ポモージェ
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ポモージェ、ポンメルン(ポーランド語: Pomorze, ドイツ語: Pommern, Pommerellen, ポメラニア語(カシューブ語): Pòmòrze and Pòmòrskô, ラテン語: Pomerania, Pomorania)は、ポーランド北西部からドイツ北東部にかけて広がる地域。伝統的、或は地勢的には北にバルト海、東西をオドラ川(オーデル川)とヴィスワ川(ヴァイクセル川)にはさまれた地域である。
元来はスラヴ系のカシューブ人やポメレレン人などが住む地域であったが、古くからポーランドとデンマーク、スウェーデン、ドイツ騎士団、ザクセン公国など周辺諸国との間で争奪されてきた。ポモージェのほとんどは低地で、海岸の砂地のほかはマツ・ブナ・ナラ・カバなどの原生林や沼沢地が多くを占めている。農業に適さない土地であり、東方のプロイセンのほうが豊かだったため、中世の植民者たちも、海岸地帯以外にはほとんど足を踏み入れることはなかった。
13世紀以降神聖ローマ帝国領、17世紀にプロイセン領になりドイツ統一によりドイツ帝国領になったが、1945年のポツダム宣言の結果、ポモージェの大半にあたるオーデル川以東の地域はポーランド領に併合された。ポーランド側は、南はノテク川(ネッツェ川)までがポエージュで、東西240km、南北140km、面積はおよそ33,600平方kmにおよぶ。西ポモージェ県、クヤヴィ・ポモージェ県、ポモージェ県の3つの県に分けられている。ドイツ側はメクレンブルク=フォアポンメルン州の東部にあたる。
フォアポンメルン地区は、17世紀以降スウェーデンによって支配され、1679年及び1720年にプロイセンに南部を奪われているが、北部はスウェーデンのヨーロッパ大陸における拠点となった。19世紀初頭のウィーン会議によってプロイセン王国に譲渡され、1945年、ドイツ側のメクレンブルク州と合併した。
イヌの品種ポメラニアンは、ポモージェ地方が原産地である。また、世界の琥珀の90パーセントがポモージェの海岸で産出されている。