フォーミュラ3
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フォーミュラ3(Formula 3、F3)は、自動車レースの1カテゴリーFIAが定義するフォーミュラカー(オープンホイール)四輪レースのうち、F1、GP2の下に位置するカテゴリーである。
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[編集] 概要
F1とGP2及びフォーミュラニッポン(F3000、F2)の下に位置付けられた国際フォーミュラレース。現在幾つかの国、地域を舞台に選手権がシリーズ開催されており、中でもイギリスF3、全日本F3、ユーロF3(ドイツ・フランス・イタリアの国内選手権を統合したシリーズ。しかしその後ドイツ・イタリアでは独自の選手権が復活)はレベルの高い有力シリーズであり、最新のマシンとエンジンと技術が投入されているレースである。またシャシー、エンジンは参戦チームがメーカー製造のものを購入して組み合わせて使用する。
各選手権毎に別々のレギュレーションでシリーズを戦っているものの、マシン・エンジン・タイヤ等の基本的なレギュレーションは同一である為、それぞれのシリーズから参加者を募るレースが開催される事がF3の大きな特徴である。
・マカオグランプリ(中華人民共和国)1983年~(F3マシンでの統一ルール開催)
・bpアルティメット・マスターズ(オランダ)1991年~
等は各シリーズの上位ドライバーが参戦するためF3の世界一決定戦のような性格を持つ。 コリアスーパープリ(韓国)は1999年に開催されたが2003年限りで開催終了。後継イベントとして2004年にバーレーンスーパープリ(バーレーン)が開催されたが1回限りで終了。過去においては、マカオ/富士チャレンジとして、マカオGP翌週にで真のF3世界一決定戦が富士スピードウェイで行われていた(1990年から1993年の4回)。最初のマカオ/富士チャレンジ勝者は、M.シューマッハであった。
- 車体
- 現在は各シリーズともイタリアのダラーラが製作したものが主流となっているが、童夢(全日本)やローラ製(全日本以外)のシャシーを使用するユーザーも少数ながら存在する。過去には他にマーチ、ラルト、レイナード、トムス(自社製作)、マルティニなどが参戦していた。なお、参戦費用高騰を防止する為にシャシーについては新型発売の年からの3年間はモノコックを含めて車体の基本設計を変えるモデルチェンジは禁止されているが、それ以外のパーツはアップデートキットとしての発売は認められている。
- エンジン
- 各メーカーの市販車に搭載されている4気筒非過給で年間2500台以上生産されているエンジンをベースとしている。排気量については2000CCまでとなってるが、ベースエンジンの排気量の規定は無く2000CC以下のものや、それ以上のエンジンの排気量をレギュレーションである「2000CC」へ変更する事が許されている。また違うエンジンのシリンダーヘッドとシリンダーブロックを組合わせて使用することも可能である。リストリクター(エンジンへの吸気量を制限する装置)を装着した状態(26mm幅)で出力は210馬力前後を発生する。(吸気口のサイズが変更される以前までは24mm幅で170馬力程度だった)
- 現在各シリーズでは、無限(M-TEC)、ルノー(ソデモ)、オペル(スピース)、トヨタ(トムス)、メルセデス(HWA)が主流。カッコ内は開発を行っているチューナー名。ただしオペルはワークス活動を2004年をもって終了しており、現在はカスタマー供給のみとなっている。
- ギアボックス
- タイヤ
- レギュレーションによりワンメイクとされ、晴用のスリックタイヤ及び雨用のレインタイヤもそれぞれ1種類と決められている。全ての選手権及びbpマスターズ、マカオGPでは使用出来るタイヤの本数も晴用・雨用ともに制限されている。またタイヤウオーマーの使用は禁止されている。
イギリス | ユーロ・マスターズ | 全日本 | マカオ | ドイツ・イタリア | スペイン |
---|---|---|---|---|---|
エイヴォン | クムホ | ブリヂストン | ヨコハマ | ハンコック | ダンロップ |
- 禁止事項
- F1及びGP2で認められているセミオートマチックトランスミッション、カーボン製のディスクブレーキ、その他のハイテクシステム(アクティブサスペンション、トラクションコントロールシステム等)の搭載及び使用は禁止されている。
- その他
- ・2002年からはECU(エンジンコントロールユニット)をドイツのメーカーのボッシュが統一した仕様で全てのエンジンに供給をしている。これはエンジン毎によって違うECUの開発費を抑制する目的でもある。またそれに伴いディスプレイもボッシュ社製のが使用されている。
- ・ユーロ選手権ではホイールがドイツのメーカーである「ATS」に、またサスペンションはオランダの「KONI」に統一されている。これは各チームによる開発を抑制する為に供給されている。また今シーズンのマシンは全てダラーラとなっている。
- ・イギリス選手権ではイギリス国内のサーキットだけではなく、ベルギー(スパ・フランコルシャン)、イタリア(ムジェロ)、フランス(ポー)等の国外で行われるレースを国内選手権扱いとして行っている。
- ・スペインのシリーズではエンジンの開発費用高騰を防ぐ為に一括供給と管理を行っている。(エンジンはトヨタでスペインのトヨタが開発及びチューニングを行っている)
- ・環境面を配慮してユーロシリーズでは、排気ガスに含まれる有害物質の排出を極力抑える目的でマフラーに「触媒」を取り付けている。全日本では音量規制に伴いマフラーに「消音機」を取り付けている。しかしマカオGPの時は消音機の取り付け義務が無いので取外して走行している。
[編集] F1への登竜門
各国F3チャンピオンにはドライバーからの申請があれば無条件でスーパーライセンスの発給が行われる(発給には国際A級ライセンスが必要だが、F3チャンピオンであれば発給条件を満たしているのが普通)ため、F3がF1への登竜門として注目をされている。特に、セカンドカテゴリである国際F3000、GP2出身者に比べ、F3チャンピオンがF1チャンピオンに輝く確率が高い。
F3のチャンピオン(イギリス・ユーロの場合)を獲った翌年に次の上級カテゴリー(F1、GP2、フォーミュラニッポン等)へステップアップするにはスポンサー(F1やGP2等のスポンサーの場合)からのサポートが有る場合はほぼ間違いなくシートが用意されているが、スポンサーが無い場合はシート獲得が極めて厳しい状況となっている。
[編集] F3チャンピオンに輝いたF1チャンピオン
氏名 | 選手権名 | F3チャンピオン獲得年 | F1チャンピオン獲得年 |
---|---|---|---|
ジャッキー・スチュワート | イギリス | 1964年 | 1971,1973年 |
エマーソン・フィッティパルディ | イギリス | 1969年 | 1972,1974年 |
ネルソン・ピケ | イギリス | 1978年 | 1981,1983,1987年 |
アラン・プロスト | フランス ・ヨーロッパ | 1979年 | 1985,1986,1989,1993年 |
アイルトン・セナ | イギリス | 1983年 | 1988,1990,1991年 |
ミカ・ハッキネン | イギリス | 1990年 | 1998,1999年 |
ミハエル・シューマッハ | ドイツ | 1990年 | 1994,1995,2000~2004年 |
[編集] 全日本F3選手権
日本では1979年より全日本F3協会独自で開催され、1981年よりJAFの主催となり全日本選手権化される。開催当初は、チャンピオンにヨーロッパ選手権へのスカラシップが与えられた。1980年代後半になると諸外国より外人ドライバーが多数参戦し国際化していく一方、日本人ドライバーの力不足が目立ち近年のチャンピオンの殆どが外国勢となっている。1995年には型落ちシャーシを使用したJクラスも設けられたが、現在では参加台数の減少により廃止された。
2001年より1ラウンド2レース制が導入され、ヨーロッパの選手権に近い形となる。また、参加台数の減少により再び旧型シャシーを使用したBクラスが2002年より復活したが、実際にはBクラスのエントリーはなかった。2005年シーズンについてはBクラスを廃止する代わりに、旧型シャシー(一世代前)でのエントリーを認める規則改正がなされている。
シャシーは、これまで外国製ではダラーラ、マーチ、ラルト、レイナード、マルティニ、ボウマン、ヴァン・ディーメン等が参戦していたが、現在ではダラーラが主流となっている。国産では、かつてはハヤシ、トムスが参戦しており(トムスについては実際はイギリス法人のトムスGBが開発を担当していたため、国産に含めない場合もある)、童夢もローラと組み2003年より参戦を開始した。ちなみに童夢は2005年よりローラと袂を分かち、単独でシャシーを供給している。
エンジンに関しては、2002年以降はトヨタ、無限、スリーボンド(日産)の国産3メーカーが参戦し、しのぎを削っている。かつてはフォルクスワーゲンやHKS(三菱)、フィアット、オペルも参戦していた。タイヤは1987年まではダンロップとヨコハマも供給をしていたが、1988年以降はブリヂストンのワンメイクである。
[編集] 主なチャンピオン
年 | 氏名 | 車体 | エンジン |
---|---|---|---|
1988 | 中谷明彦 | ラルト | 無限 |
1989 | 影山正彦 | ラルト | 無限 |
1990 | 服部尚貴 | ラルト | 無限 |
1991 | パウロ・カーカッシ | トムス | トヨタ |
1992 | アンソニー・レイド | ラルト | 無限 |
1995 | ペドロ・デ・ラ・ロサ | トムス | トヨタ |
2001 | ブノワ・トレルイエ | ダラーラ | 無限 |
2002 | 小暮卓史 | ダラーラ | 無限 |
2003 | ジェームス・コートニー | ダラーラ | トヨタ |
2004 | ロニー・クインタッレリ | ダラーラ | トヨタ |
2005 | ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ | ダラーラ | トヨタ |