宇宙物理学
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宇宙物理学(うちゅうぶつりがく、Cosmophysics)は、宇宙のさまざまな現象を物理学を用いて研究する学問。
宇宙物理学は、天体物理学(Astrophysics)とほぼ同義であるので、地球の大気圏外空間を対象とする宇宙科学や宇宙空間物理学とは区別されることが多く、天文学には位置天文学や天体力学が含まれるが、宇宙物理学には位置天文学や天体力学は含まない。天文学の範疇にはかなり含まれるが、宇宙化学や宇宙生物学とは並列の関係にある。天文学が物理学を基礎としながらも物理学と兄弟関係にありかつ化学や生物学とも関連する学問として捉えられているのに対し、宇宙物理学は物理学の一分野とみなされている。従って、宇宙や天体を研究する学問を物理学と対等の学問としてみなす場合は「天文学」と呼び、物理学の一分野としてのみ扱う場合は「宇宙物理学」と呼ぶ。
宇宙や天体を研究する学者のうち、天文学や宇宙物理学ではなく一般の物理学を専攻してきた者は自らのことを天文学者とは呼ばず、物理学者もしくは宇宙物理学者と呼ぶことが多い。
[編集] 教育・研究の場における宇宙物理学・天文学
中学校・高等学校における理科教育では天文・宇宙に関することは地学の一分野として扱われているが、大学では物理学の一分野として扱われるのが普通である。神戸大学理学部では地球惑星科学科の惑星科学大講座で太陽系物理学や宇宙科学について学ぶことができるが、地学系の学科で天文・宇宙について学べる大学は例外的な存在である。
日本の大学で宇宙物理学・天文学が独立した学科・研究室で学べるのは東京大学(学科)・京都大学(学科)・東北大学(学科)・名古屋大学(研究室)・東京都立大学(研究室)・東京理科大学(研究室)・筑波大学(研究室)などであり、その他にも宇宙物理学研究室を有している大学はあるが、あまり知られていない。
そのうち東大理学部に天文学科が、京大理学部に宇宙物理学教室(旧・宇宙物理学科)が設置されている。これは、東大の天文学科が旧東京帝国大学に置かれた星学科に端を発しているのに対して、京大の宇宙物理学教室は1907年に旧京都帝国大学理科大学物理学科内に設立された物理学第四講座が1921年に独立して設立されたものだからである。そのため伝統的に東大では「天文学」と、京大では「宇宙物理学」と呼ぶのが普通である。また、京大では宇宙物理学教室以外でも物理学教室内の研究室で宇宙物理学の研究が行われており、これらは湯川秀樹らの原子物理学研究グループの系譜を引いている。この学科名・教室名の違いから分かるように、東大天文学科では天体物理学・天体力学・位置天文学の全てを学ぶことができるのに対し、京大宇宙物理学教室は天体物理学を専門に学ぶことになる。また、東北大ではかつては天文学・地球物理学第一学科で天文学を学べたが、現在は天文学・地球物理学第二学科(地球物理学を専攻する学科)と統合されて「宇宙地球物理学科」となった。名古屋大では早川幸男の観測天文学に連なる理学部物理学教室内の素粒子宇宙物理学専攻に、広範囲の波長領域をカバーする宇宙観測実験系の4研究室と、理論宇宙物理学を研究する3研究室をもち、多角的な宇宙物理学研究を進めている。東京都立大学では理学部物理学科に、観測データを元に宇宙物理学を研究する「宇宙物理学実験研究室」と、宇宙物理学の理論を研究する「宇宙物理学理論研究室」の2研究室に分かれている。
その他の大学では理学部の物理学科か教育学部の理科教員養成課程で宇宙・天文について学ぶことができる。そのうち物理学科では講座・科目名を「宇宙物理学」としているケースが多いのに対し、理科教員養成課程では講座・科目名を「天文学」としているケースが多い。
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