統計
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統計(とうけい、英: statistic)とは、現象を調査することによって数量で把握すること、または、調査によって得られた数量データのことである。
以下では、特に断り書きがない限り、日本の事例について述べる。
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[編集] 統計の変遷
統計は、国を統治するための基礎資料であり、建造物建設のための調査や兵役や徴税のための調査といったように、人口や土地等については古くから統計が取られている。
また、近代国家が成立した頃から政策の企画・立案のために利用されるようになり、調査範囲も広がった。 ナポレオンは「統計は事物の予算である。そして予算なくしては公共の福祉も無い」と語り、1800年にはフランス、1828年にはオーストリアで国の調査機関が設立された。
さらに、パソコンの普及、分析手法の発達によって大学や企業なども統計を利用するようになり、「国のためのデータ」から「国民のためのデータ」へとその性質は変わってきている。
[編集] 統計の種類
[編集] 国や地方公共団体などによる統計
国が行う統計調査には、法的根拠や強制力などがあり、一般的に調査結果への信頼性が高い。また、調査項目の連続性が考慮されることが多いことから分析に使いやすく、定期性、速報性にも優れている。
ただし、社会の変化への対応は鈍い。調査項目の改正などには時間がかかり、特に新たな分野に対しては調査の遅れや、調査しても対象の補足が満足にできないなど、不十分なものにもなりやすい。
[編集] 分類
法的な分類と、作成手段面からみた分類とに分けて解説する。
[編集] 法的な分類
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- 指定統計
- 国や地方公共団体(都道府県、市町村)が作成する統計のうち、政策の運営等の基礎情報として特に重要なものであるため総務大臣が「指定統計」に指定したものをいう。統計法により申告義務が課せられており、57調査が指定統計となっている(2004年4月現在)。(例:国勢調査、家計調査等)
- 承認統計
- 国が作成する統計のうち、個人や民間事業所を対象にし、指定統計以外の物をいう。報告者負担の観点から、実施に当たっては総務大臣の承認が必要となっており、121調査が承認されている(承認期間が2004年6月1日以降有効なもの)。(例:消費動向調査等)
- 届出統計
- 指定統計及び承認統計以外の国や地方公共団体が作成する統計。実施に当たっては事前に総務大臣への届出が必要となっている。また、国が行う届出調査は、地方公共団体を対象とする物が中心となっている。(例:住民基本台帳人口移動報告)
[編集] 作成手段からみた分類
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- 調査統計(一次統計)
- 統計を作成することを目的として行われる調査から得られる統計のこと。
国勢調査や工業統計のように、集団の構造を把握する事が目的の調査と、家計調査や毎月勤労統計調査のように、消費や賃金といった限られた項目に焦点を絞って、項目の時間的な動きを把握する事が目的の調査とにわかれる。
その性質上、前者の構造把握用の統計は対象範囲が広く、時間とお金がかかることから大規模(特に全数調査のことを、センサスと呼ぶことがある)、隔年実施となる。一方、後者の特定項目の動きを把握する調査(動態統計と呼ばれることが多い)は、速報性を重視して小規模な標本調査で時間もお金もあまりかけずに、月、四半期ごとに調査を行う。 - 業務統計(一次統計)
- 登録や届出、業務記録など、行政機関が行政上、業務上の必要から集めた記録などをもとに作成する統計のこと。
輸出入の通関書類から作成される貿易統計などがある。
中には出生・死亡・婚姻の届出をもとにした人口動態統計のように、統計調査の形を取って統計法の適用を受けるものもある。 - 加工統計(二次統計)
- 一次統計を利用、加工した統計のこと。国民経済計算や鉱工業指数がこれにあたる。統計学を駆使し、直接調査することが困難な事象を把握するために作成される。
一次統計と二次統計の違いは、一次統計は調査対象を直接調べる統計のことで、二次統計は一次統計を加工した統計のことである。
[編集] 統計調査の流れ
一般的な調査の流れは、次の通りである。
- 調査の企画、設計
- 行政等のニーズに応じ、ニーズを所管する省庁が統計を企画、設計し、総務省(大臣)に承認申請、届出を行い、許可をもらう。
- 調査の説明
- 都道府県(大規模な調査は都道府県が調査作業を行う場合が多い。国勢調査は市区町村まで関わる)に調査方法や、調査の主旨などを説明する。
- 調査の実施
- 省庁又は都道府県が、調査対象の個人や事業所に調査票を配布、記入後回収する。
- 調査の集計
- 回収した調査票を検査(桁ズレ、差し引きがおかしいなどがあった場合には調査対象に照会して修正する)、集計を行う。
- 調査の発表
- 集計した調査結果を分析し、公表する。
[編集] 地方統計機構
- 国が行う大規模な統計については、地方統計機構整備要項(1947年7月11日 閣議決定)によって地方公共団体を活用するとなっており、都道府県に対して統計主管課を設置、統計専任職員を配置。また統計専任職員の配置などによってかかる経費は国が統計調査事務地方公共団体委託費として交付。
参考:地方財政法
(地方公共団体が負担する義務を負わない経費)
第10条の4 専ら国の利害に関係のある事務を行うために要する次に掲げるような経費については、地方公共団体は、その経費を負担する義務を負わない。
(略)
二 国が専らその用に供することを目的として行う統計及び調査に要する経費
[編集] 事業者団体・企業などによる統計
業界団体や企業が調査、推計している統計。国と違い、あくまで団体に所属している企業の自主回答や、企業の取引対象への聞き取り等が主要なものとなるため強制力を伴わず、統計によっては回答率が10%台というものもある。そのため国の調査に比べて信頼性で劣ったり、毎年公表がほとんどのため速報性に欠ける。また、調査項目が必ずしも一定ではなく、分析に使用しづらい場合があるが、これは統計の主目的が業界の現状の把握のため、時節に即した調査項目が選択されるからであり、悪いことではない。
そのため、社会の変化に対する反応は早く、国が調査を行わないような業界、項目についてもいち早く数字で把握することは出来る。また業界公認の値ということである程度の信頼性は担保される。
企業が行う調査についても、電通の広告に関する発表資料のように、公式の値として広く利用されるものも中にはある。
[編集] 課題
- 社会の変化への対応:社会・経済情勢の変化のスピードが速くなってきているため、国の統計は変化への対応が遅く、業界団体の統計では詳細な分析が行えないという様に、現状の正確な把握ができなくなってきている。
特に第三次産業でこの傾向が強い。
- 調査対象の意識の変化への対応:
- 調査項目の見直し:国の統計の場合、調査主体が各省庁に分かれるため、似たような項目を複数の調査から聞かれるなどの問題点が指摘されており、「記入者負担の軽減からこれらを一本化すべし」などの意見がある(例:日本経済団体連合会 「ペーパーワーク負担の実態と改善方策に関する調査報告」)
- 推計精度、速報性向上への対応:統計が行政だけでなく、広く社会で使用されるようになるにつれて、統計の推計精度や、速報性が問題になり始めた。最もやり玉に挙がるのは四半期GDPだが、これは注目度の裏返しともいえる。基本的に統計は予算・速報性と精度とはトレードオフの関係にあるものの、双方の両立が求められている。
- 予算制約への対応:国が行う統計においては財政状況の厳しさから統計も予算削減の対象になっており、毎年調査を隔年調査に切り替えたり、本調査と簡易調査とに切り替える等が行われている。また、予算上の制約は新規統計の設計も困難にしており、スクラップアンドビルド(新しい統計を行う場合には、現在の統計を削る)が基本となってきている。
[編集] 指定統計一覧
以下は省庁別の指定統計リスト。指定番号、指定年月日など、詳しくは総務省統計局の一覧を参照。
- 財務省
- 法人企業統計
- 国税庁
- 民間給与実態統計
- 文部科学省
- 学校基本調査、学校保険調査、学校教員統計、社会教育調査
- 厚生労働省
- 人口動態調査、毎月勤労統計調査、薬事工業生産動態統計調査、医療施設統計、患者統計、賃金構造基本統計、国民生活基礎統計
- 農林水産省
- 農林業センサス、牛乳乳製品統計、作物統計、海面漁業生産統計、漁業センサス、製材統計、農業経営統計
- 経済産業省
- 工業統計調査、経済産業省生産動態統計、商業統計、埋蔵鉱量統計、ガス事業生産動態統計、特定機械設備統計調査、石油製品需給動態統計、商業動態統計調査、特定サービス産業実態統計、特定業種石油等消費統計、企業活動基本調査、商工業実態基本調査
- 国土交通省
- 湾港調査、船舶船員調査、造船造機統計、建築着工統計、鉄道車両等生産動態統計調査、建設工事統計、船員労働統計、自動車輸送統計、内航船舶輸送統計、法人土地基本調査