ロジャー・ペンローズ
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ロジャー・ペンローズ(Roger Penrose, 1931年8月8日 - )は、イギリス・エセックス州コルチェスター生まれの数学者、理論物理学者。
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[編集] 科学上の業績
- スティーブン・ホーキングと共にブラックホールの特異点定理(重力崩壊を起こしている物体は最後には全て特異点を形成する)を証明し、「事象の地平線」の存在を唱えた。他に宇宙の構造モデルとして量子重力理論とツイスター理論を提唱。
- 2種類の図形で非周期的な平面充填の「ペンローズ・タイル」を提示した。当初、純粋に数学上の存在と考えられていたが、1984年にペンローズ・タイルと同じ対称性を有する結晶構造(準結晶と呼ばれる)が発見された。
- 角柱が3本、それぞれ直角に接続しているという不可能立体「ペンローズの三角形」を考案し、エッシャーの作品「滝」などに影響を与えた(ペンローズ自身もエッシャーのファンであり、平面充填や不可能図形の研究もその作品に触発された物と言われている)。
[編集] その他の活動
著書『皇帝の新しい心』にて、脳内の情報処理には量子力学が深く関わっているというアイデアを提示している。この分野は未だ科学として十分に確立してはおらず、プロトサイエンス(未科学)の領域である。故国イギリスの大先輩の物理学者ニュートンが古典力学の科学的体系を構築しつつ、その片側で錬金術の研究に手を染めていた事を思い起こさせる、と評する者もいる。
[編集] 略歴
父は遺伝学者のライオネル・ペンローズ。ロンドン大学、ケンブリッジ大学セント・ジョンズ・カレッジなどで数学を学ぶ。1952年、ロンドン大学卒業。1957年、ケンブリッジ大学で博士号取得。ロンドン大学、ケンブリッジ大学、プリンストン大学、シラキューズ大学、テキサス大学、コーネル大学、ライス大学などで教鞭をとる。
1964年、スティーブン・ホーキングと共にブラックホールの特異点定理を証明。1972年、王立協会会員に選出される。1973年、オクスフォード大学ラウズ・ボール教授職に就任。1994年、ナイトを叙勲。
[編集] 主な著作
[編集] 物理学関係
- 『時空の本質 ホーキングとペンローズが語る』(早川書房:ホーキングと共著)
[編集] それ以外
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