トマゾ・アルビノーニ
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トマゾ・ジョヴァンニ・アルビノーニ(Tomaso Giovanni Albinoni, 1671年6月8日 ヴェネツィア - 1751年1月17日 ヴェネツィア)は、イタリア・バロック音楽の作曲家。
生前はオペラ作曲家として著名であったが、今日はもっぱら器楽曲の作曲家として記憶され、そのうちいくつかは頻繁に録音されている。有名な<アルビノーニのアダージョ>は、後世に他人によって再構成された作品で、実際はオリジナルではないにもかかわらず、最も馴染み深い「バロック音楽」となっている。
目次 |
[編集] 生涯
作曲家としての生前の地位のわりには、生涯についてはほとんど分かっていない。裕福なヴェネツィア貴族の家系に生まれ、父アントーニオ(1634年 - 1709年)は紙商人でもあった。ヴァイオリンと声楽を学ぶ。
1694年に作品1を、コレッリのパトロンとして有名なピエトロ・オットボーニ枢機卿(大叔父はローマ教皇アレクサンデル8世)に献呈する。1700年にマントヴァ公の宮廷ヴァイオリニストとして雇われ、作品2の器楽曲集をマントヴァ公に献呈。1701年には、非常に人気を呼んだ<組曲>作品3を作曲し、トスカナ大公フェルディナンド3世にこれを献呈した。
ヴェネツィア聖マルコ大寺院の楽長アントニーノ・ビッフィを立会人に、1705年に結婚。ヴェネツィアでは、ビッフィ以外の音楽家との交流はなかったようだが、多くのイタリア都市においてオペラ作曲家として名を上げ、たとえばヴェネツィア、ジェノヴァ、ボローニャ、マントヴァ、ウディーネ、ピアチェンツァ、ナポリなどでは有名だった。この頃になると器楽曲をふんだんに作曲し、1705年以前に、ほとんどのトリオ・ソナタやヴァイオリン協奏曲を作曲したが、その後は1719年まで、独奏楽器のためのソナタやオーボエ協奏曲を作曲したにすぎない。1720年代から作曲家アルビノーニの足取りはつかめなくなる。
多くの同時代の作曲家とは異なり、教会や貴族の宮廷に地位を得ようとした形跡が見当たらず、独自の財源によって、独力で作曲する自由を得ていた。その後は1722年に、バイエルン選帝侯マクシミリアン=エマヌエル2世に招かれ、オペラを指揮した。12曲からなる<協奏曲集>は、同選帝侯に献呈されている。
1742年にフランスで、アルビノーニのヴァイオリン・ソナタ集が「遺作」として出版されたことから、研究者から、アルビノーニはその頃には亡くなっていたと推測されてきた。しかしながらアルビノーニは、ヴェネツィアで人知れず生き延びていた。生地のサン・バルバラ小教区の記録によると、アルビノーニは1751年に糖尿病により、「79歳」で(おそらく書き損じ)亡くなったとある。
[編集] 作品と影響力
アルビノーニは50曲ほどのオペラを作曲し、そのうち20曲が1723年から1740年にかけて上演されたが、こんにちでは器楽曲、とりわけオーボエ協奏曲が最も有名である。
アルビノーニの器楽曲は、ヨハン・セバスチャン・バッハが非常に関心を持っていた。バッハは、アルビノーニの主題によるフーガを少なくとも2曲遺しており、しかも、しばしば学生の和声法の実習において、アルビノーニのバス課題をよく利用した。
[編集] アルビノーニのアダージョ
アルビノーニ作品のほとんどは、第二次世界大戦中のドレスデン空爆の際に失われてしまった。名高い<アルビノーニのアダージョ ト短調>は、1945年にレモ・ジャゾット Remo Giazotto がドレスデン国立図書館の廃墟の中で偶然に発見した、トリオ・ソナタの緩徐楽章の断片から「復元」されたものと言われている。 この作品は、音楽的魅力から、しばしばオーケストラの重要なレパートリーになっており、またクラシック音楽入門に適した曲目としてよく演奏され、愛聴されている。その上、しばしば他の楽器に編曲されたり、テレビ番組や映画・CMのBGMに転用されるほど有名になった。
スティングのツアー・ミュージシャンとしても活躍するアルゼンチン出身のギタリスト、ドミニク・ミレルは、この曲を編曲して録音している。1980年代には、スウェーデン出身のロック・ギタリストイングヴェイ・マルムスティーンが、自作の組曲<イカロスの夢>にこの作品の編曲を挿入したり、「ファー・ビヨンド・ザ・サン」のライブ演奏の導入部にとり上げたりもした。後者の模様は、アルバム「ライブ・イン・レニングラード~Trial by Fire」で聴くことができる。
視覚メディアでの転用例では、オーソン・ウエルズの1963年の映画「審判」(カフカ原作)が最も有名だが、メル・ギブソンが第一次世界大戦を舞台に主役を演じた戦争映画<誓い(原題Gallipoli)>においても、悲劇的な幕切れで効果的に利用されている。ネギま!?の第三話でも仮契約シーンにおいて、編曲されて使われた。
[編集] 出版作品
- 12のトリオソナタ作品1 1694年作曲
- 六つのシンフォニアと六つの五声の協奏曲作品2 1700年作曲
- 12の三声の室内舞曲作品3 1701年作曲
- ヴァイオリンと通奏低音のための六つの教会ソナタ作品4 1704年作曲(アムステルダムのロジェ社より1708年出版)
- ヴァイオリンと通奏低音のための12の協奏曲作品5 1707年作曲
- 12のヴァイオリンソナタ作品6 1711年作曲
- 12の協奏曲集作品7(オーボエ、2オーボエ、弦楽合奏)1716年作曲
- 六つのソナタと六つの三声の舞曲 作品8 1721年作曲
- 12の協奏曲集作品9(オーボエ、2オーボエ、ヴァイオリン)1722年作曲
- 12の協奏曲集作品10 1735~6年?作曲
[編集] 参考文献
- Eleanor Selfridge-Field, Venetian Instrumental Music, from Gabrieli to Vivaldi. New York, Dover Publications, 1994. ISBN 0486281515
- Michael Talbot: "Tomaso Albinoni", Grove Music Online ed. L. Macy (Accessed June 25, 2005), (subscription access)