広島電鉄5000形電車
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広島電鉄5000形電車(ひろしまでんてつ5000かたでんしゃ)とは、1999年に登場した広島電鉄の路面電車で、ドイツ国外に輸出された初めてのコンビーノである。愛称はGREEN MOVER(グリーンムーバー)であり、利用者などにも広く使われている愛称である。
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[編集] 概要
日本では熊本市交通局9700形電車に次ぐ、2例目の超低床路面電車である。ドイツのシーメンス社で作られたコンビーノシリーズ、アルナ工機(現アルナ車両)で整備された。書類上はシーメンスとアルナ工機の共同製造になっている。日本の路面電車では最初の5連接車である。車体の全長が30mを超えるため国土交通省の特認を受けている。
路面電車である市内線と鉄道線である宮島線を直通運用できる車両である。12編成が製造されて、広島電鉄の主力として運用されている。第1編成は製造時期と補助金の申請期限の関係、さらに話題作りのために、ドイツ・ハーン空港から、大型輸送機アントノフ124に載せられ、広島空港へ空輸された。第2編成以降は船で送られている。
外観はオリジナルのコンビーノをベースに前面部分は日本でデザインした。ライト下のスカートは取り外し可能で、中に非常時に他の車両と連結するための連結棒がある。車体色のデザインは榮久庵憲司が担当した。
車内はステップが無いため広く感じられる。また窓が大きいため眺望がよく、昼間は大変明るい。吊り広告を含め広告枠が一切無く、これは当時としては異例であった。座席はA車とB車とE車はタイヤハウス上にクロスシートが設置され、C車とD車についてはバケットタイプのロングシートが設置されている。初期車の座席が従来車に比べて固く評判が良くなかったことから、5005以降は座席が比較的柔らかいものになり、それ以前の車両についても順次交換された。C車とD車に冷房装置を搭載しているが、能力不足が指摘されている。初期車の登場時から改良されてはいるが、ラッシュ時における不快感は解消されたとは言いがたい。もともと冷涼なドイツで製造された装置であり、高温多湿な日本の気候には合っていないと言える。
上記のように日本の風土と合わない部分があることや車両価格、部品調達コストが高額なこと、部品調達に時間がかかり過ぎることなどが問題となり、以後は国内メーカー共同開発による5100形の量産へと移行した。
なお、2004年3月12日に製造メーカーがコンビーノシリーズの車体に細かい亀裂が入るという車体強度不足を発表しメーカー側は改修工事を行うと発表し、5000形も対象となっている。
[編集] 主要諸元
- 製造初年:1999年
- 最高速度:60km/h
- 全長:30520mm
- 全幅:2496mm
- 全高:3645mm
- 自重:31.7t
- 車体構造:全金属(アルミ)製
- 定員(着席):153(52)人
- 出力・駆動方式:100kw×4、直角中空軸積層ゴム駆動方式※
※直角カルダン駆動方式とする文献があるが、これは誤り。尚、5100形はWN継手式直角カルダン駆動方式である。
[編集] 各車状況
- 5001:1999年3月竣工:荒手車庫所属
- 標準色、デビューまでは3Mの全面ラッピングで覆面していた。
- 5002:1999年12月竣工:荒手車庫所属
- 標準色
- 5003:1999年12月竣工:荒手車庫所属
- 標準色
- 5004:1999年12月竣工:荒手車庫所属
- 標準色
- 5005:2001年3月竣工:荒手車庫所属
- 標準色
- 5006:2001年3月竣工:荒手車庫所属
- 標準色
- 5007:2001年3月竣工:荒手車庫所属
- 標準色
- 5008:2001年9月竣工:荒手車庫所属
- 標準色
- 5009:2002年3月竣工:荒手車庫所属
- 標準色
- 5010:2002年9月竣工:荒手車庫所属
- 標準色
- 5011:2002年11月竣工:荒手車庫所属
- 標準色
- 5012:2002年11月竣工:千田車庫所属
- 標準色
[編集] 参考文献
- 『ローカル私鉄車両20年 路面電車・中私鉄編』(JTBパブリッシング・寺田裕一) ISBN 4533047181
- 『広電が走る街今昔』(JTBパブリッシング・長船友則) ISBN 4533059864
etc
現役 市内線 現役 直通車 消滅 市内線 消滅 宮島線専用 |
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