱』を参照。
目次 |
[編集] 概要
女子高校生「涼宮ハルヒ」が、「宇宙人や未来人や超能力者を探し出して一緒に遊ぶこと」を目的に設立した団体「SOS団(世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団)」を中心に展開する、非日常系学園ストーリー。物語は、主人公である男子高校生「キョン」の視点から一人称形式で進行する。地の文は、キョンの心の中の言葉である場合とキョンがセリフとして発している場合がある。ハルヒやキョンが通う県立北高等学校(北高)のモデルは、兵庫県立西宮北高等学校とされる。
シリーズの第一作『涼宮ハルヒの憂鬱』は、スニーカー大賞〈大賞〉受賞作にして、著者の文庫デビュー作(『学校を出よう!』1巻と同時発売)。個性溢れる登場人物、シリアスとドタバタコメディーの絶妙な使い分け等が話題を呼び、シリーズ8作で累計300万部(2006年8月現在)という売上げを記録。現在の角川スニーカー文庫の屋台骨を背負って立つビッグタイトルになっている。
2005年9月にはツガノガクによる漫画の連載が『月刊少年エース』にて開始されたほか、2006年4月よりアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』が放送された。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] ストーリー
「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」
入学式後の自己紹介で、このぶっ飛んだ発言をした県立北高校の1年生「涼宮ハルヒ」。成績も運動神経も容姿も優れているのに、傲岸不遜な態度と中学以来の奇人ぶりから、クラスで浮きまくる。その上、普通のクラスメイトをつまらないと拒絶し、ますます孤立していた。たまたま、ハルヒの前の席に座るクラスメートの「キョン」が話しかけたことをきっかけに、二人の間で会話が交わされるようになった。
ゴールデンウィークも過ぎたある日、校内に自分が楽しめるクラブが無いことを嘆いていたハルヒは、キョンの何気ない言葉から「ないんだったら自分で作ればいいのよ!」と宣言し、キョンを巻き込んで新たなクラブ作りを開始する。ハルヒは、部員が1年生の「長門有希」一人で廃部寸前だった文芸部の部室を乗っ取ると、2年生の「朝比奈みくる」を「萌えキャラ」として拉致し、さらに5月に転校してきた1年生の「古泉一樹」を「謎の転校生」として加入させ、新クラブ「SOS団(世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団)」を発足させる。
このSOS団の目的は、「宇宙人や未来人や超能力者を探し出して一緒に遊ぶこと」。しかし、ハルヒが適当に集めた長門有希・朝比奈みくる・古泉一樹の3人は、本物の宇宙人・未来人・超能力者であり、それぞれの属する組織から送り込まれてきたのであった。彼らの目的は、ハルヒが自覚無しに持つある能力――世界を思い通りに改変し、望んだとおりの出来事を発生させる能力――の観察、監視。キョンはハルヒに選ばれた人物であり、ハルヒにとっての「鍵」であると言うのだが、キョンにはにわかに信じることができない。
ところが、次第にキョンやSOS団の周辺に異常な出来事が起こるようになり、キョンも3人の話を信じざるを得なくなってしまった。ハルヒだけが気付かないまま、キョン達SOS団メンバーは異常事態の処理やハルヒの退屈しのぎのために奔走することになる。
[編集] 登場人物
括弧内の人物はTVアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』にて声を演じた声優
[編集] SOS団
- キョン(声:杉田智和)
- 本シリーズの主人公で、ストーリーの語り部。県立北高校1年5組の男子生徒にして、SOS団団員その1兼雑用係。家族には両親の他に妹がおり、また彼自身も長子ではない模様(短編『エンドレスエイト』において、甥と姪の存在が確認されている)。キョンというのはあだ名で、本名は明かされていない。やたらに厄介ごとを背負い込む苦労人で「やれやれ」が口癖。女心には鈍感。あまり自己主張こそしないが、洞察力や直観力に関してはハルヒに劣らず明晰である(ただ、成績は赤点すれすれでSOS団では一番悪い)。
- 性格はかなり理屈っぽく、愚痴っぽいところがある。文句を言いつつも付き合いはよく、お人好し。限度を超えて暴走するハルヒを叱ろうとしたり、長門を処分しようとした情報統合思念体に啖呵を切るなど、熱い一面も持っている。
- やや意固地で、自分の感情(特にハルヒに対して)をなかなか認めようとしないところがある。今のところ、特定の相手に恋愛感情を抱いているということはないようだが、みくるに対しては過剰なまでにその愛らしさを毎回語っている。好みの髪型はポニーテール。
- 本来ごく普通の一般人のはずだったが、ハルヒに選ばれた人間として、また対ハルヒの切り札として、涼宮ハルヒを取り巻く各組織からは「鍵」として重要視されている。事実、SOS団内でハルヒに対して意見出来る人間はキョンだけである。
- 涼宮 ハルヒ(すずみや はるひ)(声:平野綾)
- 県立北高校1年5組の女生徒にしてSOS団団長。キョンと同じクラスで、キョンのすぐ後ろの席に座る(何度席替えをしても位置関係は不変)。あらゆる事に溢れんばかりの才能を見せ、身体能力も極めて高い。入学当初は腰まで伸びる髪を曜日ごとに異なる髪形にしていたが、キョンに指摘されて以来、肩にかかる程度の長さで揃え、黄色いリボン付きカチューシャを着けるのが定番になっている(3年前の七夕の時もよく似た髪形をしている)。
- 頭脳明晰・容姿端麗だが、性格は唯我独尊・傍若無人・猪突猛進。感情の起伏が激しく、情緒不安定になりやすい。退屈を嫌っており、何か面白そうなことをいつも探している。面倒くさがり屋で気が短い。一般常識が著しく欠如しているように見えるが、実は意外と常識的かつ理性的。また自分の行動が常軌を逸していると理解した上でわざと踏み外している面もある。
- キョンに本気で怒られると落ち込んでしまったり、キョンが意志を明確にした場合は意外に素直にそれに従うなど、キョンのことは憎からず思っている様子。その一方で、キョンが長門やみくるの方を見ていることに目敏く気づいてキョンを問い詰めたり、みくるの髪型をポ二ーテールに仕掛けて止めたり、キョンの過去の恋愛のことを気にしたりと意外に嫉妬深い面を持つ。
- 実は神にもなぞらえられるほどのとてつもない力を持っており、その力はどんな非常識なことでも思ったことを望み通りにしてしまうという形で発現する。だが本人はそれに全く気付いておらず、無自覚の内にそれは行われ、キョンたちは毎度それに翻弄されている。もっとも、それも万能ではなく、「生命」(人や動物など、この世に生きている「生」を持つもの全て)の「意思」や「思想」等は、すぐには変えることは出来ない(宇宙人、未来人、超能力者、そして「ジョン・スミス」は「3年前」から出逢うことを願ったため、3年の歳月をかけてようやく集まったといえるが、ハイテンションになった時は直ぐに実現化してしまう事例もあるので一概には言えない、もっとも、変える事が出来たのなら、少なからずキョンにも【何らかの影響が出ているはずである】)。
- なお、彼女の能力が際限なく発揮されたりせず、世界がいまだにバランスを保っている点について、古泉は彼女自身が奇抜な言動に反し常識的な精神をしており、不可思議な物事を心のどこかで否定しているからであると推測している(実際、彼女は『そんな』現象や者達が存在しないことに耐えられないがゆえに意図的に『普通』な世界から逸脱しようとしている)。一方で、朝比奈みくるはハルヒの『現在』を変える力は世界を変えるものではなく、最初からそうであった超自然的存在を無自覚に発見するものだとしており、組織によって見解は異なっている。
- 3年前の中学1年の頃に何か(「情報の爆発」や「時空の亀裂」や「超能力者の発生」を起こすような事)をしたらしいが、詳細は不明(身長約158cm)。
- 長門 有希(ながと ゆき)(声:茅原実里)
- 北高1年の女生徒にして唯一(かつ最後)の文芸部員。ハルヒが文芸部室を乗っ取った際、SOS団団員その2として組み入れられた。無口で無表情だが知識欲は旺盛。読書を好み、いつも分厚い本(当初はハードSF、後には文学に限らず様々な専門書まで)を読んでいる。感情表現に乏しく、表情の変化は注意して見ないと判らないほど少ない。口数も少なく、口を開いても淡々と短い言葉でしか話さない。
- 本人はまったく気にしていないが、起伏のない体型をしていて、朝比奈みくるとは対照的。しかしその外見に反して、かなりの大食い。キョンに情報操作能力の枷をはめられ、最終的な決定権をキョンに委ねることも多い。当初はメガネを着用していたが、第1作『涼宮ハルヒの憂鬱』で、キョンに「(眼鏡を)していないほうが可愛いと思うぞ。」と言われて以降、かけなくなった。
- その正体は、情報統合思念体(下記参照)によって造られた、対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インタフェース(キョン曰く「宇宙的アンドロイド」(正確にはガイノイド)、「万能宇宙人端末」)。簡単に言えば宇宙人。ハルヒの能力が活性化した、『憂鬱』の舞台になった時間より三年前頃に生み出された。キョンたちが3年前に遡行した際も現在と変わらないような姿をしていたことから、身体的成長という概念があるのかすら不明である。平時の動作は極めて少ないが、能力データを改竄することが出来るため、いざというときには常識の範疇を越える身体能力を発揮する。SOS団のなかでも飛び抜けて万能であるため、メンバーの信頼も厚い(身長約154cm)。
- 朝比奈 みくる(あさひな みくる)(声:後藤邑子)
- 北高2年(アニメでは2年2組在籍となっている)の女生徒にして、SOS団副々団長。ハルヒが「ロリで巨乳な萌えマスコット的キャラ」として拉致(ハルヒ曰く「任意同行」)してきた。元々は書道部に在籍していたがハルヒによって退部させられ、SOS団付きのメイド兼マスコットとなる。
- 真面目で気が弱い性格。ハルヒにいいようにオモチャにされ、毎回様々なコスプレをさせられるが、健気に耐えている。強制されたはずのメイドやお茶くみについて勉強したりと、現在の立場をそれなりに楽しんでいるようだ。バレンタインデー(の翌日)に行ったイベントで巫女に扮し、団の活動費を調達した功績をふまえ、副々団長に任命された。身体的特徴は「巨乳」、チャームポイントは左胸の上にある星形のほくろ(キョンに『憂鬱』の中で指摘されるまでは本人でさえほくろが星型をしていることを知らなかった)。キョンから見るとどんな髪型でも似合うタイプとのこと。運動神経はあまりよくない。
- その正体は、はるか未来から来た調査員(駐在員)だが、まだ研修生以下の見習いレベルでほとんど権限がないらしい。未来から来たわりには何一つ状況を知らないことが多く、パニックに陥ることもしばしば。長門や古泉のように特別な力というものはほとんどなく、限定的な時空移動しか出来ない(しかも任意ではなく申告制)ため、能力的にはほとんど普通の人間である。また、持っている知識は現代のそれとはズレがあり、今の時代では当たり前のことも知らないことが多い。
- 未来人である以上いずれは元の時代(未来)へ帰らねばならず、別れで悲しい想いをしないようにと現代では誰とも恋愛しないと決めている(身長約152cm)。
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- 大人バージョン(朝比奈さん(大))
- みくるの数年後の姿(長門有希曰く「異時間同位体」)で、現在よりおよそ3割増しの巨乳。第1作『憂鬱』からたびたび登場し、第3作『涼宮ハルヒの退屈』収録の「笹の葉ラプソディ」以降は「朝比奈さん(大)」として現在の「朝比奈さん(小)」と区別されている。
- 説明のない不可解な行動を取ることが多く、キョンたちをしばしば困惑させる。基本的にキョンや長門有希の前にのみ出現し、朝比奈さん(小)には存在自体が秘密になっている。なお、朝比奈さんは(大)(小)とも、長門有希を苦手としており、古泉一樹の前には意見の相違が原因であるのかは不明であるが姿を現したことはない(『涼宮ハルヒの憤慨』現在)。
- 朝比奈 みちる
- 『涼宮ハルヒの陰謀』にてキョンの前に出現した朝比奈さん(小)の極近未来の「異時間同位体」用にキョンの考案した偽名。彼女と朝比奈さん(小)との接触を回避するために彼女を鶴屋さん宅に預けたキョンは、事情説明に「朝比奈みくるの生き別れの双子」というベタベタ設定しか思いつけず、このような名になった。
- 古泉 一樹(こいずみ いつき)(声:小野大輔)
- 北高1年9組の男子生徒にして、SOS団副団長。5月という半端な時期に転入してきたことから、ハルヒに「謎の転校生」としてSOS団に勧誘された。在席している1年9組は特待生クラスであり、頭も運動神経も良い。SOS団夏休み合宿での功績により副団長に任命される。いつも微笑を浮かべ穏和な物腰をしているが、少々皮肉屋。
- 正体は、一種の超能力者であり、その集団である「機関」に所属する。ハルヒの精神状態の不安定が原因で発生する閉鎖空間(下記参照)への侵入、並びにその中で破壊活動を行なう神人を鎮める能力をもつ。超能力者と言ってもテレパシーやESPのようなわかりやすい能力はなく、また上記以外の特殊能力はないらしい。職務に関連してハルヒの精神面に気を配っており、彼女の内心をそれとなくキョンに伝えることもある。ゲームマニアであり、ボードゲームやカードゲームなどのアナログゲームが好きらしいが、その割に弱い。
- SOS団では「解説役」のポジションにあるが、自分の推論をもっともらしく話したり、煙に巻くような言動をとることも多く、また彼自身が騒動の黒幕だったこともあり、その発言はあまりあてにはならない。時折SOS団のメンバーに対して「あくまで観察対象」といった態度を取る(所属する「機関」の方針「現状維持」に従っている)ため、一歩引いたところからハルヒらを観察していることが多く、キョンとは険悪な雰囲気になることも少なくない。
- ハルヒを刺激することを避けるため、基本的にイエスマンで、ハルヒには自分の意見をあまり言わずに曖昧な態度を取ることが多い。ただし、現在の本人の性格や表情等は「ハルヒの願望」に沿った演技である(身長約178cm)。
[編集] 北高関係者
- 朝倉 涼子(あさくら りょうこ)(声:桑谷夏子)
- 1年5組の委員長。一見美人で人当たりのよい優等生であり、男女を問わず生徒からの人気も高い。しかし、その正体は長門と同じく情報統合思念体に造られたヒューマノイド・インターフェースであり、急進派に属する。長門のバックアップであったが、ハルヒが起こす情報爆発を観測するためにキョンの殺害を企てる。長門との激戦の末に消滅し、表向きは父の仕事の都合で急遽カナダへ引っ越したことにされる。
- 第4作『涼宮ハルヒの消失』では、長門の良き友人として復活。それは暴走した長門が改変した時空で、長門の願望が実体化したものであった。時空の再改変を試みるキョンを刺突、無力となった長門を守ろうとするが、最終的に未来の長門に消滅させられる。特徴は太めの眉毛。(身長約160cm)。
- 谷口(たにぐち)(声:白石稔)
- 1年5組所属。キョンの友人で、ハルヒの中学(東中学)からの同級生。ハルヒとクラスが3年間一緒。(ハルヒにストーカーだと思われる)軽い性格で、ナンパ癖あり(身長およそ170cm)。
- 国木田(くにきだ)(声:松元恵)
- 1年5組所属。キョンの中学からの友人。谷口・キョンと違って結構頭がいい(身長約166cm)。
- 阪中(さかなか)
- 1年5組所属。第8作『涼宮ハルヒの憤慨』収録の「ワンダリング・シャドウ」で初登場。犬好きのおっとりとしたお嬢様。語尾に「~のね」と付けることが多い。
- 鶴屋さん(つるやさん)(声:松岡由貴)
- 朝比奈みくるの同級生で友人。テンションは常に高めでノリがよく、面白いことが大好きという意味でもハルヒとは気が合う。腿の辺りまで伸びた髪が特徴。「めがっさ」「~にょろ」等の独特な言い回しを用いる。
- 実家は大金持ちの名家で、実は古泉の所属する「機関」のスポンサーのひとつでもある。
- ハルヒ達が普通の人間でないことに気付いているが、意図的に深入りはしようとせず、あくまで友人・第三者としてのポーズを貫き、彼らを見守っている(身長約160cm)。
- コンピュータ研究部部長(コンピュータ研部長、コンピ研部長)(声:小伏伸之)
- 文芸部室の二つ隣にある、コンピュータ研究部(コンピ研)の部長。
- 北高2年の男子生徒。本名は不明(アニメでは、恋人役を演じた喜緑が名前の最初の文字が『や』とだけ発言。後は意図的に猫の鳴き声に邪魔されて聞こえなくなっている)。SOS団(ハルヒ)に新機種のパソコンを押収され、その後もハルヒにいいように扱われ続けている。
- 『退屈』収録の「ミステリックサイン」、『暴走』収録の「射手座の日」などに登場。
- 喜緑 江美里(きみどり えみり)(声:白鳥由里)
- 北高2年の女生徒、生徒会役員で執行部筆頭と書記を兼任している。以前、SOS団に行方不明の彼氏(コンピ研部長)の捜索を依頼した、「悩み相談者第1号」でもある。
- その正体は長門有希や朝倉涼子と同じく、情報統合思念体に造られたヒューマノイド・インターフェースの一人で、所属している派閥は穏健派であると各所で言われているが、作中では明らかにされていない。『消失』で一度暴走を起こした長門の監視役でもある。
- 『退屈』収録の「ミステリックサイン」、『憤慨』収録の「編集長★一直線!」に登場。
- 生徒会長
- 北高2年の男子生徒にして、生徒会長。学校側の傀儡であった生徒会の改革を表明しているが、絵に描いたような冷徹・陰湿な生徒会長で、SOS団を疎ましく思っている。しかしてその実態は「機関」の外部協力者。その仮面の下はかなり含むところがあり、悪徳政治家並の裏側を隠している不良ではあるが、本来の性格はある意味で「非常に正直」でもあり、キョンも奇妙な求心力を感じた程。『憤慨』収録の「編集長★一直線!」で初登場。
[編集] その他
- キョンの妹(声:あおきさやか)
- キョンの妹で小学5年生。本名は不明。
- 兄のことを「キョンくん」と呼び、そのあだ名を定着させる一因となった。
- 猫のシャミセンを「シャミ」と呼びお気に入りの様子。
- シャミセン(声:緒方賢一)
- キョンの家の飼い猫。文化祭の映画制作中にハルヒが適当に選んだノラ猫(三毛猫のオス)であり、名前もその時に付けられた。ある事がきっかけで撮影の間は人語を話せるようになるが、文化祭以後は喋らなくなり、キョンの家で飼い猫として暮らしている。その後、事件解決の為に発生源となった凍結された情報生命体を長門の手によって体内に宿すことになった。
- 多丸 圭一(たまる けいいち)(声:井上和彦)
- 古泉の属する「機関」の組織員の一人。
- 多丸 裕(たまる ゆたか)(声:森川智之)
- 「機関」の組織員の一人。
- 森 園生(もり そのう)(声:大前茜)
- 「機関」の組織員の一人。
- 新川(あらかわ)(声:大塚明夫)
- 「機関」の組織員の一人。
- ちなみに原作では、版によって「荒川」と誤植されている箇所が所々ある。
- 未来人(本名不明)
- 朝比奈みくるとは別の組織に所属する詳細不明の未来人。キョンやみくるに対して敵対的。
- 第7作『陰謀』で初登場。
- 誘拐少女(本名不明)
- 朝比奈みくる(みちる)を誘拐した犯人のうちの一人。機関の敵対組織の一員と思われる。
- ハカセくん(本名不明)
- ハルヒの家の近所に住んでいる少年で礼儀正しく、絵も上手い。ハルヒが臨時の家庭教師となり彼の家で勉強をみている。
- 「ハカセくん」はキョンが命名したあだ名で、彼や朝比奈みくるには本名を名乗っているが、読者には明かされていない。
- 朝比奈みくるの未来にとって、重要な人物らしい。
- 中河(なかがわ)
- 私立男子高1年でアメフト部部員。中学3年生の時、キョンとはクラスメイトだった。ある理由から長門に一目惚れしてしまうことに。『動揺』収録の「ヒトメボレLOVER」に登場。
- 吉村 美代子(よしむら みよこ)
- キョンの妹の親友で、通称「ミヨキチ」。背も高く同級生の中では大人びた姿形をしている。文芸部の会誌を作る際、キョンが執筆した私小説的恋愛小説の登場人物にもなっている。『憤慨』収録の「編集長★一直線!」に登場。
[編集] 用語集
- SOS団(エスオーエスだん)
- 正式名称「世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団」(ローマ字表記)。
- 涼宮ハルヒが結成した同好会未満の集団で、その目的は「宇宙人や未来人や超能力者を探し出して一緒に遊ぶこと」、主な活動内容には市内の不思議探索や非常識的な事件の相談などがある。当然、正式な部室はもっておらず文化部の部室棟・通称「旧館」にある文芸部室を占拠する形で根城にしている。また、備品の殆どがハルヒが何処からか調達(強奪)してきた物や団員の私物で構成されている。なお、活動資金に関しては文芸部に割り当てられた予算をそのまま流用している。
- SOS団のWebサイトも存在しそこにはハルヒ自身のデザインによるシンボルマークがある(これは本作のマルチメディア展開でも良く使用されている)。しかしこのマークについても非日常的な騒動が持ち上がったため、密かに長門が描き直している。この事件については第3作『退屈』収録の「ミステリックサイン」で語られている。
- ちなみに古泉曰く、SOS団の部室も異空間化されており、何種類もの様々な要素や力場がせめぎ合い、打ち消し合って飽和状態にあるので、はた目には通常空間と何ら変わりはないらしいが真偽詳細は不明。
- コンピュータ研究部(コンピ研)
- 文芸部室の二つ隣にある文化系クラブ。部長以下、数名が在籍。ハルヒが強奪した最新型パソコン返還を賭けてPCゲーム対戦をしたが、長門有希にコンピ研のイカサマを見抜かれ、対決でも大惨敗したため、SOS団第二支部と化している。ただし、以後の両者の関係はむしろ改善されている(SOS団側は長門をコンピ研の準部員にする事を認め、コンピ研側はSOS団(と言うよりは文芸部)の会誌作りに快く協力している)。
[編集] 宇宙人関連
- 情報統合思念体(じょうほうとうごうしねんたい)
- 全宇宙に広がる情報系の海から発生した、肉体を持たない超高度な知性を持つ情報生命体。実体を持たず、有機生命体と直接的にコミュニケート出来ないため、長門有希や朝倉涼子のような対人間用インターフェースを作った。
- 「統合」思念体といってもその意志は一つではなく、様々な思惑が交差しているらしい。
- TFEI端末(ティーエフイーアイたんまつ)
- 長門や朝倉のような情報統合思念体のヒューマノイド・インターフェースを指して古泉達「機関」が付けた略称。端的に言えば、「宇宙人が作ったアンドロイド」のこと。
- 広域帯宇宙存在(こういきたいうちゅうそんざい)
- 情報統合思念体とは起源を異にする存在。思考プロセスが完全に違うため、通常手段での相互理解は不可能であり、その為、長門達と同等の機能を持つTFEIを生み出して接触を図ってくる確率が高いらしい。『暴走』収録の「雪山症候群」にて、SOS団を閉じ込めた謎の洋館の建つ空間の主。
[編集] 未来人関連
- 未来人(みらいじん)
- 「未来」から来た調査員(みくる達に代表される)で、彼らが望む未来へ向かうよう歴史を調整することを目的としている。
- 時間震動(じかんしんどう)
- 時空震とも呼ばれる現象。みくる達「未来人」はこれの原因を調べる為に現代へとやってきた。発生の原因はハルヒであると目されているが、一人の人間が時間平面に干渉できる仕組みは未だ解明されておらず、謎に包まれている。
- 時間平面理論(じかんへいめんりろん)
- 時間は連続性のあるものではなく、その時間毎に区切られたもの(1つのアニメーションを構成する静止画の集まりのようなニュアンス)であるとする未来の理論。大元の基礎概念は、ハルヒが気まぐれに書いた理論に基づくらしい。
- TPDD
- 「タイム・プレーン・デストロイド・デバイス」の略称。航時機とも呼ばれる、みくる達「未来人」と呼ばれる存在が時間移動の際使用するデバイス。平たく言えばタイムマシンに該当するが、デバイスと言っても物理的な装置ではなく、概念的な存在であるという。が、第3作『退屈』収録の「笹の葉ラプソディ」では朝比奈さん(小)が一度「紛失」している。
- 異時間同位体(いじかんどういたい)
- 異なる複数の時系列において、同一のものとして存在する個体。例としては朝比奈みくる(小)(大)(みちる)が挙げられる。
- 既定事項(きていじこう)
- 未来人たちが使用する用語。当初は単に(未来人からみて)過去に起こった出来事を指すものと思われていたが、どうやら各未来人派閥にとって有益な結果に繋がる行動が「既定」事項とされる模様。
- 禁則事項(きんそくじこう)
- 主に未来人達が使用する用語。未来に関する情報や現代ではまだ未到達な知識など、過去の人間には教えてはいけないことを示す。キョンが朝比奈みくるに質問することの多くは、ほとんどが禁則事項に該当するため、この物語での時空設定は、非常にナーバスなものと言える。
[編集] 超能力者関連
- 「機関」(きかん)
- 閉鎖空間に現われる神人を倒し、またハルヒの活動を監視するために結成された組織。古泉一樹らが所属する。
- 閉鎖空間(へいさくうかん)
- ハルヒの精神状態が不安定になると神人とともに出現する空間。現実の空間と構成するものに差異はないが、全体として灰色がかった空間になっている。通常、物理的な手段での侵入は不可能で、一部の特殊な能力を持つもの、もしくは特定の条件にあるもののみがそこに存在することができる。放っておくとどんどん拡大し、最終的には現実世界と入れ替わってしまうらしい。なお、古泉一樹ら「機関」の超能力者たちはこの空間内部でしか力を発揮できない。
- 神人(しんじん)
- 閉鎖空間内に出現する青い巨人。涼宮ハルヒのイライラが具現化したものと考えられ、彼女の心のわだかまりが限界に達すると出現するらしい。神人が消滅すると、同時に閉鎖空間も消滅する。しかし、「神人が消滅すること=イライラが解消されること」では無い為、現実世界側では別途イライラを解消する、または発生させない手段が必要となる。
- 超能力者(ちょうのうりょくしゃ)
- 作中における「超能力」は、古泉の他、世界でもわずかな人間しか持っていない。涼宮ハルヒの発生させる閉鎖空間に侵入し、赤い球体に変化して神人を攻撃するのが主な能力。ただしそれ以外の状況では、普通の人間と変わりはない。
[編集] その他
- 異世界人(いせかいじん)
- 現時点(第8作『憤慨』時点)では登場していないが、度々キョンが異世界や異世界人のことに触れている。
[編集] 既刊一覧
- 涼宮ハルヒの憂鬱 ISBN 4044292019 (2003年6月6日発売)
- 涼宮ハルヒの溜息 ISBN 4044292027 (2003年9月30日発売)
- 涼宮ハルヒの退屈 ISBN 4044292035 (2003年12月27日発売)
- 涼宮ハルヒの消失 ISBN 4044292043 (2004年7月31日発売)
- 涼宮ハルヒの暴走 ISBN 4044292051 (2004年9月30日発売)
- 涼宮ハルヒの動揺 ISBN 404429206X (2005年3月31日発売)
- 涼宮ハルヒの陰謀 ISBN 4044292078 (2005年8月31日発売)
- 涼宮ハルヒの憤慨 ISBN 4044292086 (2006年5月1日発売)
- 文庫本未収録作品
[編集] 漫画
2004年9月に出版されたみずのまこと版と2006年4月から出版されているツガノガク版の2種がある。いずれも、キャラクター原案はいとうのいぢで、角川コミックス・エースから出版された。
- みずのまこと版
- 『涼宮ハルヒの憂鬱』 1巻 ISBN 4047136581 (2004年9月1日発売)
- 現在では、2006年に発売されたツガノガクによる再漫画化作品が「No.1ライトノベル待望のコミック化!!」と初の漫画化であるかのような宣伝文句で販売されている。2004年に発売されたみずのまこと版については、版元品切れ(事実上の絶版状態)になっており、出版社からは、もはや完全に存在しなかったかの様な扱いをされている(インターネット上では「黒歴史」というスラングで扱われる事が多い[1]。
- その理由については、当時『少年エース』で連載していた最中のみずのが、『ハルヒ』の成人向け(ただしハルヒ関連の内容は成人向けではなかった)同人誌を本編の外伝的な扱いで角川に無断で販売したことであるとされる。その他にも、単行本化されたコミック自体については、特にコミカライズ担当者であるみずのの技量を疑う形での厳しい評価が多く、これらの要素が重なったものと考えられる。
- なお、みずのまこと版は2004年12月に雑誌での連載を終了しているが、未収録話があるにも拘らず2巻が出ることはないとみずの本人がブログで公言している。
- 本作アニメ化の成功の余波によるものか、この版元品切れ状態となっているみずのまこと版については、本作アニメ放映中からアニメ終了直後に掛けての一時期、インターネットオークションなどでは本来の定価の数倍に比する高値が付いているものも散見された。
- ツガノガク版
- 『涼宮ハルヒの憂鬱』 1巻 ISBN 4047138118 (2006年4月26日発売)
- 『涼宮ハルヒの憂鬱』 2巻 ISBN 4047138312 (2006年6月26日発売)
- 『涼宮ハルヒの憂鬱』 3巻 ISBN 4-04-713885-1-C0979 (2006年12月26日発売予定)
[編集] アニメ
アニメは、2006年4月から7月にかけて、『涼宮ハルヒの憂鬱』(全14話)と題して放映された。このアニメは、原作の『憂鬱』のほか、『退屈』『暴走』『動揺』の一部、およびオリジナル・ストーリー(「サムデイ イン ザ レイン」)から構成される。
詳細は涼宮ハルヒの憂鬱を参照。
[編集] 逸話
- コンピュータウイルス
- 2006年7月末頃、涼宮ハルヒ(確認されたのはハルヒ、みくる、長門の3人)の画像を表示して感染するトロイの木馬型のコンピュータウイルス、通称「ハルヒウィルス」が出現した。動作詳細については以前に出現した「原田ウィルス」に酷似しているとされているが詳細は不明[2]。
- 初版本の高騰
- Yahoo! オークションで、第1作『涼宮ハルヒの憂鬱』の初版本・金帯付きが、2万500円の高値で落札された。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
脚注