小籔千豊
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小籔 千豊(こやぶ かずとよ、1973年9月11日 - )は、大阪府大阪市住之江区出身の日本の喜劇男優・お笑いタレント。吉本興業に所属し、吉本新喜劇の座長を務める。近畿大学附属高等学校卒業。
NSC12期生、B型。最大の特徴は身長188cm、体重65kgという長身かつ超ガリガリ体型。小籔の『やぶ』は藪や薮ではなく正しくは籔である。既婚で娘もいる。
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[編集] 芸歴
1993年、山田知一(現在はやまだともカズの名で構成作家として活動)とコンビ「ビリジアン」を結成。フルーツ大統領のメンバーに編成されるなど関西では人気を得るも2001年に解散した。解散直後、小籔自身は警察官への転職を真剣に考えるなど、一時芸能界に見切りをつける事を決意しかけたが、その独特なスタイルなどから吉本の社員に慰留され続け、バッファロー吾郎の木村明浩の薦めで同年吉本新喜劇に入団する。主に内場座長のもと「いざという時頼りない人」「全身紫スーツで固めた身体の弱いヤクザ」(池乃めだかと組んで演じる)「小悪党の秘書」でブレイクすると司会役、店員役などあらゆる重要な役柄を与えられるようになり、一躍新喜劇のエース、吉本の有望株に成長した。
2004年夏からは座長不在時に川畑泰史と組んで座長代理も務め、その「川畑小籔コンビ」の新喜劇が内外で高い評価を得る。また同年秋からはNHK朝の連続テレビ小説「わかば」のレギュラーに抜擢され、原田夏希演じる主人公若葉の先輩職人・杉本康博役を演じ、全国的に小籔の知名度を広めることになった。
2005年3月には「吉本新喜劇 川畑泰史・小籔千豊公演 がんばろっカナ!?キャンペーン」をなんばグランド花月にて開催。吉本新喜劇の歴史に残る大イベントを成功させ、イベント内で新喜劇の大御所・桑原和男からも「(川畑小籔両名は)次代の新喜劇を背負うのに相応しい人材」とお墨付きをもらっている(その後も現座長の内場勝則や辻本茂雄が重鎮ポジションになり、次期座長候補の小籔が座長の立場になって新喜劇を上演するなど、次代の新喜劇を背負う小籔にさらなる飛躍が期待されてきた)。
これらを受けて、2005年8月に座長就任要請があり、2006年1月に受諾を決意。2月28日に襲名御披露目を行い、その後1週間は「小籔祭り」として名実ともに初の座長公演が行われた。初回の襲名口上には内場、辻本、吉田ヒロの3座長と未知やすえが脇を固め、2回目以降は辻本、ヒロの代理として池乃めだかと川畑泰史が参加した。この期間は、小籔より名前が大きい「オオヤブ」姓の人、身長188センチの小籔より背が高い人(女性の場合はハイヒールでもOK)、「千」より大きい名前(万田さん、千一さんなど)の人は、入場無料扱いになった。
新喜劇外の活動としては、過去2003年1月16日には同じく新喜劇を主戦場とするレイザーラモン(出渕誠、住谷正樹)と3人によるユニット「ビッグポルノ」を結成。コントやラップ、トークなど、様々なパフォーマンスを行った。また、2005年8月31日には「国立文楽劇場より愛をこめて」と題して同所では異例のコントライブを行い「伝統とエロスのコラボレーション」(小籔談)を具現化してみせ、ラップナンバー「SUNRISE SUNSET」ではボーカルとラップを務めた。また、土肥ポン太と一緒におくにと申します。でM-1にも挑戦した。
[編集] 人物
- 実家は自転車屋。
- 菜食主義者で、自ら「ロハスの先駆け」と語っており、BSE騒動の際には、「私の時代が来た」と語ったといわれている。但し魚や乳製品は食べられ、思想的なものではない。小籔の祖父が「肉は体に悪い」として教育していたため、肉を受け付けない体になってしまった。マクドナルドではもっぱらフィレオフィッシュ。
[編集] ギャグ
自分の身体の細さを前面に出したネタが主。他人を褒めているようで実はけなしている「ほめ殺し」的な台詞の言い回しは新喜劇でも随一を誇る。また辻本茂雄の「茂造じいさん」と同じくトラブルメーカー的な役割が多いため、責任転嫁ネタが数多い。またベタな笑いを基調とする新喜劇においてビリジアン時代からの売りであるシュールなボケも多く見られる。座長就任後は仙人のようなカツラを被り、辻本がよく演じるじいさん店員役を演じるなど方向性を模索している途中である。
[編集] 「俺はなあ・・」
中でも秀逸なのはヤクザに追い詰められるなど、修羅場の状況で放つこのやりとり。 小籔「おーい、それ以上俺らなめとったらいてまうぞ」 ツッコミ「いてまう?われなめとるんかコラァ」などと言われこのセリフ。
- 「俺は、今はこんなんやけどなぁ、こう見えてもなぁ、昔はあんなんやったんや!今まで数々の悪いことやって来とんねや!殺人、強盗、恐喝、窃盗、詐欺、婦女暴行、密輸、誘拐、放火……以外はやって来とんねや!」(ツッコミ:「何やそれ!あと何が残ってんねん!」)
- 更にそれに対して「つまみ食いとかあるやろ!水出しっ放しとか。妹叩くとか。ダブルドリブルとか。おかわりしたのに残すとか。ブランコなかなか代われへんとか。メロンパンの上だけ食べるとか。」(ツッコミ:「ただ行儀悪いだけやないかい!!」「お母ちゃんにちょっと怒られるだけやないかい」『むちゃくちゃ怒られるわ!!!』「しらんがな~」)
この後小籔が相手の胸倉を掴んで「なめとったらいてまうぞ」と怒鳴りつけ、急に顔をしかめて肋骨を押さえたところを、共演者に「どないした?」と言われこの一言。
- 「大きい声出したら、アバラ折れました」
- 初期の頃は「そんなら出て行くな」と言われた後に逆切れし「何やとこらー」と言った後、もう一方の肋骨を押さえ、「どないしたんや」「もう一方も折れました」とぼけるシーンもあった。
また別のパターンとしては…
- (怒鳴りつけたあとに)ヤクザ「やろうっちゅんか、あぁん!」
小籔「俺がやるんちゃう。こいつがやるんや!!」と、別の人(大抵内場が多い)に転嫁する。
[編集] その他
- 肋骨しかないガリガリの体をアピール。またはボディアタック。
- 内場との共演時、「内場の10年後シリーズ」。安尾信乃助、小籔そして五十嵐サキが小芝居を演じる。小籔が内場の役で10年後には乞食に身を落とし拾い食いをしている、安尾がそのストーリーのキーとなる人物かヤクザの役を演じる。五十嵐は本人役で阿婆擦れ女になっている役を演じる、内場は傍から突っ込みを入れる…というもの。
- 内場・やすえ夫妻と共演時、申し出を断られた時に「泣き落とし」。「諦めて自殺します。もう仕事無いんやったら自殺するしかないわ。なんて遺書書こう。そうや。内場夫妻に殺されたって書こう!ここのおにぎり投げつけられて、うどんで首しめられたって書こう。うぅぅぅ仕事ないんやったら自殺するしかない」(内場)「う~んそんならうちで働いたらええわ。」すると元気に「よろしくお願いしまーす。」と挨拶。
- 主に川畑と共演している時、ついてないときに「ラッキー!」と言う。
- 言い訳。遅刻した際などに、モロゾフのプリンや、カレーそば、ナポレオンの寝起きなどについて延々と講釈を始めるが、全く関係ない話なので「何の話してんねん!!」とツッコまれる。
- 「例えばですね、モロゾフのプリンってあるじゃないですか。あのガラスのコップって、なかなか捨てれないんですよね。あれ上等やから、いつも洗うて麦茶入れて飲んだりとかして使ってるんですけど、あのガラスのコップばっかり家にブワーッと並んでたら『うわっ、この家貧乏臭い家やなぁ』と思われたらイヤやから、今度こそモロゾフのプリン貰った時はガラスのコップ捨てなあかんなぁと思うてたんですけど、こないだね、またモロゾフのプリン貰ったんですけど、また洗うて使てますねん」「・・・・ってなんの話や!?」
- 「行く途中で銀行強盗があったんですよ。犯人が逃走してパトカーがカーチェイスしてたんですよ。」「どこで見とったんや?」「4チャンネル。」「サボっとるやないか!」
- 最近では川畑のことを「じゃがばたさんとかいうてましたね~」とか「顔パンパン」といじる。
- 「フォフォフォフォフォ」と横隔膜と肋骨を揺らすような笑い声を発する。まだ未完成。
レイザーラモン住谷とのやりとり
- (住谷に)「やるんかコラ」と肩を摑まれ「肩揺すんなや、背中曲がるやろ!」「できればもう一方も揺らして」
- 「男は骨やで!」
- (初対面で)あなた何ですか?ゴミ袋の神様ですか?
[編集] 舞台出演
なんばグランド花月、うめだ花月に不定期出演中。うめだ花月では小籔や五十嵐サキ、出渕誠・住谷正樹、なかやまきんに君などのメンバーが連夜実力派若手芸人とコントや新喜劇を繰り広げている。また、最近ではルミネtheよしもとにて新喜劇のほかレイザーラモンと一緒にスペシャルコントに出演することもしばしばある。
[編集] 主な出演番組・映画
[編集] テレビ
- よしもと新喜劇(毎日放送)
- 素のよしもと(関西テレビ放送)
- おはよう朝日です 無知との遭遇(朝日放送)(不定期)
- なるトモ!金曜(讀賣テレビ放送・おでかけライダー担当)※3週間ごとに出演
- わかば(NHK・連続テレビ小説、2004年10月~2005年3月)
[編集] ラジオ
[編集] 映画
山田洋次監督の作品に多数出演している。
[編集] CM
[編集] 出版物
- 『なんば花月 芸人読本』
- 『よしもと魂』