小田急電鉄の電気機関車
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小田急電鉄の電気機関車（おだきゅうでんてつのでんききかんしゃ）では、かつて小田急電鉄が所有・運用していた電気機関車の5形式（デキ1010形・デキ1020形・デキ1030形・デキ1040形・デキ1050形）について記す。
小田急の電気機関車は、形式では「デキ」を冠しているが、現車の表示は国鉄式に電気機関車を表す「E」と動軸数をアルファベットに置き換えて表示し、「ED」などを冠していた。2002年（平成14年）9月に、EB1051が廃車されたことにより、小田急の電気機関車は、すべて消滅した。
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[編集] デキ1010形
1927年（昭和2年）に、川崎造船所で2両が製造された、車体の前後に短いボンネットを持つ凸型電気機関車である。西武鉄道のE21形、上田温泉電軌のデロ301などが同系車としてあげられる。
小田原急行鉄道時代には、ED1形（ED1・ED2）と称したが、1941年（昭和16年）3月1日に鬼怒川水力電気に合併され社名を変更した小田急電鉄が陸上交通事業調整法に基づき1942年（昭和17年）5月26日に東京横浜電鉄等と合併し東京急行電鉄、いわゆる「大東急」になると、デキ1010形（ED1011・ED1012）と改番される。そして、1948年に大東急が解体する際に、小田急電鉄に引き継がれた。1968年（昭和43年）にED1011が、1984年（昭和59年）にED1012が廃車され、形式消滅した。ED1011号は、向ヶ丘遊園敷地内にあった「小田急鉄道資料館」前で、静態展示されていた。また、ED1012号は廃車後も、少なくとも2001年までは海老名検車区で保管されていたが、その後解体された。
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- 形式・番号
- 小田原急行ED1形 ED1・ED2→東急デキ1010形 ED1011･ED1012→小田急デキ1010形 ED1011･ED1012
- 車体
[編集] デキ1020形
1930年（昭和5年）5月に、川崎造船所で1両が製造された50t級の箱型車体を持つ電気機関車で、側面に並んだ7個の丸い窓が特徴であった。同系機としては、富士身延鉄道200形（のちの国鉄ED20形）がある。
小田原急行鉄道時代には、ED101形（ED101）と称したが、陸上交通事業調整法に基づき、小田急電鉄が1942年5月26日に東京横浜電鉄等と合併し、いわゆる「大東急」になると、デキ1020形（ED1021）と改番される。そして、1948年に大東急が解体する際に、小田急電鉄に引き継がれた。
本機は、1969年（昭和44年）に岳南鉄道に譲渡され、ED28形（ED281）に改められた。主に入換え用として使用されたが、1988年（昭和63年）12月に廃車された。
[編集] 諸元
- 形式・番号
- 小田原急行ED101形 ED101→東急デキ1020形 ED1021→小田急デキ1020形 ED1021→岳南ED28形 ED281
- 車体
- 全長：10654mm
- 全高：4142mm
- 全幅：2732mm
- 重量：50.0t
- 軸配置：B-B
- 台車：棒台枠釣合梁式（ブレーキシリンダー付）
- 主電動機：K7-2003-B 130kW×4
- 1時間定格出力：522kW
- 1時間定格引張力:8160kg
- 歯車比：16:73＝1:4.56
- 動力伝達方式：1段歯車減速、吊り掛け式
- 制御装置：電磁空気単位スイッチ式
- 制御方式：非重連、抵抗制御、2段組合せ制御
- 制動方式：EL14A空気ブレーキ、手ブレーキ
- 集電装置：2基
- 塗装：栗色。 のち、黄帯が足される。
[編集] デキ1030形
1930年に、日本車輌製造にて1両が製造された。50t級の箱型車体を持つ電気機関車である。前面は切妻の非貫通構造で3枚の窓が並び、左右の窓下には砂箱が設置されている。基本的には機能本位の無骨さが目立つが、窓にはすべて上縁にRが付けられている。同タイプの電気機関車としては、豊川鉄道のデキ52（後の国鉄ED29形）、近畿日本鉄道のデ21などがある。
小田原急行鉄道時代には、ED201形（ED201）と称したが、陸上交通事業調整法に基づき、小田急電鉄が1942年5月26日に東京横浜電鉄等と合併し、いわゆる「大東急」になると、デキ1030形（ED1031）と改番される。そして、1948年に大東急が解体する際に、小田急電鉄に引き継がれた。1997年（平成9年）に廃車され、この形式が消滅したことにより、小田急から本線用の電気機関車は消滅した。
[編集] 諸元
- 形式・番号
- 小田原急行ED201形 ED201→東急デキ1030形 ED1031→小田急デキ1030形 ED1031
- 車体
- 全長：11450mm
- 全高：4100mm
- 全幅：2740mm
- 重量：50.0t
- 軸配置：B-B
- 台車：板台枠
- 主電動機：K7-2003-B 130kW×4
- 1時間定格出力：522.2kW
- 1時間定格引張力:7400kg
- 歯車比：17:73＝1:4.29
- 動力伝達方式：1段歯車減速、吊り掛け式
- 制御装置：電動カム軸接触器式
- 制御方式：非重連、抵抗制御、2段組合せ制御
- 制動方式：EL14A空気ブレーキ、手ブレーキ
- 集電装置：2基
- 塗装：栗色。 のち、黄帯が足される。
[編集] デキ1040形
1951年（昭和26年）6月に、中日本重工（現在の三菱重工業。機械部分）及び三菱電機（電気部分）で1両が製造された。50ｔ級の箱型車体を持つ電気機関車で、車体の前後にはデッキが設けられている。溶接で組立てられた平滑で近代的な外観を有している。出力は小田急の電気機関車中最大の600kWで、発電ブレーキを備えている。貨物列車廃止後はデキ1031と重連を組んで新車搬入に使用されたが、1994年にモーター焼損を起こしたことがきかっけとなり1996年（平成8年）に廃車された。
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- 形式・番号
- 小田急デキ1040形 ED1041
- 車体
- 全長：13800mm
- 全高：4090mm
- 全幅：2710mm
- 重量：50.0t
- 軸配置：B-B
- 台車：棒台枠
- 主電動機：MB266AF 150kW×4
- 1時間定格出力：600kW
- 1時間定格引張力:8000kg
- 歯車比：16:82＝1:5.12
- 動力伝達方式：1段歯車減速、吊り掛け式
- 制御装置：電磁空気単位スイッチ式
- 制御方式：非重連、抵抗制御、2段組合せ制御､弱め界磁制御
- 制動方式：EL14A空気ブレーキ、発電ブレーキ、手ブレーキ
- 集電装置：2基
- 塗装：栗色。 のち、黄帯が足される。
[編集] デキ1050形
1950年（昭和25年）に、日立製作所で1両が製造された15t級の小型凸型機で、日本専売公社足柄工場の専用鉄道で入換え機として使用されていたものを、小田急が1959年（昭和34年）2月に購入したものである。背の高い台の上に設置されたパンタグラフが特徴的である。
専売公社時代は、EB1形（101）と称したが、小田急ではデキ1050形（EB1051）と改称された。本機は、相武台工場で使用された後、相模大野工場に移り、2002年（平成14年）9月の廃車まで、電動貨車デト1形（1）とともに場内入換え機として使用された。
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- 形式・番号
- 日本専売公社EB1形 101→小田急デキ1050形 EB1051
- 車体
- 全長：6450mm
- 全高：4100mm
- 全幅：2522mm
- 重量：15.7t
- 軸配置：B
- 台車：板台枠（単台車式）
- 主電動機：HS-255Fr 60kW×2
- 1時間定格出力：120kW
- 1時間定格引張力:2360kg
- 歯車比：15:88＝1:5.20
- 動力伝達方式：1段歯車減速、吊り掛け式
- 制御装置：電磁空気単位スイッチ式
- 制御方式：非重連、抵抗制御
- 制動方式：空気ブレーキ、手ブレーキ
- 集電装置：1基
- 塗装：栗色。のちオレンジ色
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