ビックリマン
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ビックリマンは、ロッテによって発売された一連のお菓子、それにオマケとして封入されたシールシリーズ、およびそれをもとに作られた作品。 詳細は関連項目のリンク先を参照。
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[編集] シール
1977年にロッテによって発売された「どっきりシール」、およびそれに続く一連のお菓子やそれにオマケとして封入されたシールシリーズ。「立体ドッキリシール」「ウッシッシール」「マンギャシール」「まじゃりんこシール」などとマイナーチェンジを繰り返すもさほどの人気は出なかった。
最も有名で社会現象を巻き起こしたのは、ゲーム性を取り入れた10代目「悪魔VS天使シール」、および物語においてその正統な後継作品であると考えられる11代目「スーパービックリマン」および14代目「ビックリマン2000」で、単純にビックリマンといえば、これらのシリーズ、特に10代目「悪魔VS天使シール」を指すことが多い。特にこの後解説するアニメや漫画はいずれもこの3つのシリーズに基づいた作品である。
最初は一個30円で、ピーナッツ入りチョコレートをウエハースで包んだお菓子に一枚のシールが同梱されていた。シールの種類は天使と悪魔とお守りの3枚1組で各12種ずつあって、2ヶ月ごとにバージョンチェンジがなされていった。悪魔は寒色系の地味な色合い、お守りは透明なシール、天使はキラキラと光っており、悪魔の4分の1の割合しか封入されていない希少度の高いシールだった。また、1箱(40個入り)に1、2枚しか入っていない更に貴重なヘッドというレアシールが存在した。
ビックリマンシールは発売された翌年から小学生を中心に大ブームを引き起こし、毎月の販売数は1300万個にのぼり、出荷金額は1000億円を超えた。カネボウフーズの「ラーメンばあ」や「ガムラツイスト」、明治製菓の「仰天人間バトシーラー」など、他の幾つかのメーカーからも類似品が多数販売されたが追随を許さなかった。
ヒットの要因は、シールにストーリー性とゲーム性を取り入れたことにある。一見駄洒落ばかりに見えるキャラクターの名前と、神話の創世記を匂わす密度の高いストーリーが魅力的であった。シリーズが進むにつれてキャラクターがパワーアップするという手法もユーザーのコレクター魂を引き起こすのには十分であった。
また、シールの裏にはさまざまな文章が書かれており、アニメや漫画などの原作が無いにも拘らずお菓子の中だけで独自のストーリーが展開されていった。これは未だに他に例の無いことである。たまに暗号めいたものがあったりとシール1つでまるで読書のように行間を読ませる手法も人気の大きな要素であった。
[編集] メディアミックス展開
このビックリマン人気にいち早く目を付けたのが小学館であった。同社から発行している「小学三年生」「コロコロコミック」でビックリマンの特集を組み、漫画の連載も始めるようになった。そこでビックリマンシールの開発者反後四郎(現ロッテ商品開発部部長)がマントと角帽という学者風の姿をした「ビックリマン博士(タンゴマン)」に扮して子供達からの様々な質問に答えるという、ゲーム界で言うところの高橋名人のようなキャラクターも登場した。この手法は効果的だったのか、後に同じく社会現象にまで発展したミニ四駆、バーコードバトラー、ベイブレード、甲虫王者ムシキング(いずれも小学館主導)にも同じように「博士、名人」というようなカリスマ風のナビゲーターを登場させている。また、90年代のガンダムプラモにも長谷川指導員や奥田教授というナビゲーターがテレビCMやコミックボンボン誌上に登場した。それからというもの、ゲーム化、アニメ化、映画化、アイスキャンデー化などとマルチな展開を見せビックリマンワールドは発展していった。
[編集] アニメ
2006年現在以下の5作品がある。
- 『ビックリマン 悪魔VS天使シール』第1弾~第19弾を原作とし、テレビ朝日系にて1987年~1989年放送
- 『ビックリマン 悪魔VS天使シール』第20弾~第24弾を原作とし、テレビ朝日系にて前シリーズの翌週より開始、1989年~1990年放送
- 『スーパービックリマン』を原作とし、テレビ朝日系にて1992年~1993年放送
- 『ビックリマン2000』を原作とし、テレビ東京系にて1999年~2001年放送
- 『ビックリマンひかり伝』を原作とし、テレビ朝日系にて2006年10月放送開始
[編集] 漫画
悪魔VS天使シール、スーパービックリマン、およびビックリマン2000を元にしてコロコロコミックに連載された漫画、およびその単行本のほか、悪魔VS天使シールに主な登場人物、登場地域を依拠しつつ、大幅にデフォルメを施した少女漫画愛の戦士ヘッドロココが存在する。
当時放送されていたスーパービックリマンの漫画版として、おちよしひこが書いている。 アニメのスーパービックリマンとは異なるストーリー展開で、非常にシリアスな内容。 一部の小学生以上の層でも人気となったが、打ち切りになる。 作者自身も最終巻の裏表紙部分で「これで終わっちゃうんです」と書いている。 巻末の作者後書きでは「連載続行の嘆願書を送って下さった皆さん、ありがとう」とのメッセージからも、ファンからの強い支持があったように思われる。 他にも「土俵でサッカーをやっていた(のがよくなかった))」というような文が見受けられた。 これはつまり漫画版スーパービックリマンが少年誌にそぐわないシリアスで重い内容になってしまっていた事を表しており、それが打ち切りの理由であると思われる。
[編集] ビックリマンチョコと社会問題
目当てのシールだけを抜き出し、余った、あるいは大量に買い込んだ為に食べきれなくなったチョコレートを捨ててしまうという事例が多発し、食物を粗末にするのは良くないとして全国的に問題となった。資金的に裕福な年齢層による大人買いと呼ばれる大量購入行為により、品薄になる地域もあり問題に拍車を掛けた。 他にも、希少度の高いシールを高額で取引(とはいっても1000-2000円程度。それでも小学生からすれば大金ではあるが)するという問題も発生。これらの事態を問題と捉えたロッテは「ビックリマン憲章」なるものをつくり、シールの売買の禁止、チョコの完食、シールをトレードすることにより親睦を深めるという3ヶ条を推奨した。また、シールの盗難もかなりあったようで、2005年にオンエアされた深夜ラジオ伊集院光 深夜の馬鹿力の中の1コーナーで、「盗んだり盗まれたり」という表題でリスナーから体験談を募ったところ、リスナーの年齢層もあってか大半がビックリマンチョコの話題だった。また、社会問題の最たるものは玩具メーカー「コスモス」によるシールのニセモノ(「ロッテ」の部分を「ロッチ」と改変したりしていた。外部リンク「[“ロッチ”ニセシール事件の概要]」を参照のこと)である。このほか、「ドッキリマンチョコ」といった、明らかにビックリマンを意識した類似品も出現した。
[編集] 公正取引委員会による勧告
このブームが衰え始めた原因は、公正取引委員会による勧告とみられている。公正取引委員会は1988年ロッテに対してシールの価格差を無くす、種類毎の混入率を均一にする、特定のシールに価値が出るような広告をしない、という3つの自粛案を出した。ロッテはこの指導に従い、全シールの価格差を3円前後に抑え、ヘッド、天使、悪魔、お守りの割合を25%均等に振り分けた。そのため今までキラキラと光っていたホログラム仕様のヘッドは地味なシールとなり、ヘッドがあたる確率は悪魔と同じ割合にまで引き上げられた。当然の結果としてレアカードであったヘッド、ひいてはカード全体の価値が暴落し、一気にファンが離反するという事態となった。
これに似た事例として、2003年よりペプシツイストのおまけとして付いていた機動戦士ガンダムSEEDのフィギュアが「中身が見えないため懸賞にあたる」と公正取引委員会によって認定され、懸賞品に課せられるコスト上限(景表法)を超えていたため「射幸心を煽る」として発売元に注意したというケースがある。それを受けてか2005年夏に発売されたものはあらかじめ中身が見えるようになった。
[編集] ブームのその後と終焉
第19弾をもって「天使VS悪魔」のストーリーが一応の完結を迎え、新たなる「次代」のキャラクターが登場する新シリーズがスタートした(ほぼ同時期にアニメも「新ビックリマン」へと移行)。一度は下降した人気も、アニメ人気やプリズムシールの復活によってある程度持ち直した。1991年には「スーパービックリマン」も併売され、シールもチョコも一回り大きくなって値段も1個50円と値上がりした。こちらは旧シリーズをリメイクしたキャラクターたちが登場し、プリズムやホログラムの他CGもふんだんに使われた意欲的な商品と言える。これらの展開によりビックリマンシリーズは今一度の盛り上がりを見せていた。
しかし、やはり長きに渡る販売商品ゆえの消費者側の疲弊やブームの沈静化は否定できないものになっており、新ビックリマンの終了と共にシールは独自の展開へと移行する。メディア面での露出は縮小の一途を辿り、人気の衰退は誰の目にも明らかになっていた(最盛期の売り上げは100億円を超えていたがその頃には40億円にまで落ち込んでいたという)。
そして1992年、悪魔VS天使シールを礎とする一連のシリーズの商品は展開を終了し、スーパービックリマンのアニメも翌1993年に終了した。こうして、10年近くに渡るビックリマンシリーズのブームは、ついに終焉を迎えたのである。
[編集] ビックリマンの近況について
ビックリマンシリーズのブームは確かに過去の出来事になった。しかし、今なお、ビックリマンの根強いファンが全国の至る所にいる事は確かだ。ちなみに、2006年現在においても、「ビックリマンチョコ」はロッテから発売されており、コンビニやスーパーなどでその姿を見かけることができる。シールの内容はかつてのシールを復刻したもの、新しいストーリーを描いた超元祖シリーズやひかり伝シリーズなど。まじゃりんこシールなどの復刻もあった。
2006年7月18日から、関東地区と静岡地区において、「ビックリマン プロ野球チョコ」が発売開始となった(同年8月29日からは他の地域でも発売開始)。プロ野球12球団公認となっており、各球団の有名選手が実名はそのままに特長を生かしたキャラデザインとなっている。 なお、最近のシリーズについてはシールの項を参考のこと。
[編集] レアなシール
一番人気がある種類はヘッドである。ビックリマンシールには最初に発売された旧チョコ版以外にも、福袋版、アイス版、懸賞版等が存在している。その中で一番希少価値のある種類は懸賞で当たる懸賞版とされている。その次に貴重なのは福袋版である。福袋版とは正月の一時期限定で販売されたものであり、マニアの間で一枚数万円で売買されている。三番目に人気があるのはアイス版と呼ばれるシールである。アイスのなかに入っていたシールである。基本的なデザインはチョコ版のデザインとほぼ同様であるが色合いなどが違っている。アイス版の中でも特に人気があるのは12弾以降のヘッドである。この時期はビックリマンシールの人気がやや低迷しており、アイス版のシールがすこししか現存していない。チョコ版はアイス版より人気がないが一部のシールは現在でも高い人気を博している。特に人気があるものはブラックゼウスホログラム、ヘラクライスト赤、ヘラクライスト緑、ましょうネロ、後半27弾以降のヘッドなどである。ビックリマンの人気が低下した頃の後半のヘッドが人気があるのは逆に入手したものが少ないためであろう。どのくらいの値段がつくかはシール自体のレア度だけでなく、シールの状態、バージョン(たとえばブラックゼウスはすべての版でレアなわけではない)などが関係する。特に古いシールは状態のいいものが少ないことから状態のいいシールはかなりの高値で売買される。
[編集] 関連項目
- ビックリマン(シール、アニメ、漫画)
- 新ビックリマン
- スーパービックリマン(アニメ、漫画)
- ビックリマン2000(アニメ、漫画)
- ビックリマンワールド (ゲーム)
- 愛の戦士ヘッドロココ
- ロッチ
- 祝!(ハピ☆ラキ)ビックリマン
- 食玩
- “ロッチ”ニセシール事件の概要
- “悪魔VS天使”シールからホログラムシールが消えた理由