地球科学
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地球科学(ちきゅうかがく)とは、地球を研究対象とした自然科学の一分野であり、近年では太陽系に関する研究も含めて地球惑星科学(Earth planetary science)ということが多くなってきている。また日本では、ほぼ同義で主に高校での科目名や大学での学科名としての地学 (earth science) という呼び名が一般的に用いられてきた。
地球科学 (Earth science) は、地球磁気圏から地球内部のコアに至るまで地球に関するあらゆる学問を総称した名称であり、内容は地球の構造や環境、歴史などを目的として多岐にわたる。地球に関する研究は、石炭の発掘などの実用的な目的の中で地層の層序や堆積構造などを解明する地質学が発達したことに始まるが、自然史学的な色彩が濃かったために比較的進歩は遅く20世紀になってようやく地球に対する認識が大きく進展してプレートテクトニクスの発見などの飛躍を見せた。しかしながら地球に関してはまだ解明されていないことが多く、まだ本格的な研究は始まったばかりと言っても過言ではない。地球は実質的に人類の生活できる唯一の星であり、資源の利用法など、人類の進歩のためにその解明の必要性はむしろ高まりつつある。また、近年大きな関心を寄せられている地震予知や環境問題、火星探査などに直接関わる分野として注目され始めており、今後の更なる発展が期待される学問である。
地球科学あるいは地球惑星科学は、ひとつの学問体系というよりは地球に関する様々な学問分野の総称であり、地質学・地理学・地球物理学・地球化学などに細分化されているのが現状である。またその研究対象も分野によって大気圏・表層環境・生命圏・地球内部・太陽系など多様であるが、最近ではこれらの相互関係に重点を置いて地球全体をひとつのシステムとしてとらえ総合的に研究しようとする地球システム学(惑星システム学)が提唱されている。
また、地学という言葉は幕末に geography の訳語として提唱されたものであるが、明治になってgeography を地理学、geology を地質学と訳すのが普遍的になったため、地学という語義はやや曖昧である。一般には物理・化学・生物などと同様に、高校の授業科目や大学受験科目として地球や天文に関するものを「地学」と呼ぶことが多い。大学などにおける専攻分野としての「地学」は地質学・鉱物学を主体とするものであるが、通常これに加え古生物学や自然地理学などが含まれる。さらに広義には「地球科学」とほぼ同義に用いられることがある。高等学校で地学を専攻する生徒は少なく、教師も少ない。参考書でもセンター試験対策用のものが殆どでその対策本も他の科目と比べても遥かに少ないが、その一方で覚えることも時間的負担も他科目より少なく、他の科目に比べて理系受験生の比率が少ないことで難易度はもっとも抑えられているため、文系受験生にとってはもっとも「オイシイ」科目といえる。
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[編集] 分野
以下に、地球科学あるいは地球惑星科学と総称される主な研究分野を挙げる。これらは必ずしも独立の用語ではなく、同義あるいは互いを包括する語として用いられることが頻繁にある。
- 自然地理学
- 地形学
- 水文学
- 気候学
- 地域地理学 - 地誌学のうち自然について研究するもの
- 測地学
- 地質学
- 地史学
- 古生物学
- 層序学
- 堆積学
- 構造地質学
- 岩石学
- 鉱物学
- 鉱床学
- 地球化学
- 地球物理学
- 地球電磁気学
- 地震学
- 火山学
- 海洋学
- 海洋物理学
- 海洋化学
- 海洋生物学
- 海洋地質学
- 気象学
- 大気物理学
- 大気化学
- 雪氷学 - 水の固体状態に対する総合総合/学際分野
- 地球環境科学 - 地理、地形、地質、海洋などなどの総合/学際分野
- 惑星科学