東方Project
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東方Project(とうほうプロジェクト)とは、同人サークル上海アリス幻樂団によって制作された弾幕系シューティングゲームの総称である。東方シリーズと呼ばれる事が多いが、「上海アリス幻樂団」の主催であるZUNがシリーズであることを否定しているため[1]、本項では基本的にシリーズとは称さない事とする。
目次 |
[編集] PC-9801版
1996年~1998年にかけて5タイトルが発表された。当時のサークル名は「ZUN Soft」。
発表時期がPC-9801シリーズの衰退期にあった為、これらのタイトルは一部の者のみが知る存在であった。しかし後述のWindows版のヒットにより、これらの旧作品も脚光を浴びる事となった。
2006年現在は廃盤となっており、製作者によるサポートも行われていない。製品版の入手は困難であるが、旧サポートサイトより体験版のダウンロードは可能である。
- 東方靈異伝 ~ Highly Responsive to Prayers.(1996年発表)
- 東方Projectの第1作目。読み方は『とうほう れいいでん』。当作品は現在のスタイルとは大きく異なる固定画面のブロック崩しゲームであった。
- 東方封魔録 ~ the Story of Eastern Wonderland.(1997年コミックマーケット(以下C)52発表)
- 2作目。『とうほう ふうまろく』。この作品において、現在に至るまでの縦スクロールシューティングゲームとしての形が築かれた。
- 東方夢時空 ~ Phantasmagoria of Dim.Dream.(1997年C53発表)
- 3作目。『とうほう ゆめじくう』。対戦型シューティングゲーム。ゲームシステムは後述の『東方花映塚』に引き継がれる。
- 東方幻想郷 ~ Lotus Land Story.(1998年C54発表)
- 4作目。『とうほう げんそうきょう』。ゲームシステムは再び2作目の頃に戻されたが、より洗練された。
- 東方怪綺談 ~ Mystic Square.(1998年C55発表)
- 5作目。『とうほう かいきだん』。PC-9801版東方Projectの集大成。この作品をもって東方Projectの開発は一旦終了した。
[編集] Windows版
サークル名を現在の「上海アリス幻樂団」と改称し、約4年のブランクを経て発表された。開発を再開した理由は「仕事で溜まったストレスを発散するため」との事である[2]。
BGMの楽曲や幻想的なシナリオ、個性あるキャラクター達などが幅広いユーザーからの支持を受け、同人ゲームとしては異例の大ヒットとなる。
これらのほとんどをメンバーのZUNが1人で制作している。
基本的にはPC-98版の旧作品と時系列を共有しているようだが、『東方紅魔郷』において登場キャラクター及び設定の一部リセットが行われたため、旧作との設定のズレについては「昔のことは気にせず」という状態である。
なお、『DOS/V Special』曰く、”プログラマが見ると、同時描画する弾の数や、(背景の)半透明処理、弾道計算の三角関数だけで、PCの前から逃げたくなる”とのこと。
作品の詳細に関しては、各作品の項目を参照。
[編集] 弾幕系シューティングゲーム
- 東方紅魔郷 ~ the Embodiment of Scarlet Devil.(2002年C62発表)
- 通算6作目。『とうほう こうまきょう』。プラットフォームをWindowsに移して発表された、Windows版東方Project第一弾。東方Projectの存在を世に知らしめたタイトルで、縦スクロール弾幕系シューティングゲームである。
- 東方妖々夢 ~ Perfect Cherry Blossom.(2003年C64発表)
- 通算7作目。『とうほう ようようむ』。前作の流れを引き継ぎ、クオリティの強化が施された。「森羅結界」というボム(のようなもの)とアイテム得点、カスリ点をトレードオフしたシステムが追加された。
- 東方永夜抄 ~ Imperishable Night.(2004年C66発表)
- 通算8作目。『とうほう えいやしょう』。ゲーム内容は前作までと同様だが、当作では人間と妖怪がコンビを組み、ボタン操作により双方のキャラクターを上手く使い分けながら全6ステージをクリアしていく。ここまでのWindows版3作品は「Win3部作」と呼ばれる事がある。後述の『東方花映塚』以降の作品は仕様が異なる為、これらを含めて4部作や5部作と言われることは少ない。
- 東方花映塚 ~ Phantasmagoria of Flower View.(2005年C68発表)
- 通算9作目。『とうほう かえいづか』。前3作とは異なり、アーケードゲーム『ティンクルスタースプライツ』のシステムを用いた対戦型シューティングである。作者いわく「ファンディスク」的な位置付けであった[3]。また、この作品のみ「黄昏フロンティア」のメンバーが後述する『東方萃夢想』の縁からか製作スタッフとして参加している。
- 東方文花帖 ~ Shoot the Bullet.(2005年C69発表)
- 通算9.5作目。『とうほう ぶんかちょう』。書籍『東方文花帖 ~ Bohemian Archive in Japanese Red.』のゲームパートと位置付けられている。タイトルにある“Shoot”は「撃つ」ではなく「写真を撮影する」という意味である。
[編集] 弾幕格闘アクション
- 東方萃夢想 ~ Immaterial and Missing Power.(2004年C67発表)
- 「黄昏フロンティア」との共同プロジェクトで通算8.5作目。『とうほう すいむそう』。東方Projectのキャラクターを起用した対戦型格闘ゲーム。ゲーム制作は「黄昏フロンティア」が担当。シナリオと楽曲の一部および新規キャラクターをZUNが提供している[4]。東方Projectを基にした二次創作物は多数存在するが、ZUNが制作に関わり、公式ストーリーに組み込まれている作品は現時点ではこれだけである。
[編集] BGMについて
『東方永夜抄 ~ Imperishable Night.』まではBGM音源をMIDIかWAVかを選択できたが、『東方花映塚 ~ Phantasmagoria of Flower View.』以降ではWAV音源のみとなっている(ただし『東方花映塚』の体験版はMIDI音源である)。MIDIは元々Web体験版の容量を削減するために作られていたのだが[5]、単に音質を下げたものではなく音程等がWAVのものと若干違っており、いわばアレンジされたものとなっていた。この為、製品版でもあえてMIDI音源を選択するプレイヤーも少なくなかった。MIDI音源廃止の理由は明らかにされていないが、一部の東方音楽二次創作者が本ソフト中のMIDIファイルを直接改変したものを「二次創作物」として頒布していた事への防止、という説もある[要出典]。
『東方萃夢想 ~ Immaterial and Missing Power.』を除いて、ゲーム中で使用されるBGMのサウンドトラックは発売されていない[6]。 基本的に作品中の音楽に触れるにはゲームを直接プレイするしかないが、非公式ながら「WAV切り出しツール」や「BGMプレイヤー」等も公開されており、これらのツールをソフト中のファイルへ使用して音楽だけを聴くことも可能である。
[編集] 商業作品
- 東方文花帖 ~ Bohemian Archive in Japanese Red.
- 一迅社刊、東方Projectのファンブック。読みはゲームの『東方文花帖』と同じ。2005年夏刊行。
- 文章をZUNが担当し、『東方花映塚』に登場する「射命丸文」が発行する「文々。新聞(ぶんぶんまるしんぶん)」による取材という体裁を取っている。他、アンソロジーコミックとZUNのインタビュー記事や、『東方花映塚』の体験版と、同作品で使用される一部の楽曲とアレンジ曲の3曲を収録したCD-ROMが付属している。なお、この本のゲームパートに当たる作品が『東方文花帖 ~ Shoot the Bullet.』である。
- 東方香霖堂 ~ Curiosities of Lotus Asia.
- 『とうほう こうりんどう』。メディアワークス刊、ZUNによる小説。東方Project中、現時点では唯一の男性キャラが登場している作品である。挿絵は唖采弦二。何度かの掲載媒体の変更を経て、現在は『電撃萌王』誌上で連載されている。詳細は東方香霖堂 ~ Curiosities of Lotus Asia.#掲載媒体の推移を参照。
- 東方三月精 ~ Eastern and Little Nature Deity.
東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity. - 『とうほう さんげつせい』。角川書店刊、「コンプエース」誌上で連載されている漫画。
- 原作をZUNが担当。漫画は2006年4月までは松倉ねむが担当してたが体調不良により交代、2006年5月からは比良坂真琴が担当し、展開も新章に突入した。サブタイトルは初めは『Eastern and Little Nature Deity.』であったが、新章になってからは『Strange and Bright Nature Deity.』へと変更された。
- 東方紫香花 ~ Seasonal Dream Vision.
- 『とうほう しこうばな』。とらのあなのみで販売された本作品のアンソロジーコミック、とらのあな刊行。正確には商業誌ではなく流通の関係上同人誌の体を取っている。ZUNが世界観を設定し、花をテーマとして各作家によるアンソロジーコミックと、アレンジ曲を収録した音楽CDがセットになっている。その中にはZUNの提供する『東方花映塚』で使用された楽曲も収録されている。
- 東方求聞史紀 ~ Perfect Memento in Strict Sense.
- 『とうほう ぐもんしき』。2006年12月下旬に一迅社から刊行予定の書籍。
- 人間から見た幻想郷の資料集「幻想郷縁起」を完全収録したという形式になる。人間の里に住む稗田家の九代目の阿求が代々伝わる「幻想郷縁起」を新たに編纂したという設定。初の幻想郷の設定資料集となる。
[編集] 各作品のタイトルと呼称について
東方Project各作品のタイトルは、
- 東方○○○ ~ English Sub Title.
という形で統一されている。
『○○○』の部分には漢字3文字が入るのだが[7]、この部分にはその作品に登場する重要キャラクターの名前の一部、もしくはそれをもじった単語が含まれている。
『English Sub Title.』の部分には、その作品に合った英語のサブタイトルが入る。前置詞や冠詞、接続詞等以外の単語は頭文字が大文字になっており、最後に「.」(終止符)が打ってあるのも特徴である。
なお、各作品は『東方』を省略して『紅魔郷』や『妖々夢』のように『○○○』の部分だけで呼ばれる事が多い。本項でも、以降は『東方』を省略して呼称する事とする。
[編集] 世界観
東方Projectは幻想郷という架空の世界が舞台となっている。
[編集] 幻想郷の歴史
遥か昔、東の国に「幻想郷」と呼ばれる地があった。人里離れた辺境の地である。ここには妖怪が住み着き、迷い込んだら最後、妖怪に喰われてしまうと恐れられていた。妖怪退治を行う勇敢な人間もおり、中には見張りの為「幻想郷」に住み着く者もいた。そして千年以上の月日が流れ、人間たちは文明を築き上げる。その過程で非科学的な事象は「迷信」として排除され、「幻想郷」は、そこに住み着いた妖怪達や勇敢な人間達の末裔と共に強力な結界の中に封印されてしまう。そして「幻想郷」は人々から忘れ去られていった。
[編集] 現在
「幻想郷」には以前と変わらず多くの妖怪たちと僅かな人間たちが住んでおり、この閉ざされた空間の中で精神・魔法中心の独自の文明を築き上げていた。妖怪たちは既に結界など容易に解けるようになっていたが、現在は逆に以前よりさらに強い力で結界を張り直して外部からの侵入を防いでいる。東方Projectの作品群では、この「幻想郷」の中で起こる事件や怪現象を題材としたストーリーが展開される。とは言え、基本的に「絶対に負けられない」ような戦闘などは起こらず、もっぱら平和な世界である。
[編集] 補足
- “外の世界”とは、“現在、我々が住んでいる世界”(あるいは音楽作品の2作目以降の舞台となっている世界)の事を指すと思われる。
- 音楽作品である『ZUN's Music Collectionシリーズ』の3作目『夢違科学世紀』以降の作品では近未来の日本が舞台となっている。そのため東方Projectも近未来の話である可能性があるという説も有るが、ZUN本人が公式掲示板において「あの二人のいる世界は、時代的にちょっとかみ合わないのですよ。」と書き込んでいるため[8]、はっきりとした時代は依然不明である。
- 幻想郷が結界で隔離されたのは“外の世界”で言う明治時代のことであるらしく[9]、『永夜抄』の話はそれから百数十年後のことらしい[10]。
- 幻想郷は、基本的にその中に入ることも、その外へ出ることもできない。
- 何らかの理由により、“外の人間”が幻想郷に迷い込む事を「神隠し」という。なお神隠しを行ってる主犯は妖怪「八雲紫」。
- “外の世界”で「幻想」となった物が幻想郷へ流れ込んでくる事があるらしい。
- 幻想郷は異次元や別世界といったものではなく、あくまで結界で隔離されただけの、“外の世界”と陸続きになっている地、という設定であるらしい[11]。
- 幻想郷は、東北や四国の山奥をイメージしている[12]。
- 博麗神社は、外の世界と幻想郷の境目にある[13]。また音楽作品である『ZUN's Music Collectionシリーズ』の2作目『蓮台野夜行』では、宇佐見蓮子が博麗神社の地名をあげており、外の世界からも博麗神社は見えると思われる。
- 現在の幻想郷で最も数が多いのは妖精と幽霊。幽霊が増えた理由は『妖々夢』以降、八雲紫によって冥界と顕界の境界が曖昧になった所為[14]。
- 現在の幻想郷は、昔に比べると妖怪が人間を襲う事は少なくなっている。これは現在の人間と妖怪のバランスが関係している[15]。
[編集] 基本システム
前述の通り、東方Projectは縦スクロール弾幕系シューティングゲームである。敵が撒き散らす大量の弾(弾幕)を、回避しながら敵を撃墜していく。ここではWindows版、特にWin3部作のシステムを中心に説明する。
Windows版は『紅魔郷』のシステムが後の作品の基礎となっている。なお、『花映塚』『文化帖』『萃夢想』、及び作品固有のシステムに関しては各作品の項目を参照のこと。
[編集] 自機
まず、性能の異なる複数のキャラクターのうち好みのキャラクターを自機として選択。その後、『紅魔郷』と『妖々夢』では2種類ある武器タイプのうち片方を選択する。選んだ「キャラクター」と「武器タイプ」によってエンディングも変化する。(「キャラ」が同じでも「タイプ」が異なればエンディングも異なる)
[編集] 難易度・エンディング
ストーリーの難易度は「Easy」「Nomal」「Hard」「Lunatic」の4種類がある。「Easy」が最も簡単で、「Lunatic」が最も難しく設定されている。コンティニューせずに6面(最終面)をクリアすればグッドエンディングとなる。『紅魔郷』の場合「Easy」では5面が最終面となり、クリアしてもグッドエンディングを見ることはできない。
一度グッドエンディングを見ると、Extraステージが選択可能となる。Extraステージはコンティニューできない上、ボスの残機数も増え、難易度そのものも上がる。また、プレイできるのはグッドエンディングを見たキャラクターと武器タイプの組み合わせのみであり、同じキャラであってもクリアしていない武器タイプではExtraをプレイする事ができない。また『妖々夢』ではExtraレベルをクリアし、もう一つ別の条件を満たすことで、更に上のレベルであるPhantasmが出現し、Extraをクリアしたキャラクターと武器タイプでのみプレイできる。一般的には「Phantasm」は「Extra」の「Hard版」として認識されているが、ZUNは「Extra」が「Phantasm」の「Easy版」であると主張している[16]。
[編集] 移動
移動は2種類存在し、高速移動と低速移動をボタンで切り替えながら操作する。高速移動は通常の移動方法であり、主に道中で使用する。低速移動は移動速度を下げる事によって操作精度を上げ、密度の高い弾幕を避けやすくする移動方法であり、主にボス戦で使用する。高速時と低速時でショットが変化し、高速時には「範囲」を重視し「威力」を下げたショットに、低速時には「威力」を重視し「範囲」を狭めたショットになる。なお、『紅魔郷』ではサブウェポンの発射位置が変わるだけで、ショット自体は変化しない。
[編集] ボム(自機のスペルカード)
使用することで、敵弾を☆アイテムに変化させ一定時間無敵になる特殊攻撃が発動する。ボムの事を「スペルカード」と呼ぶ事もあるが、後述のスペルカードシステムとの混同を避ける為、本項では自機の使用するスペルカードの呼称はボムで統一する。
[編集] 当たり関係
敵弾、及び敵本体の当たり判定が、自機の当たり判定と接触した場合被弾となる。被弾後、後述の喰らいボムが出せなかった場合はミスとなる。自機の当たり判定は、自機の見た目よりも大幅に小さく設定されている。敵弾の当たり判定も、弾の見た目より小さい物が多い。
当たり判定の他に、カスり判定という物が自機の周辺に存在する。カスり判定が敵弾の当たり判定と接触すると、カスり (Graze) がカウントされ点数に加えられる。尚、敵本体にはカスってもカウントされない。
[編集] パワーアップとアイテム自動蒐集
敵が落とすPアイテムを入手することでパワーが増え、ショットが強化されていく。パワーが128に達するとフルパワーモードとなり、その時点での画面内にある敵弾が全て☆アイテムに変化する。フルパワーモード中は、画面上部に行くとアイテムが自動的に吸収されるようになる。これをアイテム自動蒐集という。
[編集] ミス後の復帰とコンティニュー
ミスをした場合、パワーが16減らされ、画面内の全ての敵弾が一旦消滅し、残機が1つ減り、その場で再開する。残機が0の状態でミスをすると、コンティニューするかを尋ねられる。コンティニュー可能回数は作品によって異なるが、コンティニューをした場合、最終面をクリアしても「バッドエンディング」となる。コンティニューをしなかった場合や使い果たしてしまった場合は「ゲームオーバー(その場で終了)」となる。
[編集] エクステンド
『妖々夢』と『永夜抄』では「点アイテム」を一定個数取得すると自機が1機エクステンドされる。それ以外の作品はスコアを一定値以上に、また1UPアイテムを取得すればその場でエクステンドされる。なお、『紅魔郷』のExtraステージではスコアによるエクステンドは発生しない。
[編集] アイテム
敵を撃墜するとアイテムを落とすことがある。
- Pアイテム
- パワー値が上昇し、一定値ごとにショットが強化されていく。大Pと小Pの2種類があり、小は+1、大は+8される。
- 点アイテム
- 点数が加算される。画面上部で入手した方が高得点となる。
- Bアイテム
- ボムが1つ増える。
- 1UPアイテム
- 残機が1機エクステンドされる。3面と5面の中ボスが落とす。
- Fアイテム
- 一瞬でフルパワーモードになる。残機が0の状態でミスをした場合にのみ出現。
- ☆アイテム
- 敵弾がボム等で変化したもの。自動的に自機に吸収され、点数が加算される。
[編集] ボス戦
ステージの途中には中ボス、ステージの最後にはボスが出現する(便宜上、以降の表記はボス、及びボス戦で統一する)。
ボス戦中は、画面上部にボスの残機とライフが表示され、ライフを全て削ることでボスの残機が1つ減る。ボスの残機が0の状態でライフを全て削ると「撃墜」となる。
ボスの攻撃は「通常攻撃」と「スペルカード」の2種類あり、ライフを一定値まで削ると次の攻撃へ移行する。また、ボスの攻撃には制限時間があり、経過するとライフが残っていても次の攻撃に移行する。
[編集] 『妖々夢』以降に追加・変更されたシステム
[編集] エネミーマーカー
ボス戦時、ボスの位置を知らせる「エネミーマーカー」が画面下部に表示されるようになった。これにより、画面下部で弾避けに集中している際にボスの位置を容易に知ることができるようになった。
[編集] 当たり判定の目安
低速移動時に、「自機の当たり判定の目安」が「・」で表示されるようになった。これにより、高密度の弾幕が避けやすくなった。ただし表示されるのは、あくまでも「目安」であり、実際の当たり判定はこれよりも小さい。
[編集] その他
- 難易度「Easy」でもグッドエンディングを見ることが出来るようになった。
- スペルカード発動中にフルパワーモードになっても敵弾が消えなくなった。ただし、Fアイテムをとった場合は消える。
- ライフゲージが色分けされ、どの時点までライフを削ると次の攻撃に移行するのか分かるようになった。
- ボスの名前がライフゲージ左に表示されるようになった。
[編集] スペルカードシステム
特徴的なシステムとして、『紅魔郷』以降の各作品にはスペルカードシステムが存在する。
[編集] スペルカードとは
スペルカードとは特殊な攻撃を使用するのに必要なお札(スペルカード)であり、「幻想郷」内での揉め事や紛争を解決するための手段とされている。使用するにはカード宣言が必要とされるため、不意打ちの為に使用することは出来ないとされる[17]。『紅魔郷』『妖々夢』『永夜抄』では、敵が使用するスペルカードは弾幕として表現され、自機の使用するスペルカードはボムとして発動するが、混乱を避ける為、本項では自機の使用するスペルカードの呼称は「ボム」で統一する。『花映塚』ではカードアタックとして発動し、『萃夢想』では、いわゆる超必殺技として発動する他、2枚失うと負けというシステムとなっている。
[編集] 『紅魔郷』『妖々夢』『永夜抄』のスペルカードシステム
『紅魔郷』『妖々夢』『永夜抄』におけるスペルカードとは、相手の攻撃(弾幕)に外見などから連想できる名前がつけられたものであり、各ステージのボス、及び中ボスが使用する。これは前述の通り、「攻撃をするのにはお札(スペルカード)を必要とする」という設定に基づく物であり、自機がボムを撃つ際にもほぼ同様の演出がなされる。前述の通り、ボムの事を自機のスペルカードと呼ぶ事もあるが、混乱を避ける為、本項では自機の使用するスペルカードの呼称は「ボム」で統一する。
発動時にはキャラクターのカットインと共にスペル名が表示され(カード宣言)、背景が各キャラ毎に用意された専用のものに切り替わる。『妖々夢』と『永夜抄』では、取得時のボーナス点(後述)と取得率がスペル名と一緒に表示される。
各スペルカードの発動中、1度もミスをせず、かつボムを使用せずに敵のライフを規定まで削ると、ボーナス点(Spell Card Bonus、スペルカードボーナス)が入る。これをスペルカードを「取得する」または「取る」という。スペルカードボーナスは時間の経過で徐々に減っていくが、『妖々夢』では敵弾に「カスる」事で、『永夜抄』では「刻符」を取る事で増やす事が可能である。『紅魔郷』では増やせない。
各スペルカードにはそれぞれ制限時間が定められている。経過した場合は次の攻撃に進むが、取得にはならない。ただし例外として逃げ切りタイプのスペルカードも存在する。(後述)
難易度によって同系列のスペルカードでも名前が大きく変わるものがある。Easy・NormalとHard・Lunaticの2段階で変化するものが多い。その内容の変化は大半は難易度相応の弾幕の強化・弱化に留まるが、中にはほとんど別の弾幕に変わってしまうスペルカードも存在する。
[編集] 逃げ切りタイプのスペルカード
フランドール・スカーレットの "「そして誰もいなくなるか?」" のように
- 攻撃対象がおらず、『妖々夢』以降の作品ではエネミーマーカーも表示されないもの
八雲紫の "紫奥義「弾幕結界」" のように
- ショットが相手に当たらない、または当てることが出来ないもの
といった特殊なスペルカードが一部存在する。これらのスペルカードは撃墜不可能である為、制限時間を経過させて相手が次の攻撃へ移行するまで逃げ切らなければならない。1度もミスをせず、かつボムを使用せずに逃げ切れば取得となる。このタイプのスペルカードは、「逃げ切り」または「耐久弾幕」と呼ばれる。逃げ切りタイプのスペルカードは、その性質上時間が経過してもスペルカードボーナスは減らないが、前述の方法で増やすことは可能である。
なお、『永夜抄』には逃げ切りタイプであるにも関わらず相手にダメージを与える事が可能なスペルカードが存在し、撃墜が可能なものもある。
[編集] ラストスペル
ここでは敵が使用するラストスペルに関して記載する。自機が使用するラストスペルに関しては喰らいボムの節を参照。
ラストスペルとは『永夜抄』に搭載されているシステムで、難易度ノーマル以上である条件を満たすとステージのボスが最後に使用してくるスペルカードの事である。ボスが「本気」で攻撃を仕掛けてくるという設定であり、通常のスペルカードと比較するとやや難度が高い。
ラストスペル発動中はボムが使用不可能になる。ミスをするとディゾルブスペルというスペルカードが発動して強制的にラストスペルが中断されるが、残機数やボムが減ることはない。
なお、ラストステージのボスが使用するものを「ファイナルスペル」と呼び、難易度や条件に関係なく必ず使用してくる。また、Extraステージのボスは、発動条件が通常ステージのボス達とは異なる。
[編集] 『萃夢想』及び『花映塚』のスペルカードシステム
『萃夢想』に関しては東方萃夢想 ~ Immaterial and Missing Power.#スペルカードシステムを、『花映塚』に関しては東方花映塚 ~ Phantasmagoria of Flower View.#スペルカードシステムをそれぞれ参照の事。
[編集] 喰らいボムシステム
もう1つ、特徴的なシステムに喰らいボムが存在する。
東方Projectでは、被弾してからミスがカウントされるまでに、数フレームの間“猶予”が発生する(以降、この“猶予”の事を「喰らいボムの受付時間」と呼ぶ)。この間にボムを出せば「ミス」より「ボム」が優先される為、ミスを帳消しにすることができる。これを喰らいボムという。
喰らいボムの受付時間はあくまで数フレーム、つまりほぼ一瞬であり、よほど強力な反射神経の持ち主でない限り、被弾に気づいてからボムを出そうとしても間に合わない[18]。ただし『妖々夢』において博麗霊夢を使用すれば他キャラよりも受付時間が長い為、被弾に気づいてからでもある程度狙って出す事が可能である。
[編集] ラストスペル
ここでは自機が使用するラストスペルに関して記載する。敵が使用するラストスペルに関してはスペルカードの節を参照。
ラストスペルとは『永夜抄』において採用されているシステムで、喰らいボムの一種である。被弾した場合、喰らいボムの受付時間終了後、プレイヤーキャラクターの周囲に「決死結界」というものが短時間展開され、この間にボムを出すと「ラストスペル」という強力なボムが発動する。ミスを帳消しにできる点では通常の喰らいボムと同じだがボムを2個分消費してしまう。ただし残り1個分しか持っていない場合でも発動は可能である。
決死結界の展開時間は様々な条件によって変化するが、喰らいボムの受付時間よりは長い。その為、被弾に気づいてからでもある程度狙って出す事が可能である。
なお決死結界が展開される前、すなわち喰らいボム受付時間中にボムを出した場合は通常のボムが発動する。これは喰らいボムであり、ボム消費は1個分となる。しかし前述の通り狙って出すのはほぼ不可能である為『永夜抄』にも喰らいボムが存在するという事を知らない人も少なくない。
[編集] 登場キャラクター
- 詳細は東方Projectの登場キャラクターを参照。
東方Projectには、多くのキャラクターが登場する。キャラクターは基本的に女性であり、男性キャラクターがほとんどいない。
- 博麗霊夢(PC-98版では博麗靈夢)
- 東方Projectの主人公。博麗神社の巫女。
- 霧雨魔理沙
- Windows版でのもう1人の主人公。霊夢の友人で魔法使い。
[編集] 二次設定について
東方projectは二次創作が非常に盛んで、人気作家が創作した設定や、後述の「東方スレッド」にて話題になったネタ等が同人の業界でほぼ公式的な設定として他の二次創作者にこぞって扱われることがままある。代表的な二次設定に関しては東方Projectの登場キャラクター#代表的な二次設定の例を参照のこと。
[編集] 東方スレッド
東方スレッドとは、2ちゃんねるのゲームサロン及びシューティング板に存在する東方Project(東方シリーズ)に関するスレッドである。多くの二次設定がここで生み出された。一応、ゲームサロン板のスレッドが本家ではあるが、このスレッドは関係の無い雑談やアスキーアートの羅列が非常に多く、スレッドの進行速度が異様に速い。その為、スレッドを乱立させる等の理由から他の2ちゃんねらーからはあまりいい目では見られていない。
一方で東方Projectの話題を扱うスレッド以外で東方の話題を持ち出したり、他の作品と張り合う書き込みを行う者がおり、それらを嫌悪する者から「東方厨」と呼ばれる事があり、スレッド内部からも批判が出ることもある。
[編集] 創作ジャンルについて
同人誌をはじめとして、同人ゲーム、作中のBGMへのアレンジやCD、キャラクターカード、その他グッズ等多岐にまたがる。時折、原作者のZUNがこれに参加する場合もあり、二次創作は基本的に純粋な東方ファンの憩いの場となっている。
特にアレンジCDは同人音楽におけるシェアの大部分を占める位にまでなってきており、同人イベントへのサークル数増加等盛り上がりを見せているが、一部の二次音楽創作者が独自にアレンジ楽曲を用いた演奏会やクラブイベントを開くようにもなった。これ等一部のイベントに対し、原曲者であるZUNが日記にて「一声かけてください」等難色を示した事もあり、一部で非難の声もある。(アレンジ、編曲等の一般的な扱いについては著作権を参照)
[編集] イベントなど
東方Projectオンリーの同人誌即売会は数多く開催されているが、ここでは代表的な2つのイベントを紹介する。
[編集] 博麗神社例大祭
博麗神社例大祭(はくれいじんじゃれいたいさい)とは春に関東で開催される東方Projectオンリーの同人誌即売会である。数多くある東方Projectオンリー即売会の中でも最大級のイベントであり、また上海アリス幻樂団から体験版が出たりするため、参加者が非常に多くなっている。
2004年から年1回のペースで4月~5月に開催されており、2006年5月21日に第3回が開催された。
会場は第1回が東京都大田区のPio、第2回が東京都産業貿易センター浜松町館、第3回が池袋サンシャインシティ文化会館 Dホールで開催されている。
第4回は2007年5月中旬に第3回と同じく文化会館で行われる予定である。
関連イベントとして見本誌読書会がある。これは例大祭でサークルから出された見本誌の読書会であり、例大祭の後の秋に開催されている。
主催はサークル「博麗神社社務所」、代表は鈴木龍道である。
主催側とZUNは直接の関係は無いが、第一回開催の際にZUNによって「博麗神社例大祭」のネーミングがなされた。
[編集] 東方紅楼夢
東方紅楼夢(とうほうこうろうむ)とは秋に関西で開催される東方Projectオンリーの同人誌即売会である。例大祭には及ばないものの、それ以外のオンリーイベントとは一線を画すほど参加者が多く、東方Projectオンリーイベントの二大巨頭と言えるほどにまでなっている。
2005年9月12日に大阪センイシティ2号館で第1回が開催され、2006年11月12日に京都市勧業館みやこめっせで第2回が開催された。
[編集] 脚注・出典
- ↑ ZUNが4Gamer.netでのインタビューにて、東方Projectがシリーズ作品であることを明確に否定している。しかし、マニュアルなど「東方シリーズ」や「シリーズ」と記載されている物も一部存在する。
- ↑
- ↑ 4Gamer.netでのインタビュー「東方」制作者インタビュー「シューティングの方法論」第1回 - ZONE Kより。
- ↑ 提供した楽曲は
- Demystify Feast
- 夜が降りてくる ~ Evening Star
- 御伽の国の鬼が島 ~ Missing Power
- ↑ http://gensou.s93.xrea.com/world/qa0307.html#03092101 より
- ↑ 『萃夢想』のサウンドトラックは黄昏フロンティアより発売された。ただし、このゲームで使用されているBGMは、大半が同サークルによってアレンジされたものである。
- ↑ 『東方求聞史紀』のみ、例外的に漢字4文字になっている。(2006年現在)
- ↑ 『幻想掲示板』2004年2月11日の投稿より。『幻想掲示板』とは「上海アリス幻樂団」の公式掲示板であるが、現在は既に閉鎖されている。
- ↑ 『香霖堂』第1話より。
- ↑ 『永夜抄』キャラ紹介.txt、蓬莱山輝夜の項より。
- ↑ 『幻想掲示板』2003年8月1日の投稿より。
- ↑ 『幻想掲示板』2003年6月1日の投稿より。
- ↑ 『香霖堂』第3話より。
- ↑ 『三月精』新第2話より。
- ↑ 『香霖堂』10話の森近霖之助の独白や、ComicREX2006年12月号掲載の『記憶する幻想郷』の稗田阿求の独白より。
- ↑ http://gensou.s93.xrea.com/world/qa0307.html#03110301 より。
- ↑ http://gensou.s93.xrea.com/world/qa0401.html#04040601 より。
- ↑ ちなみに1フレーム=1/60秒であり、喰らいボムの受付時間を3~4フレームと仮定すると、被弾から発動までの猶予は約0. 05~0. 07秒程度という事になる。
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