DCコミック
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DCコミック(ディーシー コミック、DC Comics) は、アメリカの漫画出版社である。 二大アメコミ出版社のひとつ。もう一方は、マーベル・コミック。
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[編集] 会社概略
- 1934年
- マルコム・ウィーラー・ニコルソン、DC社の前身であるナショナル・アライド出版社(National Allied Publications)設立。それまでの新聞などに掲載されたコミックを再録する形でない、新たなコミックを載せる雑誌の発刊を目指した。
- 1935年
- 2月、「Fun:The Big Comic Magazine」創刊。2号より「New Fun」、7号より「More Fun」と名を変える。
- 12月には「New Comics」創刊。現在までのアメリカン・コミックスの標準サイズとなる。後に「Adventure Comics」と改称、1983年まで続く。スーパーマンの作者であるジェリー・シーゲル、ジョー・シャスターも同紙でデビュー。
- 1937年
- 3月「Detective Comics」創刊。39年5月号にてバットマンが初登場して以後、現在まで続くバットマンの主力掲載紙となる。
- 様々な出版関係社を経営するハリー・ドネンフェルドに、資本供与されたことから、マルコム、ドネンフェルド、その会計係ジャック・S・リーボウィッツが共同で別会社ディテクティブコミック社(Detective Comics)設立。マルコムは一年後外される。
- 1938年
- マックス・ゲインズ、ドネンフェルドから資金供与を受け、オールアメリカン出版社(All-American Publications)設立。後にリーボウィッツも経営に参画。この会社は、後のDCヒーローである、アトム、ザ・フラッシュ、グリーンランタン、ホークマン、ワンダーウーマンを擁していた。
- 6月、ナショナル・アライドは「Action Comics」誌を創刊。1号からスーパーマンを登場させ人気を得る。
- ナショナル・アライド、ディテクティブコミックは合併し、ナショナルコミック社(National Comics)となる。
- 1944年
- ゲインズ、リーボウィッツに権利を売却、よりシリアスな内容を取り扱うECコミック(EC Comics)社を立ち上げる。ECコミック社は後の規制により路線変更し、ユーモア雑誌「Mad」を創刊する。これにより、ナショナルコミック社はオールアメリカン社を吸収、リーボウィッツは会社を組織化し、ナショナル・ペリオディカル出版社(National Periodical Publications)とした。
- 1961年
- 株式上場。数年後DCコミックに社名を戻す。
- 多くの会社合併、社名変更の変遷はあったが、雑誌に印刷されるロゴマークは常に"DC"であった。
[編集] 歴史
[編集] ゴールデンエイジ
(1930年より1950年代半ばまでのヒーロー黄金期を指して言う)
- 1938年に誕生したスーパーマンの人気を受け、39年のバットマン、40年のJSA(Justice Society of America)、41年のワンダーウーマンなどヒーローコミックの企画が次々に登場した。
- なお、この時期のJSAは資本提携している二社にまたがるヒーローチームであった。創立時はナショナル社より、魔法使いドクター・フェイト(Doctor Fate)、超高速の能力を持つアワーマン(Hour-Man)、復讐の精霊スペクター(Spectre)、催眠ガスの使い手サンドマン(Sandman)が参加。オールアメリカン社からはアトム、フラッシュ、グリーンランタン、ホークマンが選ばれた。
- 1954年、フォーセットコミック社(Fawcett Comics)を訴える。1939年誕生の同社キャラクター、キャプテン・マーヴェル(Captain Marvel)がスーパーマンの著作権侵害に当たるというものである。初のコミックの著作権裁判として注目された。翌年フォーセットが賠償金を払う形で和解。なお、1972年に当時の作者C.C.ベックも再起用され、キャプテン・マーヴェルの製作は再開された。だが1967年にコミック出版社マーベル・コミックが誕生していたためにタイトルは「Shazam!」に変更された。
- 1940年代後期はSF、西部劇、ユーモア、ロマンスものなども出版。だが1950年代中頃より、コミックの犯罪、恐怖描写に対し、抗議行動などが始まり、若干の路線変更も余儀なくされた。
[編集] シルバーエイジ
(1950年代中盤より1970年代初頭までを指す)
- 1950年代中盤、当時の編集長アーウィン・ドネンフェルドと発行人リーボウィッツは、編集者ジュリアス・スチュワートに試験誌「Showcase」の担当と、過去のキャラクターであるフラッシュのリメイクを命じる。スチュワートはライターのロバート・カニンガー、下絵作画のカーマイン・インファンティーノ、ペン入れ担当のジョー・キュバートらのチームで、新たなフラッシュを誕生させた。1956年「ShowCase」4号で登場した新生フラッシュは人気を得て、同様のSFキャラ、グリーンランタンの再生に繋がっていく。
- JLA(Justice League of America)の誕生も1960年である。過去のJSAにヒントを得た、人気ヒーロー達によるチーム活動を描いたコミックであり、同様に現在まで続くシリーズである。スーパーマン、バットマン、ワンダーウーマン、フラッシュ、グリーンランタンに加え、41年「More Fun」誌から続くマイナーキャラだったアクアマン(Aquaman)、1955年から登場の火星人戦士マーシャン・マンハンター(The Martian Manhunter)が創立メンバー。後にグリーンアロー(Green Arrow:41年「MoreFun」初出)、新生アトム(Atom:61年「ShowCase」初出)、ホークマン、ブラックキャナリー(Black Canary:47年オールアメリカン社)、キャプテン・マーヴェル、プラスチックマン(Plastic Man:1941年初出、1956年にクオリティコミック社(QualityComics)から買い取ったヒーロー)、 ザターナ(Zatanna:1964年、ホークマンに登場)など、マイナー、メジャー問わず様々なヒーローが加入。再生装置としての役割も果たす掲載紙となった。
- こうしたキャラクター改革は看板作品にも及ぶ。スーパーマンでは、編集者モート・ウェイジンガーが、現在も登場するスーパーガール、ビザロ、ブレニアックなどのキャラクターを投入した。
- バットマンには編集者ジャック・スキッフがバットウーマン、バットガール、バットマイトなどの新キャラクターや、SF要素を取り入れたのだが、余り成功はせず、後任のスチュワートはインファンティーノと共に探偵の側面を強調することとなった。1960年代の実写バットマンの人気により盛り返すこととなる。
- 編集としてカニンガーはワンダーウーマンの家族、神話世界を構築した。
- 1967年、編集長となったインファンティーノは、業績を伸ばすマーベル・コミック社に対抗すべく人材補充に乗り出した。作画面ではスパイダーマン製作に携わったスティーブ・ディッコ、新人ながら後々までバットマンに携わることになるニール・アダムスなど。また編集にも新たな才能を補充した。バットマンやグリーンランタンを担当したデニス・オニールは好評を得た。だが一方で息切れしてしまうタイトルも多かった。
- 1969年、ワーナーブラザーズの子会社となる。
- 1970年、マーベル・コミック社からアーティスト、ジャック・カービイが離脱。DCはすぐさま彼と契約した。カービイはX-メン、ハルク、ファンタスティック・フォーなど多くのマーベルの人気シリーズを、編集兼脚本家のスタン・リーと共に製作した大物であった。彼はDC移籍後、「The Fourth World」なる異次元世界を描いた作品を生み出す。その多くは後にスーパーマンの中に取り入れられていった(大物悪役ダークサイドなど)。他にもデーモン(The Damon)などを手がけた。
[編集] 1970~80年代
- 1976年1月、インファンティーノに変わり、子供向け雑誌の発行者だったジャネット・カーンが編集長となる。ここから「DC Explosion」と呼ばれる出版拡大計画が図られ、多くのタイトルが生み出された。ファイアストーム、シェイドなど新たなヒーローものに限らず、非ヒーローものも多かった。
- だが計画は失敗。親会社ワーナーによってその大部分がリストラされた。「DC Implosion」とも揶揄される結果に終わった。
- カーンら新体制は、抜本的改革を行うことになった。その一つが著作権使用権を作家にも認めることである。それまで作品は買取で権利は会社が独占していたのだが、それを作家にも分け与えようというものである。これは新興インディーズ出版社などを真似たものである。またTV放映を見習って、柔軟なコンセプトの元に作品作りを始める。
- 成功例の一つは「The New Teen Titans」(バットマンの助手、ロビン率いるティーンエイジャーヒーローズ)である。脚本のマーフ・ウルフマン、作画のジョージ・ペレッツが手がけたこの作品は、X-メンに似たコンセプトを指摘されながらも売り上げを伸ばし、製作体制の安定化に貢献した。彼らはスピンオフも利用した。作品からキャラクターをフィーチャーし、新たな作品を作る手法である。「Tales of the New Teen Titans」なるスピンオフ作品では、キャラクターの出自などを描いた。これはメインの物語の連載を中断することなく、時期をずらすことで労働量を増やさずに済んだのである。
- ウルフマン、ペレッツのコンビは大きな改革にも参加した。1985年の「Crisis on Infinite Earths」シリーズである。これは大胆な設定変更を伴った一大イベントであった。
- 長年連載の続く中で、様々なパラレルワールドが作られ、それらを「アース2」という別次元のものとしていた。また、幾度もの他社買収により、キャラクターが増えるにつれて、その他社の歴史と、DC社側の歴史が食い違うため、それらも別次元「アースX」などとして扱っていた。こうした増えすぎたキャラクターと世界観を統合するために、次元間の争いを設定。全ての次元を滅ぼそうとする巨悪との戦いを描き、その末に、矛盾した設定は、次元の収束と共に、統合されたものとしたのである。上記のバットマンの設定なども消滅、再生された。
- またイギリスのアーティストであるアラン・ムーアのアメコミ参加も大きな出来事だった。シリアスな作風の彼は、植物化した人間スワンプシングの設定を一気に無理なく描き替えた。植物が人間の記憶を得たものであったという驚愕の事実と、その後のアイデンティティにまつわるストーリーは非常に好評を得た。のちに多くのイギリスのアーティストがアメコミ製作に参加するようになった契機となったのである。そうした作風の才能の流入は、規制にとらわれず作品を掲載するための新レーベル「Vertigo」の発足に繋がった。
- そして、1986年。フランク・ミラーの『バットマン:ダークナイト・リターンズ』とアラン・ムーアの『ウォッチメン』により、コミックの作風自体が変わっていくこととなる。
- こうした、大人も読める質の高いコミックの誕生は、1989年からのハードカバー版「DC Archive Editions」レーベルの出版へと繋がった。
[編集] 90年代
- スーパーマンの死亡(後に蘇生)、バットマンの引退と後継者の登場(後に復帰)などのエピソードでブームを作るも、出版業界全体の不興もあり、一時的なものに終わった。
- 多角的な戦略を組み、美術を重視した「Piranha Press」、資料本などの大型本を扱う「Paradox Press」などのレーベル立ち上げや、アフリカ系ヒーローを扱うマイルストーンメディア社(Milestone Media)と出版協定を結ぶなどする。この協定は後にアニメ『Static Shock』に繋がる。これは1989年に開始された『バットマン (アニメ)』、その後の『スーパーマン・アニメシリーズ』、『バットマン・ザ・フューチャー』、『ジャスティス・リーグ』の一連のシリーズの後継として用意されたものである。
- スポーンで有名なトッド・マクファーレンと組んでいたジム・リーの個人会社ワイルドストームコミック社(Wildstorm Comics)を購入し、会社名もそのままに存続させた。またアラン・ムーアの会社アメリカズ・ベスト・コミック社(America's Best Comics)も買収し、ワイルドストームに併合させている。
[編集] 2000年代
- 2003年、長期のファンタジーシリーズ「Elfquest」の出版権を得る。
- 2004年、漫画を翻訳再販するCMXなる子会社を立ち上げ。欧州の「2000 AD」、「Humanoids」社の北米出版権も一時的に得る。また子供向けブランド「Johnny DC」も開始。
- 同年、「Infinite Crisis」シリーズを始める。これは再びの設定変更期で、その終了後、それぞれの作品は1年飛んだ世界が描かれることとなった。その失われた一年間は「52」シリーズとして発売される。
- 2005年、「All-Star」シリーズ開始。入り組んだ歴史などを扱わない、簡素なシリーズで「All-Star Batman & Robin the Boy Wonder」、「All-Star Superman」、「All-Star Wonder Woman」など。
- 同年、ワーナーブラザーズが『バットマン ビギンズ』を製作。翌年には『スーパーマン リターンズ』が公開。
[編集] 代表的な出版作品
- スーパーマン(Superman)
- スーパーガール(Supergirl)
- バットマン(Batman)
- キャットウーマン(Catwoman)
- ワンダーウーマン(Wonder Woman)
- ザ・フラッシュ(The Flash)
- グリーンランタン(Green Lantern)
- アクアマン(Aquaman)
- アトム(The Atom)
- ホークマン(Hawkman)
- プラスチックマン(Plastic Man)
- ジャスティス・リーグ(Justice League of America(JLA))
- Justice Society of America(JSA)
[編集] 関連事項
[編集] 外部リンク
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