ブードゥー教
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ブードゥー教(ブードゥーきょう、Voodoo)は、カリブ海の島国ハイチやアメリカ南部のニューオーリンズなどで信仰されている民間信仰。
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[編集] 概説
「ブードゥー」という呼び方は英語で、ハイチや西アフリカではヴォドゥン(Vodun)と呼び習わされている。ヴォドゥンとは西アフリカのフォン語(Fon)で「精霊」の意味。ヴォドゥンはベナンなどの西アフリカで広く信じられており、ベナンの国教となっている。
キューバのサンテリアやブラジルのカンドンブレ、マクンバといった信仰の仲間である。もっとも近年はカリブから欧米への移民が相次いでいるため、欧米各国でも移民の一世、二世らによって信仰されている。「宗教」と規定されることも多いが、教義や教典がなく、また宗教法人として認可された教団も皆無で、布教活動もしないため、民間信仰といった方が現状に即しているといえる。その儀式はドラムを使ったダンスや歌、動物の生贄(いけにえ)、神が乗り移る「神懸かり」などからなる。
一説によると、全世界で信者は五千万人にも上るという。これはチベット仏教の三千万人を遙かにしのぐ数字である。[要出典]
[編集] 成立の背景
ブードゥーは植民地時代の奴隷貿易でカリブ海地域へ強制連行されたアフリカ人の間における伝承・信仰がキリスト教と習合した事によって成立した。したがってブードゥーの中には聖母マリアなどキリスト教の聖人も登場する(ちなみにイエスはあまり登場しない)。しかし、あくまでもアフリカの民間信仰の文脈の中にキリスト教の聖人信仰が組み込まれただけなので、信仰の骨子はアフリカ時代とほとんど同じである。その後、奴隷解放による農民の土地所有により、土地と結びついた祖先崇拝色を獲得したり、コンゴやインド、中国などからの低賃金労働者の移入により、さらなる信仰の混交がすすんだりと、その成立・発展は複雑である。
ハイチでは1987年、憲法により初めて国に認められたが、カトリック教会は植民地時代からブードゥーを黙認していた。というのも、ブードゥーはアフリカにルーツを持つ一方で、土着キリスト教としての側面もあり、なおかつ支配者であるフランス人がこういった面に比較的寛容だったためである。フランス人に限らず、植民地をもっていたラテン系の人々はキリスト教と異教が習合して土着キリスト教化することにさほど抵抗を覚えなかったと見受けられる。そのためサンテリアやカンドンブレをはじめ、「ブラック・マジック」と称される信仰は、主にラテンアメリカに広まっている。他方、アメリカやイギリスなどアングロサクソン系の人々はキリスト教の異端化に神経質だったため、アメリカではキリスト教の土着化はさほど進まなかった。(ただし黒人の比率が高いジャマイカではアフロ・クリスチャン教会(ポコメニア)とよばれる土着化したプロテスタント教会が一般的である。)
[編集] 用語
- ラダ(rada)/ダホメイ 西アフリカ伝来の神格たちや精霊たち。(主にフォン人の民俗信仰)
- ダンバラ・ウェドゥ(Dambala We`do):ラダの神格たち(あるいは精霊たち)の長。蛇の化身。シンボルカラーは白。
- アイダ・ウェドゥ(Ayida We`do):ダンバラの妻。虹の化身。
- エジリ・フレーダ(Erzulie Fre'da):愛の神格。ヴードゥー信仰のセックスシンボル。男性版のセックスシンボルであるオグンと対になる。なお、エルズリーという呼び方も見かけるが、古語なので、現在はつかわれない。
- オグン:鉄の化身。
- アグエ(Agwe):海の支配者。
- アザカ(Azaka):農業の神格。気性が荒く行動は粗野。農民の代弁者。
- ロコ(Loco):薬草の精。司祭が薬草で民間療法や施術を行うため、司祭と寺院の保護者でもある。
- グラン・ブワ(Gran boir):森の精。
- シンビ(Simbi):川や泉の精。
- レグバ(Legba):特別な地位にある神格。扉や街道、運命の支配者にして気まぐれなトリックスター。十字路に棲む。儀式では必ず最初に呼び出される。
- ペトロ(petro) ハイチ生まれの神格たちや精霊たち。気性が荒い。
- バロン・サムディ(Baron Samedi):別名をメートル・シミティエ・ブンバ。(フランス語で墓場の主人の意)
- エジリ・ダント:黒い肌をしたもう一人のエジリ。嫉妬深い。
- メット・カフー:もうひとりのレグバ。やはり十字路や街道を司る。
- ゲデ(Gede):ラダにもペトロにも属さない神格。死と生とセックスの精。毎年11月初めから一週間あまりの間、ハイチではゲデを祀るお祭りが催される。この祭りはハロウィンと同じ万霊節のお祝いでもある。
[編集] 関連項目
- 民間信仰
- 神懸かり
- ゾンビ
- サンテリア
- カンドンブレ
- マクンバ
- 民衆キリスト教
- スピリティズム
- サプライサイド経済学 他人を呪い殺すことが出来ると言うブードゥー教の教義に例えて、後のジョージ・ブッシュ米大統領がサプライサイド経済学を揶揄したことがある。
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