ホンダ・GL
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GL(ジーエル)とは、本田技研工業が製造販売していたオートバイの型番である。
GLは国内において同じ仕様のエンジンを搭載していたオートバイに用いられていた型番であり、当時はWING(ウイング)シリーズとして発売していたが、現在は型番を車名として扱うことが多い。排気量やタイプ別に数車種が生産されていたが、既に全車種とも販売終了している。
なお海外では既にGL1000が発売されていた関係で、国内で「GL」として発売された車種は、輸出仕様では型番のみ「CX」に変更されていたが、後に全て「CX」に統合された。(後述)
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[編集] GL系エンジンの特徴
- 縦置きに搭載された水冷Vツインエンジンは1万回転まで回る高回転型のOHVであり、22度のひねり角が加わっているなど、外見もさることながら機構的にも特異的なエンジンである。(同様の縦置Vツインエンジンはモト・グッツィが有名)
- たとえば、このエンジンはOHVとはいえ、気筒あたり4バルブのセンタープラグ方式を採用し、そのボア・ストロークはホンダの第一期の3リッターのフォーミュラ1用エンジン(V型12気筒)と同じであることが有名であり、プッシュロッドには潜水艦の潜望鏡に用いられる金属を採用してその高回転を実現したと言われている。
- エンジンは重い重量や外見的な重圧感とは裏腹に、高回転域までスムーズに回りGL400でも40馬力をたたき出す。
[編集] WING GL400・GL500
GL500は1977年、GL400は1978年に発売された。発売された時の商標は共にWING(ウイング)である。特徴としては前述した水冷縦置きV型2気筒とメンテナンスフリーのシャフトドライブ、コムスターホイール、などである。この車種のデザインは「10年後でも色褪せない」ものを狙ったと言われ、航空機が飛翔するように前方が持ち上がったラインを有する。
走行性能的には、エンジンは10000rpm近い高回転まで回るものの、決して高回転でのパンチのあるものではなく、また比較的高い重心高もあり、スポーツツアラーにふさわしいものであった。また、縦置きエンジン特有のフライホイール・マスによる車体の横方向への揺れやシャフト・ドライブによる発進時のリア・リフトなどの数々の愛すべき特徴を持った車両でもあった。
この車両は、主に輸出を意識した500を先に発売し、国内向けのGL400は遅れて翌年に販売を開始している。400ccクラスではホンダ初の本格的ツアラーマシンであり、座布団並の厚いシートで乗る者にストレスを与えず長時間の運転を可能にさせたことや、大型の車格(車両重量218Kg)がもてはやされ、価格的には10万円ほど高価になるにもかかわらず、GL400の国内販売台数はホンダの社内ライバルであるCB400T HAWK2を向こうに回し、一時は年間トップに立つベストセラーモデルとなった。免許制度の関係で売れ行きが鈍かったGL500は、後に輸出専用車になっている。400と500の外見はほぼ同一であり、エンジンのクランクケースに張られたプラークで違いが分かる程度である。
後の1981年4月22日にはホンダウイングカスタム (GL 400/500) の発表とともにマイナーチェンジされ、デュアルピストンキャリパー+軽量孔あきフロントダブルディスクプレートのフロントブレーキシステム、フロントのセミエアサスペンション、ハロゲンヘッドライト、メーターバイザーなどを装備した。
[編集] WING GL400-CUSTOM・GL500-CUSTOM
GL400-CUSTOM・GL500-CUSTOM(ジーエル-カスタム)は共に1979年発売。GL400・500のアメリカン仕様として販売されていた。
[編集] WING INTERSTATES
WING INTERSTATES(ウイング・インターステーツ)は1983年に発売された。型番車名はGL650Iであるが、GL700としても通ずる。CX650ターボのエンジンからターボを外して搭載し、前面に巨大なカウルを装備した本格的なツアラーモデルである。
[編集] 後継車種
- GL系エンジンは後に改良が加えられてCX系エンジンに発展し、ターボを装着したCX500ターボや、後にボアアップされたCX650ターボが発売された。
- GL400は後にモデルチェンジしてCXユーロ(外見をCX500ターボ風にしている)に、GL400カスタムは後にCXカスタムにモデルチェンジした。
- GLの型番自体は、国内でも後に発売されたゴールドウイングシリーズに統合されているが、ゴールドウイングのエンジンは別の仕様のものが搭載されている。