テクノ歌謡
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テクノ歌謡(テクノかよう)とは、いわゆるテクノ・ポップの手法・またはアレンジを導入した歌謡曲のことである。テクノ歌謡曲、テクノ・ポップ歌謡(曲)と呼ばれることもある。
既存の(またはデビューする)歌謡曲の歌手のために、みずからテクノ・ポップに携わるミュージシャンが楽曲提供、アレンジに参加する場合もあれば、既存の作家(作曲家・編曲家)が楽曲をテクノ・ポップ風に制作する場合もある。 通常は、その歌手についてのある特定の楽曲を対象にして制作することが多く、その歌手そのものをテクノ・ポップ・アーティストとして売り出す例は少なかった。
1980年のYMOのブレイク以降、音楽業界ではテクノ・ポップが注目され、こぞってテクノ歌謡が制作された。当時は「テクノ歌謡」なる用語は無く、後年名付けられたものである。それだけ当時はポピュラーなものであったのだが、一過性のブームになってしまったきらいもあり、佳曲も多いが迷盤・珍盤とされる作品も多いジャンルであった。音楽の手法としては、旧来の歌謡曲の構造の上に、ただ単純なシーケンスフレーズと手弾きのシンセサイザーフレーズが乗っているという例が多く、後年の音楽シーンへの「テクノ歌謡」の影響力はあまり無かったが、音色やリズムの真新しさや1980年代の軽薄な時代背景とも楽曲がよくマッチしていた点で、もてはやされた「時代の徒花」であったと言えよう。 ヨーロッパを中心として同時期に隆盛したエレポップとリンクする部分も多いが、テクノ歌謡はよりコマーシャルの要素が強いといえるだろう。
[編集] テクノ歌謡の具体例
(かっこ内は、作詞、作曲、編曲、シングル制作年の順)
- 榊原郁恵『ロボット』(松本隆・筒美京平・船山基紀・1980年)
- 沢田研二『TOKIO』(糸井重里・加瀬邦彦・後藤次利・1980年)
- ジューシィ・フルーツ『ジェニーはご機嫌ななめ』(沖山優司・近田春夫・ジューシィ・フルーツ・1980年)
- イモ欽トリオ『ハイスクールララバイ』(松本隆・細野晴臣・細野晴臣・1981年)
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- バラエティ番組「欽ドン!良い子悪い子普通の子」より生まれた企画盤
- 矢野顕子『春咲小紅』(糸井重里・矢野顕子・YMO・1981年)
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- 1981年春のカネボウ化粧品CMソングとして起用される
- 酒井司優子『コンピューターおばあちゃん』(伊藤良一・伊藤良一・坂本龍一・1981年)
- 松谷祐子『ラムのラブソング』(伊藤アキラ・小林泉美・小林泉美・1981年)
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- 第15回世界歌謡祭グランプリ受賞曲
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- テレビドラマ「毎度おさわがせします」主題歌