バンパイア (戦闘機)
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バンパイア(Vampire)とはイギリスの航空機メーカー、デハヴィランド社が開発し世界各国で使用されたジェット戦闘機である。
[編集] 開発と特徴
バンパイアの開発は、イギリス空軍(RAF)が仕様E.6/41を1941年に出した事から開始された。ジェット黎明期の当時は、それまでのレシプロエンジンとは全く異なるジェットエンジンを搭載するため、まだ機体形式が定まっていなかったので様々な形式が考案され、このバンパイアもジェットの排気をスムーズに後方へ流し、機体重量の軽減を兼ねて胴体に双ブーム形式を採用した。後にシーヴィクセンまで受け継がれた双ブームジェット戦闘機の始まりである。また、機体を構成する素材として木製合板が一部に使用されている。原型機は1943年に初飛行し生産・配備が決定したが、第二次世界大戦中で既存の機体の大量生産が優先されたため、量産型が部隊配備されたのは1946年からとなってしまった。エンジンは単発であったが、機動性では双発のミーティアを凌いだ。バンパイアはジェット黎明期の機体としてはかなりの成功作であり、各形式合わせて約3,500機以上が生産され各国の空軍に導入された。日本の航空自衛隊も国産ジェット練習機T-1(T1F1)の技術研究用にバンパイアT.11またはT.55を1機購入している。
また、派生型として海軍が航空母艦から運用するため所定の改装を施したシーバンパイア(Sea Vampire)が存在する。シーバンパイアは航空母艦から運用された初のジェット艦載戦闘機であった。
[編集] スペック
- 全幅:11.6m
- 全長:9.4m
- 重量:5,620kg
- 最大速度:882km/h
- 航続距離:1,960km