ティム・ヘンマン

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男子テニス
銀	1996	ダブルス

ティム・ヘンマンのバックハンド・ボレー

ティム・ヘンマン（Tim Henman, 1974年 9月6日 - ）は、イギリス・オックスフォード出身の男子プロテニス選手。男子プロテニス界では屈指のサーブ＆ボレーヤーとして知られ、芝生コートのウィンブルドンを最も得意にしている。彼のプレースタイルは、いわば教科書通りのそつのない堅実なプレーであり、「ネットプレーヤーの常識を変えた」と言われるほどアグレッシブなパトリック・ラフターのサーブ＆ボレーとは対照的である。シングルス自己最高ランキングは4位。これまでにATPツアーでシングルス11勝、ダブルス4勝を挙げる。身長185cm、体重77kg、右利き。フルネームは Timothy Henry Henman （ティモシー・ヘンリー・ヘンマン）という。

ティム・ヘンマンは両親の手ほどきにより、2歳半からテニスを始めた。彼の家族はイギリス国内でも名門のテニス一家として知られ、祖父のヘンリー・ビリングトン（Henry Billington）は1948年・1950年・1951年の3度ウィンブルドン3回戦進出の経歴を持つテニス選手であり、曾祖母も1901年のウィンブルドン選手権に出場したことがある。1993年にプロ入り。1994年から男子テニス国別対抗戦・デビスカップのイギリス代表選手となり、ウィンブルドンにもデビューを果たす。1994年4月に初来日し、東京・有明コロシアムの「ジャパン・オープン」3回戦でピート・サンプラスに挑戦し、2週間後に名古屋のトーナメントで日本の本村剛一に 4-6, 6-3, 4-6 で敗れたことがある。ティム・ヘンマンがウィンブルドンで活躍を始めたのは、1996年の大会からであった。この時ヘンマンは先の全仏オープンで優勝したばかりのエフゲニー・カフェルニコフと1回戦で当たり、地元の声援の中でカフェルニコフを 7-6, 6-3, 6-7, 4-6, 7-5 で破った。その勢いに乗って初めての準々決勝に進んだが、アメリカのトッド・マーティンに 6-7, 6-7, 4-6 で敗れた。ウィンブルドン8強進出で一躍有名になった1996年は、アトランタ五輪でもイギリス代表選手として男子ダブルスの銀メダルを獲得し、全米オープンでもステファン・エドベリとの4回戦まで進出した。1997年のウィンブルドンでは、4回戦で前年優勝者のリカルド・クライチェクを破って2年連続2度目のベスト8に入ったが、準々決勝でドイツのミヒャエル・シュティヒに敗れている。1997年にヘンマンはATPツアー大会でも、シングルスで4度決勝に進み、ツアー年間2勝を挙げた。その後、ウィンブルドンでは4度の準決勝進出があるが、1998年と1999年は2年連続でピート・サンプラス、2001年はゴラン・イワニセビッチ、2002年はレイトン・ヒューイットに敗れ、いずれも決勝進出はならなかった。

ティム・ヘンマンは長い間、芝生コートのスペシャリストの印象が強く、クレーコートなどの遅いサーフェスを苦手としていた。しかし2004年、ヘンマンは30歳にして全仏オープンと全米オープンに初めて準決勝進出を果たす。全仏準決勝ではアルゼンチンのギレルモ・コリアに 6-3, 4-6, 0-6, 5-7 で、全米準決勝ではロジャー・フェデラーに3-6, 4-6, 4-6 で敗れたが、これでヘンマンはどんなサーフェスでも活躍できることを証明した。しかしウィンブルドンでは、準々決勝でクロアチアのマリオ・アンチッチに敗れている。2005年・2006年のウィンブルドンでは2回戦敗退で止まり、大きく後退してしまった。2006年の「ジャパン・オープン」で、ヘンマンは2年半ぶりに男子ツアー大会の決勝に進んだが、第1シードのロジャー・フェデラーに 3-6, 3-6 で完敗して準優勝になった。

地元イギリスではフレッド・ペリーが1936年にウィンブルドンで優勝して以来のイギリス人優勝者を待ち望んでおり、彼に大きな期待が集まってきた。そのため“ヘンマニア”と呼ばれる過激な地元ファンまで登場し、ウィンブルドンの1番コート近くには“ヘンマン・ヒル”と呼ばれる新名所ができた。しかしヘンマン自身も30歳代を迎え、技術的な面でも彼がウィンブルドンで優勝するのはきわめて難しくなったと言われる。男子テニス界でも若手選手が成長し、ロジャー・フェデラーをはじめ、同大会の決勝で2度フェデラーに敗れたビッグ・サーバーのアンディ・ロディック、リターンと芝生を得意とするレイトン・ヒューイットなどが活躍している。また、ヒューイットやアンドレ・アガシなどが得意とするサービス・リターンの技術が上がったためサーブ＆ボレーが難しくなったことや、ビック・サーバーを封じるためにボールを重いものに変更するなど、ヘンマンにとっては不利な条件が揃っているためである。