撫順
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撫順(ぶじゅん、簡体字:抚顺、ピンイン表記:Fǔshùn、英語表記はFushun)は、中華人民共和国の遼寧省北部にある地級市の一つ。省都・瀋陽からおよそ45km離れたところにある衛星都市である。かつての炭鉱都市で、市内には渓谷のように巨大な露天掘り炭鉱が口を開けている。
人口は2,260,290人(2001年調査・市の公式サイトによる)。漢民族が4分の3ほどを占め、残りは満族や朝鮮族、回族などとなっており、特に満族が多い。渾河に沿って伸びる市街地は南北と東を山に囲まれた平野にあり、市域の西側に偏っている。市域の東側は吉林省からつながる山地となっており森林が多い。大陸性気候であり年平均気温は6.6度。石炭使用などによる大気汚染が少なからずある。
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[編集] 歴史
ここはかつて女真族が多く住む地であり、高爾山には中国の歴代王朝が城を築いてきた。1384年、高爾山の南麓、渾河の北に撫順城が明によって建てられた。1619年にヌルハチの率いる後金軍が明軍を破るサルフの戦いが行われた場所でもある。
[編集] 巨大炭鉱開発
渾河の南に石炭が発見されたのが撫順発展の契機である。ロシア帝国によって東清鉄道の南満州支線(ハルビン-大連間)が建設された後に奉天(瀋陽)-撫順の支線も敷設され、撫順炭田には東清鉄道の「鉄道付属地」(中国の行政権・司法権などが及ばない治外法権地域)が設置されロシアによる炭鉱開発がおこなわれた。
日露戦争後は鉄道及びその付属地は日本の手に渡り、撫順炭田一帯は南満州鉄道(満鉄)の広大な鉄道付属地(満鉄附属地)となり、駅と炭鉱の周囲に新市街が建設され、満鉄による行政が行われた。露天掘りによる大規模な石炭採掘が行われるなど満鉄を支える重要な財源となり、撫順の付属地の人口は10万を超え満鉄附属地の中でも最大であった。また撫順の石炭と鞍山の鉄鉱石を組み合わせて、鞍山製鉄所(後の昭和製鋼所)が稼動した。
[編集] 日本との関係
満州事変後、抗日ゲリラによる満鉄施設襲撃が激化していたが、満州国成立後の1932年9月15日、抗日ゲリラ多数が撫順炭鉱を襲い、炭鉱側には死者も出て操業が停止する事態になった。これに対し、翌9月16日、日本軍守備隊は炭鉱近くの平頂山という集落で中国人住民多数を虐殺する事件を起こした(平頂山事件)。
第二次世界大戦後、撫順の監獄には関東軍捕虜や満州国官僚、また満州国皇帝であった愛新覚羅溥儀と弟の溥傑など1000人以上が集められ撫順戦犯管理所となった。ここで入所者は共産主義の思想学習と戦争犯罪行為の自白などのプログラムを受けた。1956年その多くが不起訴処分となり日本へ帰国し、残る有罪判決を受けたものも順次釈放され帰国した。帰国者たちは中国帰還者連絡会を結成し日本軍による中国での戦争犯罪や残虐行為を語り継いでいるが、撫順戦犯管理所で行われた教育や犯罪自白自体が中国共産党による洗脳の影響である。
[編集] 中華人民共和国時代
中華人民共和国の建国後、撫順は遼東省や遼西省などから独立した中央直轄市となったが、1954年8月に遼寧省に統合された。石炭の露天掘りは続けられ、その露天坑の深さは200mを超えた。1962年、中国人民解放軍の模範兵士とされる雷鋒が撫順の輸送部隊に配属されていた頃、倒れたトラックを立て直す作業を指揮していた時に、支える棒が頭を直撃して殉職した。死後、彼は毛沢東により模範的な人物と称賛され、中国全土で『雷鋒に学べ』という大規模なプロパガンダが繰り広げられた。今日でも彼は英雄とされ、故郷の湖南省同様、撫順にも記念館や記念碑が建っている。
撫順の産業を支えてきた露天掘り炭鉱はほぼ掘りつくされ、現在は観光地となっている。石炭業の衰退に伴い産業転換を迫られ、現在の主産業は石油化学工業などとなっている。
[編集] 行政区画
4つの区、1つの県、2つの自治県を管轄している。
- 区
- 新撫区・望花区・順城区・東洲区
- 県
- 撫順県
- 自治県
- 清原満族自治県・新賓満族自治県
[編集] 名所
- 清の永陵
- 薩爾滸(サルフ)風景区
- 元帥陵 1928年に爆殺された張作霖のために1929年から作られた墓地。サルフ山山系の森林にあり、大伙房ダムの湖岸にある。
- 撫順戦犯管理所 日本人捕虜や愛新覚羅溥儀らの資料が展示されている。
- 平頂山事件跡地 事件の記念碑や、遺骨の埋められた地中をそのまま展示している「平頂山殉難同胞遺骨館」などがある。
- 高爾山公園 市街に隣接した小高い丘。古来より城が築かれてきた。
- 雷鋒記念館
[編集] スポーツ
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 鉄道附属地
- http://www.fushun.com.cn/ (中国語)
- http://www.fushun.net/ (中国語)