細野晴臣
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細野 晴臣(ほその はるおみ、1947年7月9日 - )は東京都港区生まれのベーシスト、シンガーソングライター、作曲家、音楽プロデューサー、多摩美術大学美術学部芸術学科客員教授。血液型はA型。立教高等学校(現立教新座高等学校)、立教大学社会学部卒。
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[編集] 略歴
幼い頃からポピュラー音楽に親しみ、中学時代から友人とバンドを組む。漫画家を志したこともあるが、高校の同級生だった西岸良平の才能に感服し、漫画家を諦め音楽の道を進むことを決意する。大学在学中にベースを始め、数多くのバンドを経た1969年、エイプリル・フールのベーシストとしてメジャーデビュー。その後、大瀧詠一、松本隆、鈴木茂とはっぴいえんどを結成し日本語ロックの礎を築く。1973年のはっぴいえんど解散後、ソロ活動と平行して鈴木茂、林立夫、松任谷正隆とキャラメル・ママ(のちにティン・パン・アレーと改名)を結成。演奏・プロデュースチームとして多数のアーティストの楽曲に参加、荒井由実などのプロデュースも行う。
自身のソロ・アルバムでは、ファーストの『HOSONO HOUSE』は当時狭山のアメリカ村にあった自宅で録音を行い、その後の『トロピカル・ダンディー』・『泰安洋行』・『はらいそ』と続く「トロピカル三部作」では南国・楽園志向にアプローチし、この三部作でのニューオーリンズや沖縄、ハワイ、中国などの音楽をごった煮にしたサウンドは海外の好事家からも注目されるようになる。漫画家の諸星大二郎のファンであり、彼の漫画のタイトルから曲名をつけたこともある。
シンセサイザー・コンピュータを用いた音楽やディスコへの興味が高まっていった1978年、元サディスティック・ミカ・バンドの高橋幸宏、当時スタジオ・ミュージシャンでもあった坂本龍一とイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)を結成。当初は細野主体の企画もののバンドと捉えられていた。また、YMOの成功をきっかけにメディアにも露出するようになり、アイドル・歌謡曲界への多数の楽曲提供、新人発掘のためのレーベル「¥EN」の立ち上げなど個人としても精力的に活動を行う。また、ビデオ・ゲーム「ゼビウス」の音源をダンス・ミュージックにアレンジした『ビデオ・ゲーム・ミュージック』をプロデュース、ゲーム・ミュージックが音楽ジャンルとして確立するきっかけをつくった。
1983年のYMO散開(解散)後は、主にプロデューサーや作曲家としての活動や映画音楽の提供(『銀河鉄道の夜』・『メゾン・ド・ヒミコ』他)などをこなしながらも、ソロアルバム発表や多くの他アーティストとのユニット(別項参照)結成など自己の音楽活動も枚挙に暇が無い。
YMO時代からの多忙と、日本のバブル崩壊以前の消費社会に対する疲弊に辟易とした後、1980年代後期にはワールド・ミュージック、1990年代にはアンビエント・ミュージックに深くアプローチし、大量消費に頼らない音楽を模索した。
近年の活動としては自身のレーベル「デイジーワールド・ディスク」を創設、2002年よりYMO時代の盟友、高橋幸宏とスケッチ・ショウを結成しフォーキーなエレクトロニカサウンドに取り組む他、HISの再結成の話も浮上中。またスケッチ・ショウは坂本龍一ともコラボレーションしており、ライヴやコンピレーション・アルバムではヒューマン・オーディオ・スポンジとしてほぼ「YMOの再結集」のような活動も行う。2005年9月に狭山稲荷山公園で行われたハイド・パーク・ミュージック・フェスティヴァル2005では久々にヴォーカルをとって『HOSONO HOUSE』の曲を披露した。また2006年2月にはソロ・アルバムの制作を開始したと報道され、ファンの期待を集めている。
音楽家としての活動以外にも、低音が響く声が評価され、TV番組やコマーシャルのナレーターとして起用される事も多くなってきている。
ちなみに細野晴臣の祖父である細野正文は、日本人で唯一豪華客船のタイタニック号に乗船し、事故に遭遇して生還していることでも有名である。
[編集] 関連バンド・ユニット
- エイプリル・フール
- はっぴいえんど
- ティン・パン・アレー
- イエロー・マジック・オーケストラ (YMO)
- フレンズ・オブ・アース (FOE) - 野中英紀らとのユニット
- HIS - 忌野清志郎、坂本冬美とのユニット
- ラヴ、ピース・アンド・トランス - 小川美潮、遊佐未森、甲田益也子とのユニット
- スウィング・スロー - コシミハルとのユニット
- HAT - アトム・ハート、テツイノウエとのユニット
- ハリー&マック - 久保田麻琴とのユニット
- ティンパン - 林立夫、鈴木茂とのユニット
- スケッチ・ショウ
- ヒューマン・オーディオ・スポンジ
- 東京シャイネス
[編集] ソロ・シングル
- 恋は桃色/福は内鬼は外(1973年、ベルウッド)
- 絹街道/ハニームーン(クラウン/パナム)
- 北京ダック/ブラックピーナッツ(1976年、クラウン/パナム)
- 三国志メイン・テーマ/三国志ラヴ・テーマ(1982年、アルファ/YEN)B面は小池玉緒
- Making of NON-STANDARD MUSIC / MONAD MUSIC(12インチ・シングル)(1984年、テイチク/ノンスタンダード・モナド)
- 銀河鉄道の夜/別離のテーマ(1985年、テイチク/ノンスタンダード)A面は中原香織
[編集] ソロアルバム
- ホソノ・ハウス - HOSONO HOUSE(1973年、ベルウッド)
- トロピカル・ダンディー - TROPICAL DANDY(1975年、クラウン/パナム)
- 泰安洋行 - Bon Voyage co.(1976年、クラウン/パナム)
- はらいそ - PARAISO(1978年、アルファ)細野晴臣&イエロー・マジック・バンド
- コチンの月 - COCHIN MOON(1978年、キング)細野晴臣&横尾忠則
- フィルハーモニー - PHILHARMONY(1982年、アルファ/YEN)
- S・F・X(1984年、テイチク/ノンスタンダード)細野晴臣 with Friends of Earth
- 銀河鉄道の夜 - Nokto de la Galaksia Fervojo(1985年、テイチク/ノンスタンダード)※映画サウンドトラック
- コインシデンタル・ミュージック - COINCIDENTAL MUSIC(1985年、テイチク/モナド)
- マーキュリック・ダンス - MERCURIC DANCE(1985年、テイチク/モナド)
- パラダイス・ビュー - PARADISE VIEW(1985年、テイチク/モナド)※映画サウンドトラック
- エンドレス・トーキング - THE ENDLESS TALKING(1985年、テイチク/モナド)
- 紫式部 源氏物語(1987年、EPIC・ソニー)※映画サウンドトラック
- オムニ・サイトシーング - omni Sight Seeing(1989年、EPIC・ソニー)
- メディスン・コンピレーション - MEDICINE COMPILATION(1993年、EPIC・ソニー)
- グッド・スポーツ - GOOD SPORT(1995年、クロック)
- ナーガ - NAGA(1995年、フォア)
- N. D. E.(1995年、マーキュリー)
- Interpieces Organization(1996年、テイチク/バイディス)細野晴臣&ビル・ラズウェル
- ルイジアナ珍道中 - Road to Louisiana(1999年、EPIC)ハリー&マック
- HOSONO BOX 1969-2000(2000年、デイジーワールド・ディスク)※ベスト
- メゾン・ド・ヒミコ - La Maison de Himiko(2005年、ワーナーミュージック・ジャパン)※映画サウンドトラック
[編集] 主な提供曲
- 『ハイスクール・ララバイ』『ティアドロップ探偵団』『ティーンエイジ・イーグルス』イモ欽トリオ
- 『ガラスの林檎』『ピンクのモーツァルト』『天国のキッス』松田聖子
- 『禁区』中森明菜
- 『ウイスキー色の街で』『紐育物語』森進一
- 『仏蘭西映画』『夢・恋・人』『妖星傅』『春 Mon Amour』藤村美樹
- 『赤道小町ドキッ』山下久美子
- 『風の谷のナウシカ』安田成美
- 『ミラクルライト』森高千里
- 『キテレツ大百科のうた』堀江美都子
- 『パラダイス ビーチ(ソフィーのテーマ)』松原みき
- 『ハートブレイク太陽族』スターボー
- 『哲学しよう』山田邦子
- 『きたかチョーさんまってたドン』川上さんと長島さん
- 『だって、ホルモンラブ』伊武雅刀
- 『玉姫様』戸川純
- NHKニュースTODAY(NHK総合テレビ) - オープニングテーマ
[編集] 主な著書
- 『地平線の階段』
- 『レコード・プロデューサーはスーパーマンをめざす』
- 『観光』(中沢新一との共著)
- 『音楽少年漂流記』
- 『細野晴臣インタビュー THE ENDLESS TALKING』(北中正和編、再刊され現在も入手可)
- 『アンビエント・ドライヴァー』
[編集] 主な出演番組
- 細野晴臣 DAISYWORLD (J-WAVE) - 放送終了
- DAISY HOLIDAY! (InterFM 毎週日曜25:00-25:30)
- スマイル(関西テレビ 毎週水曜21:54-22:00) - ナレーション
[編集] 主な出演CM
- 麒麟麦酒 -『ビヤ樽』 ※田中康夫・春風亭小朝と共演 (1983年)
- SK&F -『コンタック600』(1983年) ※BGMは「ピエトロ・ジェルミ」
- ナムコ - namcot「オモしろいカルチャーをオモチャーという」「クーソーは頭のコヤシです」 (1984年) ※BGMは「Non-Standard Mixture」
- ライオン - 全自動洗濯機用洗剤 Dash「いえ、それではなく全自動用の...」(1989年)
- GMサターン ※ナレーションのみ (1997年)
- ローソン ※森高千里と夫婦役で共演のシリーズ (1998年)
- NTTドコモ - ポケベル※加藤あいと共演のサルの声で出演「サル語、お上手ですね」(2000年)
- トヨタ自動車 ※ナレーションのみ (2003年)
- ツムラ - 入浴剤『きき湯』「炭酸効果の粒が効く〜」(2003年~2004年)
- サントリー - 烏龍茶『音韻調』※ナレーション (2005年) ※BGMは二胡アレンジによる「ライディーン」/YMO
[編集] 関連事項
[編集] 外部リンク
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