ホモフォビア
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ホモフォビア(Homophobia)とは、同性愛、同性愛者に対する恐怖感、嫌悪感を持つ人。特に男性同性愛に対するものが多い。
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[編集] 語源
1969年のタイム誌において、「同性愛者と同性愛に対する嫌悪や恐怖」という意味で、心理学者のジョージ・ヴァインベルクが最初に使用した。ギリシア語のphobos(恐怖)からきている。
[編集] 特徴
ゲイ、レズビアンに対する嫌悪感を持つ。特に男らしさを強調する体育会系や軍隊などの社会で多く見られる。イヴ・セジウィックが生み出したホモソーシャルという概念はそれらの社会での男性同士の強い連帯感を指すものであるが、これはホモフォビアとミソジニー(女性嫌悪)を特徴とするものである。
日本人の一部において 「同性愛に対する恐怖感・嫌悪感を抱く同性愛者」 という誤った解釈がなされている場合もあるが、正しくは上述とおり 「同性愛に対する恐怖感・嫌悪感を抱く人」 である(性指向は関係ない)。ゲイのホモフォビアは、社会のホモフォビアを内面化してしまうために生じる現象であると考えられる。そのため、世代が上になるほどゲイのホモフォビアは多く、社会が寛容になればゲイのホモフォビアは減少する。日本においても、現在は同性愛に関するポジティブな情報がたやすく手に入るためホモフォビアを持つゲイは(特に若い世代において)徐々に減ってきているが、古い世代のゲイには未だホモフォビアを抱えるものも少なくない。
[編集] 同性愛者の反応
同性愛者のホモフォビアに対する反発は世界各国で盛んである。
[編集] 国際反ホモフォビア・デー(IDAHO)
1990年5月17日にWHOが同性愛を国際障害疾病分類(ICD10)から削除することを決議したことから、5月17日は国際反ホモフォビア・デー(International Day Against Homophobia, IDAHO)とされている。呼びかけ人はLouis-Georges TIN氏であり、現在では世界の約50カ国で実施されている。
日本においては、TOKYOPride(東京レズビアン&ゲイパレードの主催団体)、第10回レインボーマーチ札幌実行委員会、ゲイジャパンニュース(LGBT関連ニュースサイト)、尾辻かな子の4団体により、2006年にAct Against Homophobiaという企画が実施された。主な活動は以下のとおり。
- レインボーバンドの販売。
- 同性愛が死刑となる国の大使館への要望書提出。(ポーランド、ロシア、イラン、サウジアラビア、ナイジェリア、モーリタニア、アフガニスタン、アラブ首長国連邦、パキスタン、イエメン、スーダン)
- ホモフォビックな内容であった「アンテナ22」を放映した日本テレビ総務部長への当該番組における表現への抗議と要望書提出。
- 文部科学省、法務省、外務省、厚生労働省への要望書提出、および法務省への署名提出。
- JR新宿駅前での街頭キャンペーン。
[編集] パレード
ホモフォビアやそれに基づく差別をなくすため、世界各地でパレードが行われる。日本では、大規模なものは東京や札幌で行われており、小規模なものは各地で行われている。詳しくはゲイ・パレードを参照のこと。主なものは以下のとおり(開催月順)。
- 神戸ゲイパレード(兵庫/神戸祭り内での開催)
- 東京レズビアン&ゲイパレード(東京)
- レインボーマーチ札幌(北海道)
- 関西レインボーパレード(大阪)
- 立命館大学レインボーパレード(京都)
ただし、諸外国のパレードと比べて、日本のパレードは人口や同性愛コミュニティの規模からすると少なすぎるという指摘もある。また、本来の「ホモフォビアや差別・偏見をなくすため」という目的からかけ離れてコミュニティ内部のお祭りとなっている、という指摘もある。