意識
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
意識(いしき)とは自分の今ある状態や、周囲の状況などが正確に認識できている状態のことを指す。
目次 |
[編集] 意識の性質
意識の構成には「清明度」、「広がり」、「質的」の三つの要素が存在するが、このうち一般的に意識障害というと「清明度」の低下についてを指す。「広がり」の低下(意識の狭窄)は催眠であり、「質的」の変化(意識変容)はせん妄やもうろう等を指す。
[編集] 医療・救急分野における意識
- 無意識は五感に対する刺激が脳で感じ取られず、刺激を認識していない状態である。刺激に対する反応が部分的な状態である。
- 「意識がない」とは、脳の働きが部分的に停止し、刺激の入力を拒否した状態をである。
- 「気を失う」とは、過剰な刺激に対しショックを受け、脳の働きが停止した状態である。「ショック状態」も同意である。
[編集] 意識レベル
医療の現場に於いては、意識の状態・反応に応じて「意識レベル」で表示する。救急医療では、先ず負傷者等の意識を確認して「意識レベル」の判定を行う。
[編集] 19世紀の心理学における意識
ヴィルヘルム・ヴントは意識という概念を中心に心理学を組み立てようとした。意識は自分の感ずる「感覚」「感情」「観念」に分けられる。この3つの意識を自分自身が感じたままに観ることを内観法(ないかんほう)という。
[編集] 行動主義心理学における意識
行動主義心理学では、意識という概念を用いずに、刺激と反応という図式で人間の行動を理解しようとする。
[編集] 精神分析学における意識
精神分析学では、人間の心を意識・前意識・無意識の3つに分ける。
自分で現在認識している内容を意識という。つまり、我々が直接的に心の現象として経験していること、これは私の経験だと感じることのできることを総体的に意識という。意識は短期記憶・作動記憶と関係があると思われる。
自分で現在認識していないが、努力すれば思い出すことができる内容を前意識という。前意識は長期記憶と関係があると思われる。
自分で現在認識しておらず、努力しても思い出せない内容を無意識という。精神分析学では通常の方法では思い出せない無意識下にあるものを、自由連想法などを用いて意識に持ってゆくことで無意識を理解しようとした。
[編集] 人工知能における意識
人工知能の分野では、人間が人工知能に質問などをして、その人工知能が意識を持っているかのように反応し、人間の反応と区別がつかなければ、意識を持っているとみなす(チューリング・テスト)。
[編集] 関連項目
[編集] 人物
- フランシス・クリック&クリストフ・コッホ - 神経科学からのアプローチ
- ジェラルド・エーデルマン&ジュリオ・トノーニ - 神経科学からのアプローチダイナミック・コア仮説
- アラン・チューリング - チューリングテスト
- ジョン・サール - 中国語の部屋
- ジョン・エックルス - 二元論
- ワイルダー・ペンフィールド - 二元論
- ロジャー・ペンローズ - 量子力学
- マービン・ミンスキー - 人工知能
[編集] 関連書
- ジュリアン ジェインズ(Julian_Jaynes) 柴田裕之 訳 『神々の沈黙』意識の誕生と文明の興亡 紀伊國屋書店 ISBN 4314009780
- 中田力『脳のなかの水分子』意識が創られるとき 紀伊國屋書店 ISBN 4314010118
カテゴリ: 心理学 | 心 | 医学 | 医学関連のスタブ項目