パワーパフガールズ
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『パワーパフガールズ(The Powerpuff Girls)』はテレビ東京・カートゥーン ネットワークで放映されたアメリカ製アニメーション作品。クレイグ・マクラッケン(Craig McCracken)原作・総監督。
アメリカでは1998年11月から放映開始し、日本では2001年1月10日-2001年12月23日にかけてテレビ東京にて放映(51話まで・総集編含む)。2001年10月5日よりカートゥーンネットワークでも放送開始し、地上波での放送が終了した後も同じキャストで放送継続されている。現在地上波では、東京MXテレビで放映している。
アメリカではDCコミックからコミック版も出版された。
目次 |
[編集] ストーリー
1人の科学者が、砂糖とスパイスに綺麗な物を沢山混ぜて可愛い女の子を作る(Sugar, spice and everything nice(シュガー・スパイス・アンド・エヴリシング・ナイス)、材料はマザー・グースの一節に由来)実験中に、とある邪魔が入って「ケミカルX」を一緒に混ぜてしまった為、とんでもない能力を持った3人の幼稚園児が誕生してしまう。やがて3人は、街を守るスーパーヒロインとして悪と戦う。ストーリーは通常2話オムニバス形式(1話のみの場合もある)。
[編集] 作風
大胆にデフォルメされたキャラクターを始め、ポップでレトロ・モダンなデザインが目を惹き、ストーリーも日本のロボットアニメや特撮を一部意識しているとみられるが、単なる勧善懲悪でなく、一見可愛らしい絵柄と裏腹なややグロテスクな描写や、既存のスーパーヒーローや名作映画等のパロディ、話によっては正義の味方のはずのガールズが図らずも破壊活動や悪事をしてしまうオチなど、不条理やブラックユーモアをも含む内容が作品独自の持ち味となっている。
[編集] 登場人物
[編集] パワーパフガールズ
- パワーパフガールズのリーダー。服と目の色はピンク。髪は赤毛で、赤いリボンをつける。頭脳明晰、いつも冷静沈着で、3人の指令塔的役割を果たす。プライドが高く、まじめで融通が利かない面があり、そのせいで他の2人といざこざを起こすことがある。得意技は『氷の息』。中国語を練習中。桜の花がパッと開いたように喋り始めたので“ブロッサム”と名づけられた。他の2人にメチャクチャにされた髪の毛を、モンスターや町中の人に笑われてショックを受けた事もある。
- バブルス [Bubbles](声:南里侑香)
- パワーパフガールズの1人。服と目の色は水色。髪は金髪(ブロンド)。スペイン語をはじめ多くの言語を操り、動物とも会話できてしまう。臆病で泣き虫だが心優しい性格。しかし純粋すぎる故、敵に騙されやすい。タコのぬいぐるみ『オクティ』(「オクトパス」からきた名前)を大事にしている。普段は控えめだが一旦キレると他の2人以上にものすごいパワーを発揮する。泡がパチンと弾けたように笑いだしたので“バブルス”と名づけられた。一時期視力が下がったため大きな眼鏡をかけた事があり、他の2人に笑われてしまった。また、頭を強く打ったショックで自分がモジョ・ジョジョだと思い込んだこともある。
- バターカップ [Buttercup](声:池田有希子)
- パワーパフガールズの1人。服と目の色は黄緑。黒髪。パンチ力ならば他の2人に負けない。男勝りの力でケンカっ早く、3人の中では一番のトラブルメーカー。お風呂が嫌いで、あまりの体臭にモンスターが戦闘を拒んだエピソードも。ひそかに緑の毛布をなでて「私はファイター、強い」と力がわくおまじないをしていたことがある。あまりにも乱暴なので、一度禅寺で修行し、立派に勤め上げたこともある。Bが頭文字につく他の2人に合わせて“バターカップ”(キンポウゲの意)と名づけられた(buttercupには他に「元気な女の子」という意味も含まれている)。3人の中で唯一、舌を丸めることができる。
[編集] タウンズヴィル市民
- ユートニウム博士 [Professor Utonium](声:安崎求)
- パワーパフガールズを作った博士で、3人の父親代わり。3人をきちんと育てつつ、様々な発明品を作るが、どこか抜けているところがある。小学生時代の同級生に、ミス・ベラム、キーン先生がいる。
- (日本語吹き替え版では「博士」と呼ばれているが、原語は「professor(教授)」)
- 市長 [Mayor](声:石住昭彦)
- 文字通り、タウンズヴィルの市政を務めるが、実質的にはほとんど役に立たず、秘書のミス・ベラムに任せきり。性格は子供っぽくやんちゃで陽気。ピクルスが大好物。パワーパフガールズをいつも頼りにしていて、直通のホットラインでガールズを呼ぶ。しかし、一度だけ彼の経・緯度の知識でガールズが助けられたことがある。
- ミス・ベラム [Ms. Sara Bellum](声:高乃麗)
- 常に市長のお供をするナイスバディ秘書。フルネームはサラ・ベラム。市長よりはるかに背が高く、いつも顔は画面からはみ出している。頭部が映し出される場合でも、その顔は彼女自身の髪の毛やそのほかの障害物によって隠されており、劇中では一度も素顔は現れない。市長以外のキャラクターも顔を見たことがないようである。
- キーン先生 [Ms. Keane](声: 込山順子)
- ガールズの通うポーキー・オークス幼稚園の先生。みんなから慕われているやさしい女性だが、怒ると怖い(特に顔が)。
- トーキングドッグ [The Talking Dog](声: 小堺一機)
- なぜか人間の言葉を話すことができる犬。
[編集] 悪者
[編集] レギュラー
- モジョ・ジョジョ [Mojo Jojo](声:石井康嗣)
- パワーパフガールズ最大の敵であるチンパンジー。ケミカルXを浴びて知能が発達し、帽子の下は巨大化した脳ミソが丸出し(ドラゴンボールのドクター・ゲロに似ている)。かつてはユートニウム博士のペットである普通のチンパンジーでジョジョと呼ばれていた。ガールズ誕生後、博士がそっちに興味を持ったため家出し敵になったとモジョ・ジョジョ本人は言っているが、実際は元々いたずら好きで、ある日、博士にいたずらしていた時にケミカルXの瓶が割れ、パワーパフガールズが誕生した。その後家から追い出され、モジョ・ジョジョを名乗るようになった。火山の上の展望台を住処にし、打倒ガールズと世界征服の為の兵器を開発する。独特の回りくどいしゃべり方をする。
- カレ [Him](声:園岡新太郎)
- 女言葉を話す悪者で、キレると汚い言葉をしゃべる。心理攻撃や催眠術が得意。他の悪者達にも一目置かれる存在で、本名は口にするのも恐ろしいので、彼(カレ)と呼ばれている。
- ファジー・ラムキンズ [Fuzzy Lumpkins](声:松山鷹志)
- なまり言葉で、山奥に住み自分の縄張りに入られることを嫌う。バンジョーが趣味。ひょんなことからタウンズヴィル市長に就任したことがある。同種の仲間が数人いる。
- ガールズの幼稚園の同級生で、家は大金持ち。甘やかされていてかなりのワガママ。ガールズに入るのを拒まれて逆恨みし、武器を身につけガールズを潰そうとする。そのため幾度となく逮捕される。
- セデューサ [Sedusa](声:日下由美)
- 髪の毛を自在に操る女悪党。変装が得意で、ミス・グッドレディーと名乗って博士を誘惑したり、ミス・ベラムに成りすまし市長を誘惑したりした。
- ギャングリーンギャング [The Gangreen Gang]
- 緑色をした、5人組の不良少年ギャング。
- エース [Ace](声:園岡新太郎)
- ギャングリーンギャングのリーダー。バターカップの初恋の相手。
- リトル・アートロ [Little Arturo](声:高乃麗)
- 狭い場所に入ったり、素早い動きを得意とする。
- ビッグ・ビリー [Big Billy](声:西凛太朗)
- のんびりしていて、怪力を得意とする。実は一つ目。
- スネーク [Snake](声:佐藤晴男)
- 蛇のような風貌で「~ッス」が口癖。
- グラバー [Grubber](声:西原純)
- 声マネや変身が得意。普段はしゃべらない。
- アメーバボーイズ [The Amoeba Boys]
- 犯罪者になろうと頑張るアメーバ状の3人組だが、いつも失敗ばかりで犯罪者になることができない。しかし病原菌をふりまいたり分裂したりと、本人らが意図せずにすごい悪事を働くこともある。
- ボス [Bossman](声:松山鷹志)
- ジュニア [Jr.](声:園岡新太郎)
- スキニー [Skinny](声:佐藤晴男)
- ラウディラフボーイズ [The Rowdyruff Boys]
- モジョ・ジョジョがガールズに対抗するために刑務所の中で作った男の子たち。材料は男性のわき毛、かたつむり、犬のしっぽ(材料はガールズ同様マザーグースの一節に由来)。ケミカルXの代わりにトイレの汚水を混ぜて作った。戦闘能力はガールズをもしのぐが、ガールズのキス攻撃によって倒され(ミス・ベラム曰く「男の子の弱点」)、元の材料に戻る。後にカレの魔力によってパワーアップして復活する。
- ブリック [Brick](声:丹宗立峰)
- ラウディラフボーイズのリーダー。顔がブロッサムに似ている。赤い帽子をかぶる。性格はいばり屋。
- ブーマー [Boomer](声:栗津貴嗣(現:小泉一郎太))
- 顔がバブルスに似ている。性格はマイペース。バブルスが変装したことがあった。
- ブッチ [Butch](声:松澤重雄)
- 顔がバターカップに似ている。性格は粗暴。
[編集] ゲスト
- ブギーマン [The Boogie Man](声:山形ユキオ)
- ローチコーチ [Roach Coach]
- たくさんのゴキブリを操り街を支配しようとした。正体は一匹のゴキブリが操るロボット。
- メイジャーマン [Major Man](声:忍野タケル)
- 偽ヒーローとしてタウンズヴィルにやってきた。ガールズの人気を奪うことにより、精神的苦痛を与えた。最終的にガールズに騙され、自作自演だと白状した。
- アブラカダーヴァ [Abracadaver](声:松山鷹志)
- 魔術を使うゾンビ。生前は人気マジシャンのアルルージョン [Al Lusion]であったが、ある少女(ブロッサム似)がきっかけとなり恥を晒しながら事故死する。そのためゾンビとなって甦り復讐を果たそうとする。
- 眠りの精 [Sandman](声:佐山陽規)
- 夜がきて、世界中の人々を眠らせるのが仕事であるが、自分は眠れないため、世界中の人間たちを永久に眠らせようとする。ガールズに悪夢を見せられ、寝るのが嫌になる。
- ミスターマイン [Mr. Mime](声:丹宗立峰)
- 元の姿はピエロのレインボウ [Rainbow the Clown]。漂白剤を浴びて体が白黒になる。街を白黒にすることにより、人間を再起不能にしようとするが、ガールズにお仕置きされる。
- レニー・バクスター [Lenny Baxter](声:西凛太朗)
- ガールズオタクでグッズを収集し、エスカレートして実物のガールズを自分のものにしようとする。しかし、博士に説教され思い直してガールズを開放する。
- パッチーズ [Patches]
- 少年マイクに夢の中で友達として近寄る。ガールズが夢の中でつくったラビットガールに倒される。
- キティー [Kitty](声:渋谷哲平)
- 一見普通のネコだが、言葉を話し催眠術を使う。ユートニウム博士を操り、ネコが支配する世界を作ろうとした。
- ファムファタル [Femme Fatale](声:甲斐田ゆき)
- フェミニストの女怪盗。女性参政権獲得に活動したスーザン・アンソニーが刻印された1ドルコインを盗む。世の中では女性が差別されていると主張し、ガールズを口車に乗せる。
- マスクスカラ [Mask Skara]
- 化粧品会社の女社長だったが、会社が倒産して悪の怪人となった。巨大な化粧道具を武器にし、タウンズヴィル中に派手なメイクをする。化粧品にちなんだダジャレをよく使う。
[編集] その他
- ナレーター [Narrator](声:小堺一機)
- 「ここはおなじみタウンズヴィル」「きょうもみーんな救われた、サンキュー、パワーパフガールズ!」が決まり文句。時々本編の中に干渉し、登場人物から叩かれることもある。
- ブレット [Bullet the Squirrel]
- ケミカルXで、ガールズと同様のスーパーパワーを持ったリス。ガールズに目がそっくり。普段は森の平和を守っているが、タウンズヴィルがリスの大群に襲われた事を知り駆けつけた。
- バニー [Bunny]
- ガールズが街を救う手伝いをしてくれる妹を作り出そうと、自分たちで「お砂糖、スパイス、素敵なものいっぱい」そしてケミカルXを使って誕生させた。服と目の色は紫。髪は茶色。しかし材料に人工甘味料など不純物が多かったため、かわいくないというより醜悪な巨体で頭も悪く善悪の区別がつかず、街を救うどころかメチャクチャにしてしまう。その後、悪者達に捕まったガールズをなんとか助け出すものの、最後には爆発して消えてしまうという珍しいセンチメンタルなラストだった。
- ダイナモ [Dynamo = Dynamic Nanotechtronic Monobot]
- ユートニウム博士がガールズの身を心配する余り作った、ガールズ3人が搭乗する戦闘用巨大ロボット。全身からミサイルを一斉発射出来るが目標には命中せず、完全防御形態になれるが周りの破壊に利用されてしまう。そのため戦闘後は辺り一面が火の海になってしまう。ちなみに頭部にあるリボンはハサミになるが、意外と脆い。一度、市長が上に乗って遊んだが為にタウンズヴィルを破壊したことがある。その時は、何故かミサイル等が命中した。
- エルマー [Elmer Sglue]
- ガールズの幼稚園の同級生で、糊を食べていたため皆から嫌われる。放射能汚染されたハエを誤って食べて巨大化する。クラスの皆に謝罪を求めていた。
[編集] テーマ曲
下記はテレビ東京版のみ。映像も本編の内容を使用したオリジナル。
- OP(1話~12話):IT'S UP TO YOU!(The brilliant green)
- ED(1話~12話):The Power Puff Girls(Bis)
- OP(13話~51話):Cream Puff Shuffle (P.P.S. = 林原めぐみ・上谷麻紀・Nat's)
- ED(13話~51話):WIN, LOSE or DRAW(P.P.S.)13話~51話
他にもCD化されていない「Work Soul Out!」(P.P.S.)がある。
カートゥーンネットワーク版は海外版と同様の映像+吹き替えクレジットで、EDに「The Power Puff Girls」。
「Cream Puff Shuffle」「WIN, LOSE or DRAW」「Work Soul Out!」は同局の音楽コーナー「Cartoon Tunes」で流れる事がある。
[編集] 挿入歌
- 「LOVE MAKES THE WORLD GO ROUND」(邦題は「愛が世界を動かすの」)(ブロッサム・バブルス・バターカップ)『色がなくなっちゃった』挿入歌(パイロット版は歌詞が異なる)
[編集] アラカルト
- 当初はカートゥーンネットワークで日本初放映される予定で、独自の翻訳・キャストによる吹き替え収録が26話分まで進められていたが、諸事情で地上波放映が先になったためお蔵入りとなった。2003年9月22日・9月23日の2日間にかけ、カートゥーンネットワークにて当時収録されたバージョンが『パワーパフガールズ・アンダーグラウンド』として放映された。
- テレビ東京放送時の第8話Bパート『市長さんの一日』で、数分間映像が暗転するシーン(音声のみ)があるが、テレビ東京では視聴者に混乱を招く恐れがあるので、字幕などのテロップ処理がなされた。
- 2002年、ガールズ誕生直後のプロローグ的ストーリーを描いた劇場版『パワーパフガールズ・ザ・ムービー』を公開。
- 2002年、環境省「リ・スタイル」のマスコットキャラクターに起用された。
- キャラクターデザインが若い女性を中心に受け、2006年現在日本ではキャラクターグッズが多数発売されている。
- 2005年4月に東映アニメーション、アニプレックス、カートゥーンネットワークの3社が『出ましたっ!パワパフガールズZ』の共同製作を発表した。パワーパフガールズの設定をベースに独自のジャパニメーション作品として製作され、日本では2006年7月からテレビ東京系列で放送されており、今後世界展開を行なう事が予定されている。
[編集] 外部リンク
[編集] 日本国内地上波放送時の前後番組
テレビ東京系 水曜18:30枠 | ||
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前番組 | パワーパフガールズ (2001年1月 - 2001年6月) |
次番組 |
トランスフォーマー カーロボット | シャーマンキング | |
テレビ東京系 日曜7:00枠 | ||
トムとジェリーとゆかいな仲間 | パワーパフガールズ (2001年7月 - 2001年12月) |
勇気のメダル |